105. 持ち分法の適用 (2)

連結の手続きと持ち分法

  • 連結会社に適用される「連結の手続き」と「持ち分法」は、当期純損益および純資産の額に影響を与える
    • 連結の手続き
      • 連結財務諸表における連結対象科目 = 全科目
      • 連結会社の財務諸表を勘定科目ごとに合算することによって、企業集団全体の財務諸表を作成する
      • 完全連結
    • 持ち分法
      • 連結財務諸表における連結対象科目 = 損益に占める持ち分額のみ
      • 被投資会社の純資産および損益に対する投資会社の持ち分相当額を、原則として貸借対照表上は、被投資会社株式の修正として、損益計算書上は持分法による投資損益として連結財務諸表に反映させる
      • 1行(ワンライン)連結

例題7

  • P社は、X1年3月31日にA社の株式の40%を400で取得し、持ち分法適用会社とした
  • 連結決算日のX2年3月31日に仕訳を行う
  1. A社が当期純利益200を計上した
    当期純利益 × 持ち分比率 = 200 × 0.4

    借方 貸方
    A社株式 80 持分法による投資損益 80
  2. A社株式の取得時における同社の資産・負債の時価評価額は、それぞれ2,000、および1,100であった投資差額を償却期間20年間として償却する
    投資差額 = 投資額 - 時価評価したA社純資産の持ち分額 = 400 - (2,000 - 1,100) × 0.4

    借方 貸方
    持分法による投資損益 2 A社株式 2
  3. A社が親会社P社から購入した商品400が期末に在庫として残っているなお、P社はA社に利益率10%で商品を販売している
    未実現利益 = 期末在庫 × 利益率 = 400 × 0.1
    消去額 = 未実現利益 × 持ち分比率 = 40 × 0.4

    借方 貸方
    売上 16 A社株式 16
  4. P社は、A社から配当金20を受け取っている
    借方 貸方
    受取配当金 20 A社株式 20

104. 持ち分法の適用 (1)

持ち分法

  • 投資会社(連結会社)が、被投資会社(持ち分法適用会社)の純資産、および損益の内の、投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資の額(被投資会社株式の連結貸借対照表額)を連結決算日ごとに修正する処理方法

持ち分法の原則

  • 投資会社は、被投資会社の直近の財務諸表を使用するが、投資会社と被投資会社との決算日に差異があり、その差異の期間内に重要な取引、または事象が発生している場合は、必要な修正・註記を行う
  • 連結子会社の場合と同様、被投資会社の財務諸表について、資産・負債の評価、税効果会計の適用などといった処理を行う
  • 重要性の乏しいものについては、処理を省略することができる

持ち分法の適用順序

  1. 投資会社の投資日の投資と、これに対応する被投資会社の資本の間に投資差額がある場合、当該差額を投資に含め、のれん(または、負ののれん)と同様に処理する
  2. 投資会社は、投資日以降における被投資会社の損益のうち、投資会社の持ち分、または負担に見合う額を、持ち分比率に基づき算定し、投資の額を増減し、当該増減額を「持分法による投資損益」として当期純利益の計算に含める
    • 被投資会社において利益が計上された場合
      1.の処理によって生じた投資差額の償却額は、持分法による投資損益に含める

      借方 貸方
      関連会社株式 XXXX 持分法による投資損益 XXXX
    • 投資差額が借方に生じている場合
      借方 貸方
      持分法による投資損益 XXXX 関連会社株式 XXXX
  3. 連結会社と持ち分法適用会社の間の取引によって未実現損益が計上されている場合、未実現損益を消去するための修正を行う
  4. 被投資会社から配当金を受け取った場合、受け取った額だけ被投資会社の資本が減少するため、当該配当金に該当する額を投資の額から減ずる

103. 持ち分法

連結財務諸表

  • 支配従属関係にある2つ以上の会社や事業体からなる企業集団を、単一の組織体とみなす
  • 親会社が、当該企業集団の財政状態、および経営成績を総合的に報告するために作成される

