投資と資本の相殺消去
- 連結決算では、連結会社全体をひとつの会計単位とみなして、財務諸表を作成する
- 連結決済は、親会社から子会社への投資は会計単位内部での資金移動にすぎない
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連結会社の個別貸借対照表をそのまま合算してしまうと、資産・純資産が過上計上されてしまう
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親会社の子会社に対する投資(子会社株式)と、これに対応する子会社の資本(純資産の部に計上される、新株予約権および少数株主持分以外の諸勘定)を相殺消去する必要がある
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子会社相互間の投資と、これに対応する資本についても、相殺消去する必要がある
「持ち分比率が100%の子会社への投資」と「その子会社の資本」の相殺消去
借方 |
貸方 |
資本金 |
XXXX |
子会社株式 |
XXXX |
資本剰余金 |
XXXX |
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評価差額 |
XXXX |
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利益剰余金 |
XXXX |
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少数株上が存在する場合
- 子会社の資本のうち、親会社の投資に相当する部分が持ち分比率に応じて相殺消去され、少数株主に帰属する部分は「少数株主持分」として処理される
借方 |
貸方 |
資本金 |
XXXX |
子会社株式 |
XXXX |
資本剰余金 |
XXXX |
少数株上持分 |
XXXX |
評価差額 |
XXXX |
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利益剰余金 |
XXXX |
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投資と資本を消去する際に消去差額が借方に生じる場合
- 消去差額を「のれん」として計上する
借方 |
貸方 |
資本金 |
XXXX |
子会社株式 |
XXXX |
資本剰余金 |
XXXX |
少数株上持分 |
XXXX |
評価差額 |
XXXX |
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利益剰余金 |
XXXX |
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のれん |
XXXX |
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のれん
- 子会社の純資産の公正な評価額以上に対価を支払ったことによって生じた差額
- 子会社の持つ「超過収益力」を表す
- 資産として計上され、計上後20年以内に定額法、その他の合理的な方法によって、償却される
- 差額が貸方に生じた場合は、その差額を「負ののれん」として、負債の部に計上し、のれんと同様の方法によって償却される
- 「のれん」「負ののれん」は、いずれも金額の重要性が乏しい場合には、当期の損益として処理することもできる
連結財務諸表原則の一般基準
- 連結の範囲、連結決算日、親会社と子会社の会計処理の原則・手続きを示している
連結の範囲
- 親会社は原則として、すべての子会社を連結の範囲に含めて連結財務諸表を作成しなければならない
- 親会社:会社間の支配従属関係において、他の会社を支配している会社
- 子会社:支配されている会社
- 子会社の範囲が異なると、作成される連結財務諸表の内容も異なるため、子会社に該当するかどうかの決定基準「連結の範囲」が問題となる
連結の範囲の決定基準
- 支配力基準
- 会社(親会社)が他の会社を支配しているかどうかによって決定する
- 他の会社の財務・営業、または事業の方針を決定する機関(株主総会や取締役会などの意思決定機関)を実質的に支配しているかどうか、によって連結の範囲を決定する
- 持ち分基準(持ち株基準)
- 議決権つき発行済み株式の親会社の持ち分比率(持ち株比率)を判断基準とする
- 長所
- 短所
- 株式保有以外の手段による企業支配が見逃される
- 支配従属関係にあるにも関わらず、意図的に持ち分比率を下げて連結の範囲から除外することによって、連結数値の操作が可能となる
- 会計では支配力基準が採用されている
- 連結財務諸表に支配従属関係にもとづく経済的実態を反映させることができる
- 恣意的な数値操作を防ぐことができる
支配力基準
- 支配力基準では、支配力の不在が示されない限り、以下のようなケースは子会社に該当する
- 他の会社の議決権の過半数(50%超)を実質的に所有している場合
- 議決権のある株式、または出資の名義が役員など、会社以外となっていても、会社が自己の計算で所有している場合は、会社が実質的に所有しているものとみなす
- 他の会社の議決権の所有割合が50%以下であっても、高い比率(40%以上)の議決権を有しており、かつ当該会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合
- 議決権を行使しない株主の存在や、役員・関連会社などの協力的な株主の存在によって、株主総会で議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合
- 役員・従業員、あるいはかつてそうであった者が取締役会の構成員の過半数を継続して占めていると認められる場合
- 重要な財務、および営業の方針決定を支配する契約などが存在する場合
- 子会社が他の会社を支配している場合(孫会社の場合)
- 親会社の支配下にあると考えられるため、子会社とみなされる
連結の範囲に含まれないケース
- 更生会社、整理会社、破産会社などであって、他者の管理下におかれるなど、有効な支配従属関係が存在せず、組織の一体性を欠く会社は子会社に該当しない
- 子会社であっても、支配が一時的な場合や、連結することによって利害関係者の判断を著しくにぶらせる恐れのある場合は、連結の範囲に含めない
- 子会社であっても、規模が小さく、重要性が乏しいと判断される場合は、連結の範囲に含めないことができる
連結の会社と株主
- 連結子会社:連結の範囲に含まれる子会社
- 連結会社:連結の範囲に含まれる子会社+親会社
- 非連結子会社:連結の範囲に含まれない子会社
- 少数株主:親会社による子会社株式に対する保有割合が100%に満たない場合、子会社における親会社以外の株主
- 連結決算上、少数株主に帰属する子会社の純資産で、連結の対象となる部分は、親会社に帰属する部分とは別に「少数株主持分」として処理される
- 少数株主持分は、連結貸借対照表の純資産の部において、株主資本などとは区別して表示される
連結財務諸表における実質優先思考(サブスタンス・オーバー・フォーム)
- 形式(フォーム)よりも実質(サブスタンス)を優先(重視)する考え方
- 企業集団を構成する各企業は、(法的)形式上はそれぞれ独立の存在だが、(経済的)実質上はひとつになって活動しているため、連結財務諸表を作成する
- 連結の範囲には、持ち分基準(形式)ではなく、支配力基準(実質)を採用する
連結財務諸表原則における連結財務諸表作成に関する規範的原則
- 一般性の原則
- 真実性の原則:連結財務諸表は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない
- 個別財務諸表基準性の原則:連結財務諸表は、企業集団に属する親会社及び子会社が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成した個別財務諸表を基礎として作成しなければならない
- 明瞭性の原則:連結財務諸表は、企業集団の状況に関する判断を誤らせないよう、利害関係者に対し、必要な財務情報を明確に表示するものでなければならない
- 継続性の原則:連結財務諸表作成のために採用した基準及び手続は、毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない
- 重要性の原則
- 会計上の重要性に乏しい軽微なものは、本来の厳密な会計処理ではなく簡便に処理してかまわない
- 重要性の低い取引に関して簡便な会計処理を行っても、それは正規の簿記の原則に違反したものとはならない
- 子会社であって、その資産、売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものは、連結の範囲に含めないことができる
企業会計原則と同義の原則
- 以下の連結財務諸表原則は、企業会計原則における同名の原則と同様の意義を持つ
- 真実性の原則
- 明瞭性の原則
- 継続性の原則
- 重要性の原則
個別財務諸表基準性の原則
- 連結財務諸表は、企業集団を構成する各社が作成した個別財務諸表を基礎として作成されるべきである
- 作成の際、個別財務諸表は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されるべきである
- 個別財務諸表が、一般原則の要請するものに反して、財政状態、および経営成績を適正に表示していない場合には、重要な影響を及ぼさないケースを除き、適正に修正して連結決算を行う必要がある