持ち分法

  • 連結の範囲には含まれなかったにも関わらず、親会社の強い影響下にあって、連結会社と較べても、遜色なく企業集団において重要な役割を果たす会社が存在する場合がある
  • 企業集団全体としての財政状態や経営成績を報告するために、そうした会社の存在が連結財務諸表に適切に反映されるように処理する方法

持ち分法の適用対象

  • 関連会社、子会社であっても、何らの理由によって連結の範囲に含まれなかった非連結子会社
  • 関連会社や非連結子会社に投資している場合には、原則として、持ち分法を適用しなければならない
    • 適用対象となる会社 = 持ち分法適用会社
  • 「持ち分法を適用しても連結財務諸表に重要な影響を及ぼさない」など、重要性の乏しいものは、持ち分法を適用しないこともできる

関連会社の決定基準 = 影響力基準

  • 親会社・子会社が出資、人事、資金、技術、取引などの関係を通じて、子会社以外の他の会社の財務と営業の方針決定に対して、重要な影響を与えることができる「他の会社」
    1. 子会社以外の他の会社の議決権の20%以上を実質的に所有している場合(20%以上の所有が一時的であると認められる場合を除く)
    2. 他の会社に対する議決権の所有割合が20%未満であっても、一定の議決権を有しており、契約があるなど、当該会社の財務や営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる一定の事実が認められる場合
  • 関連会社に該当するかどうかは、①のように客観的な持ち分比率によるだけではなく、②のように実質的な影響力の有無も考慮に入れて決定される
  • 影響力基準を満たしている場合は、財務・営業の方針決定に重要な影響を与えることができないと明らかに示されない限り、関連会社とみなされる

持ち分法の適用対象外

  • 関連会社や非連結子会社の株式の売却などによって、当該会社が持ち分法適用会社に該当しなくなった場合
    • 持ち分法の適用対象から外れる
    • 残存する当該会社の株式は、個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価される
  • 更正会社、整理会社、破綻会社などであって、かつ、当該会社の財務・営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができない場合
    • 関連会社には該当しない

102. 未実現損益の消去 (2)

(2) 子会社が親会社に販売した場合(アップ・ストリーム)

  • 子会社において、未実現損益が計上される
  • 子会社に少数株主が存在しない場合
    • 「親会社が子会社に販売した場合」と同様の消去方法を用いる
  • 少数株主が存在する場合
    • 複数の消去方法が考えられる

未実現損益の計上方法

  1. 全額消去、親会社負担方式
    • 親会社が、子会社の未実現損益の消去をすべて負担する方法
    • 「子会社の少数株主が存在するにも関わらず、親会社が未実現損益の消去をすべて負担する」という問題点がある
  2. 全額消去、持ち分按分負担方式
    • 経済的単一体説と整合する消去方式
      • 親会社と少数株主とを経済的に単一のものとみなして処理を行う
    • 親会社および子会社のそれぞれの持ち分比率に応じて負担額を按分する方法
      • 未実現損益をすべて消去し、消去の負担額を親会社と少数株主との持ち分比率に応じて按分する
    • 連結財務諸表原則は、この方式を採用している
      • 売手側の子会社に少数株主が存在する場合には、未実現損益は、親会社と少数株主の持分比率に応じて、親会社の持分と少数株主持分に配分するものとする
  3. 親会社持ち分相当額消去方式
    • 少数株主を企業集団の外部者として捉えた方式
    • 親会社説と整合する消去方式
      • 「取引高の消去処理において、売上がすべて消去されているにも関わらず、未実現損益の消去は部分的になる」という問題点がある
    • 親会社の持ち分和当額のみを消去する方法
      • 実現損益のうち、親会社の持ち分相当額のみを消去し、少数株主に帰属する部分は実現しているものとみなして消去しない

例題6

  • X1年3月3日、P社はS社株式の80%を取得して連結子会社とした
  • 連結決算日のX2年3月31日において、親会社P社がS社から購入した商品3,000のうち、400が在庫として残っている
  • S社は、P杜に利益率10%で商品を販売している
  1. 取引高の相殺消去
    借方 貸方
    売上 3,000 売上原価 3,000
  2. 未実現損益の相殺消去
    未実現損益 = S社から購入した商品の期末残高 × 利益率 = 400 × 10%
    子会社負担分の未実現損益 = 未実現損益 × 少数株主の持ち分比率 = 40 × 0.2

    借方 貸方
    売上原価 40 商品 40
    少数株主持分 8 少数株主損益 8

(3) 子会社間で売買された場合

  • 資産を売却した子会社に、未実現損益が計上されるため、「子会社が親会社に販売した場合」に準じた方法が用いられる
  • 連結会社相互間で固定資産が売買された場合
    • 未実現損益の消去処理が必要となる
  • 固定資産が建物や機械装置といった減価償却が行われる資産である場合
    • 減価償却費の修正も必要となる
    • 減価償却の基礎となる取得原価が、未実現損益の分だけ過大(または過小)評価されることによって、減価償却費も過大(または過小)計上されているために、修正しなくてはならない

101. 未実現損益の消去 (1)

未実現損益の消去

  • 連結会社相互間で、棚卸資産や固定資産などの資産を、取得原価に利益を加算して売買することがある
    • 企業集団内における資産の移動にすぎない
    • 連結決算時に外部への販売が完了していない場合、当該資産が期末に残存している場合には、当該資産に含まれる未実現損益を消去しなければならない

未実現損失

  • 売り手側の帳簿価額のうち、回収不能と認められる部分は消去しない
  • 未実現損益の額に重要性が乏しい場合には、消去しないこともできる
  • 未実現損益の消去が必要なケ―ス
    • (1) 親会社が子会社に販売した場合(ダウン・ストリーム)
    • (2) 子会社が親会社に販売した場合(アップ・ストリーム)
    • (3) 子会社間で売買された場合

(1) 親会社が子会社に販売した場合(ダウン・ストリーム)

  • 親会社において未実現損益が計上される
  • 子会社が保有する当該資産の額は、未実現損益の分だけ過大(または過小)に評価され、その額だけ売上原価が過小(または過大)に計上される
  • 未実現利益の仕訳
    借方 貸方
    売上原価 XXXX 棚卸資産 XXXX
  • 未実現損失の仕訳
    借方 貸方
    棚卸資産 XXXX 売上原価 XXXX

例題5

  • X1年3月31日にP社は、S社株式の80%を取得して、連結子会社とした
  • 連結決算日のX2年3月31日において、S社が親会社P社から購入した商品 3,000のうち、400が在庫として残っている
  • P社は、S社に利益率10%で商品を販売している
  1. 取引高の相殺消去
    借方 貸方
    売上 3,000 売上原価 3,000
  2. 未実現損益の相殺消去
    未実現損益 = P社から購入した商品の期末残高 × 利益率 = 400 × 0.1

    借方 貸方
    売上原価 40 商品 40

100. 連結損益計算書の作成

連結損益計算書の作成

  • 連結損益計算書は、親会社、および子会社の個別損益計算書における額を基礎とする
  • 連結会社相互間の取引高の相殺消去、未実現損益の消去などの処理を行って作成される

連結会社相互間の取引高の相殺消去

  • 連結会社相互間の取引によって生じた「売上と売上原価」、「受取手数料と支払手数料」、「受取利息と支払利息」などは、企業集団内において行われる内部取引の結果として生じたものであるため、相殺消去しなければならない
    借方 貸方
    売上 XXXX 売上原価 XXXX
    受取利息 XXXX 支払利息 XXXX
  • 連結会社相互間の取引が、連結会社以外の会社を通じて行われている場合であっても、その取引が実質的に連結会社間の取引であることが明確であるときは、相殺消去する

99. 税効果会計

税効果会計

  • 連結財務諸表においても個別財務諸表と同様、「税効果会計」が適用される
  • 税効果会計
    • 法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続き
    • 「企業会計上の資産・負債の額」と「課税所得計算上の資産・負債の額」に相違がある場合、法人税その他の利益に関連する額を課税標準とする税金の額を、適切に期間配分する
  • 連結会社の法人税等は、「一時差異」に対して税効果会計を適用し、その額を期間配分する必要がある
    • 一時差異:「連結貸借対照表に計上されている資産・負債の額」と「課税所得の計算の結果、算定された資産・負債の額」の差額
    • 将来の課税所得、相殺可能な繰越欠損金などについても、一時差異と同様に取り扱うものとする
  • 連結財務諸表の作成時に一時差異が生ずるケース
    • 子会社の資産・負債の時価評価によって評価差額が生じた場合
    • 連結会社相互間の取引から生ずる未実現損益を消去した場合
    • 連結会社相互間の債権と債務の相殺消去によって貸倒引当金を減額修正した場合
  • 一時差異に関わる税金の額は、将来の連結会計期間において回収/支払いが見込まれない税金の額を除き、連結貸借対照表に「繰延税金資産/繰延税金負債」として計上する
    • 繰延税金資産/繰延税金負債の額は、回収/支払いが見込まれる額の税率にもとづいて計算する
    • 繰延税金資産は、将来の回収の見込みについて毎期、見直す必要がある
    • 重要性の乏しい一時差異については、繰延税金資産/繰延税金負債を計上しないこともできる

98. 債権と債務の相殺消去

債権と債務の相殺消去

  • 連結会社相互間の取引によって生じた「売掛金/買掛金」「受取手形/支払乎形」「貸付金/借入金」といった「債権/債務」は、企業集団内における資金の移動にすぎないため、相殺消去する
    借方 貸方
    買掛金 XXXX 売掛金 XXXX
  • 連結会社相互間の取引によって生じた前払費用、未収収益、前受収益、未払費用といった経過勘定項目も同様に、相殺消去する
    借方 貸方
    前受収益 XXXX 前払費用 XXXX
  • 連結会社が発行した社債を資産として保有している場合は、発行会社の負債とともに、債権と債務の相殺消去の対象とする必要がある
    • 所有が一時的である場合は、相殺消去の対象としないことも認められている
  • 連結会社が振り出した手形を、他の連結会社が銀行で割り引きに付した場合は、銀行に対して手形借入金が存在するのと同様なため、連結貸借対照表では、これを借入金に振り替える
    借方 貸方
    支払手形 XXXX 手形借入金 XXXX
  • 引当金のうち、連結会社を対象として設定されたことが明らかなものは、調整が必要となる
    • 連結会社間で掛け売買があった場合、売掛金と買掛金が相殺消去されることになる
    • 相殺消去された売掛金に対して貸倒引当金が設定されていた場合、売掛金が消去された分だけ貨倒引当金の額を減ずる必要がある
    • 連結会社間での商品売買にともなって設定された商品保証引当金なども、同様の調整が必要となる
    借方 貸方
    買掛金 XXXX 売掛金 XXXX
    貸倒引当金 XXXX 貸倒引当金繰入 XXXX

97. 子会社株式の売却

子会社株式の売却

  • 親会社が子会社の株式を売却すると、当該会社に対する持ち分比率が低下する
    • その結果、両社の支配従属関係が解消され、親子関係になくなった場合
      • 当該会社は連結の範囲から除外される
    • 売却後も親子関係が継続し、連結子会社となっている場合
      • 売却によって減少した親会社の持ち分を減額させるとともに、少数株主持分を増額させる必要がある
      • 売却による親会社の持ち分の減少額と、投資の減少額との間に生じた差額は、子会社株式の売却損益の修正として処理する
      • 売却に伴うのれん/負ののれんの償却額も同様に処理する
      • 子会社株式の売却損益の修正として処理するのれん/負ののれんの償却額は、のれん/負ののれんの未償却額のうち、売却した株式に対応する部分として計算する
  • 子会社株式の売却時の少数株主持分の増加額は、「部分時価評価法」と「全面時価評価法」のいずれを適用しているかによって異なる
    • 部分時価評価法の場合
      • 少数株主持分は、子会社の個別貸借対照表(原価)をもとに算定されていることから、少数株主持分の増加額は同様に、子会社の個別貸出対照表上の純資産額にもとづいて計算する
      • 時価によって評価されている資産・負債は、売却によって減少した株式に対応する評価差額の分だけ修正する必要がある
  • 全面時価評価法の場合
    • 少数株主持分は、子会社の純資産の時価をもとに算定されていることから、売却によって減少した株式に対応する持ち分と同額だけ、少数株主持分を増額させる
    • 子会社の時価発行増資などに伴って、親会社の持分比率が低下した場合にも、少数株主持分が増加する
    • 親会社の払い込み額と、親会社の持ち分の増減額の間に差額が生じた場合は、損益として処理する
    • 利害関係者の判断を著しく誤らせる恐れがある場合には、連結剰余金に直接加減することもできる

少数株主持分の増加額処理の具体例

例題4

  • X2年3月31日、S社株式のの20%を420で売却した
  • S社の純資産の部には、資本金1,000、資本剰余金400、利益剰余金400が計上されていた
  • この期の純損益は0であって、利益配当は行われなかった

部分時価評価法の場合

  • 少数株主持分 = (資本金 + 資本剰余金 + 利益剰余金) × 売却株式の持ち分比率 = 1,800 × 0.2
    借方 貸方
    S社株式 400 少数株主持分 360
    土地 20
    のれん 19
    株式売却益 1

全面時価評価法の場合

  • 少数株主持分 = (資本金 + 資本剰余金 + 利益剰余金 + 評価差額) × 売却株式の持ち分比率 = 1,900 × 0.2
    借方 貸方
    S社株式 400 少数株主持分 380
    のれん 19
    株式売却益 1

96. 子会社株式の追加取得

支配獲得後の子会社株式の追加取得

  • 支配獲得後に子会社の株式を追加取得した場合の処理は、株式の段階的取得による支配獲得の場合の処理と同様、「部分時価評価法」と「全面時価評価法」のいずれを適用しているかによって異なる
  • 部分時価評価法を適用しているときに、支配獲得後、子会社の株式を追加取得した場合
    • 追加取得した株式に対応する持ち分だけ、少数株主持分を相殺消去する
    • 子会社の資産・負債の時価評価によって計上された評価差額も相殺消去する
  • 全面時価評価法を適用しているときに、支配獲得後、子会社の株式を追加取得した場合
    • 支配獲得時に、資産・負債の全面的な時価評価と評価差額の相殺消去がすでに行われているため、評価差額に関わる仕訳は行わない
    • 追加取得した株式に対応する持ち分だけ、少数株主持分を相殺消去する
  • いずれの場合も、追加取得した株式に対応する持ち分と追加投資額の間に差額が生じた場合は、「のれん(または負ののれん)」として処理する

投資と資本の相殺消去の具体例

例題3

  • X3年3月31日に、P杜はS社株式の10%を220で取得した
  • 同日、S社の純資産の部には資本金1,000、資本剰余金400、利益剰余金400が計上されていた
  • 前期の純損益は0であって、利益配当は行われなかった
  • S社の資産・負債を時価評価したところ、取得原価100の土地の時価が300であった

部分時価評価法の場合

  1. 追加取得時の資産・負債の時価評価
    評価差額 = (時価 - 取得原価) × 親会社の持ち分比率 = 200 × 0.1

    借方 貸方
    土地 20 評価差額 20
  2. 投資と資本との相殺消去
    少数株主持分 = (資本金 + 資本剰余金 + 利益剰余金) × 少数株主の持ち分比率 = 1,800 × 0.1

    借方 貸方
    少数株主持分 180 S社株式 220
    評価差額 20
    のれん 20

全面時価評価法の場合

  1. 追加取得時の資産・負債の時価評価
    借方 貸方
    仕訳なし
  2. 投資と資本との相殺消去
    少数株主持分 = 追加取得以前の少数株主持分 × (追加取得した持ち分比率 ÷ 追加取得以前の少数株主の持ち分比率) = 190 × (0.1 ÷ 0.1)

    借方 貸方
    少数株主持分 190 S社株式 220
    のれん 30