58. 負債性引当金 (2)

製品保証引当金、売上割戻引当金、返品調整引当金
製品保証引当金、売上割戻引当金、返品調整引当金は、条件つき債務に属する

  • 製品保証引当金
    • 一定期間の修理保証をつけて製品を販売することによって、修理にともなう資源流出が合理的に予想されるものを当期の費用として認識し、それと同時に負債を認識する引当金
    • 1年以内の保障部分については「流動負債」
    • 1年を超える部分については「固定負債」
  • 売上割戻引当金
    • 一定数量、または一定金額以上の商品、製品を販売した得意先に対して、割り戻しを行うことによって、合理的に予想される割り戻し額を当期の収益から搾除し、それと同時に負債として認識する引当金
    • 割り戻しは次期に行われることから、「流動負債」に区分される
  • 返品訓整引当金
    • 販売した商品、製品について販売価格で返品を受け入れる特約を結んでいることによって、合理的に予想される返品額を当期の売上
    • 総利益から控除し、それと同時に負債として認識する引当金
    • 返品は1年以内に行われる場合が多いことから、「流動負債」に区分される

修繕引当金、特別修繕引当金
修繕引当金、特別修繕引当金は、法的な債務ではないが、将来における財産の流出が合理的に予想されることから、会計的負債として認識される

  • 修維引当金
    • 毎年行われる通常の修繕が、何らかの理由で行われなかった場合において、次期に行われる修繕にかかる資源流出を、当期の費用として認識し、それと同時に負債として認識する引当金
    • 「流動負債」に区分される
  • 特別修繕引当金
    • 数年ごとに定期的に行われる大修繕に備え、大修繕にかかる資源流出を合理的に見積もり、当期に配分される費用を認識し、それと同時に負債として認識する「引当金」
    • 次期に修繕が行われる部分については「流動負債」
    • それ以外は「固定負債」
  • 賞与引当金
    • 条件つき債務のひとつ
    • 従業員に対する賞与のうち、すでに労務の提供を受けた当期分として負担すべき金額を見積もって費用を認識し、それと同時に負債として認識する引当金
    • 給与の後払い分であるが、金額を見積り計算するという点で、未払費用とは性質を異にする
    • 「流動負債」に区分される

退職給付引当金

  • 条件つき債務のひとつ
  • 従業員が将来において退職する際に支払うべき退職給付のうち、すでに労務の提供を受けた当期分として、負担すべき金額を見積もって費用を認識し、それと同時に負債として認識する引当金
  • 給与の後払い分であるが、金額と支払い時期を見積り計算するという点で、未払費用とは性質を異にする
  • 「固定負債」に区分される

引当金のまとめ

貸借対照表の区分 法的債務性 相手感情の性質
評価性引当金 資産の部(控除項目) ーーー 費用 貸倒引当金
負債性引当金 負債の部 あり(条件つき債務) 収益の控除 売上割戻引当金
返品調整引当金
費用 製品保証引当金
賞与引当金
退職給付引当金
なし(会計的負債) 費用 修繕引当金
特別修繕引当金
特別法上の引当金 なし(将来の損失) 利益留保 渇水準備引当金
任務積立金 純資産の部 なし(偶発債務) 利益留保 地震損失引当金

57. 負債性引当金 (1)

負債性引当金の該当条件

  • 将来における資源の流出はいまだ確定していないが、その可能性が高いもの
  • 流出の金額を合理的に見積もることができるもの
  • 流出の原因が、当期においてすでに発生している場合に限り、当期において負債として認識することが認められているもの

負債性引当金、評価性引当金(貸倒引当金)の認識要件(企業会計原則注解より)

  • 将来の特定の支出、または損失であること(将来の特定の支出)
  • その発生が当期以前の事象に起因していること
  • その発生の可能性が高いこと
  • その金額を合理的に見積ることができること

引当金の認識

  • 「借方項目の費用(○○引当金繰入)」と「貸方項目の負債(○○引当金)」とを同時に認識する
    借方 貸方
    ○○引当金繰入(費用) 100,000 ○○引当金(負債) 100,000

引当金の認識の論拠

  1. 発生主義にもとづくもの、対応原則にもとづくもの
    • 引当金を費用の側面から捉えるもの
    • 引当金の論拠となる発生主義
      • 広義の発生主義、発生原因主義
      • 「当期の収益と因果関係があるものを当期の費用として認識する」という対応原則の考え方が根底にある
      • 期間利益計算を適正に行うべく、資源流出と当期の収益とが経済的犠牲と成果との関係にあるのであれば、同じ期に計上すべきである
    • 負債性引当金の場合
      • 将来の資源流出の原因が発生した時点にで費用を認識し、引当金を計上する
    • 評価性引当金の場合
      • 資源の流入の取り消し、または損失が発生した時点に費用を認識し、引当金を計上する
  2. 保守主義にもとづくもの
    • 「費用や損失をできるだけ早期に計上しよう」という保守主義を引当金の認識の論拠とする考え方
      • 負債と利益留保とを混同することにつながりかねず、利益計算の適正化という点からは妥当とはいいがたい
    • 電力事業法にもとづく渇水準備引当金
      • 湖水期の収益減少に備えるための利益留保性準備金
      • 公益保護の観点から法によって、負債計上を強制されたものであって、会計上の負債とは区別して表示される
  3. 資源流出の可能性の高さにもとづくもの
    • 資源流出の可能性の高さを引当金の認識の論拠とする考え方
      • 企業会計原則注解も、将来の資源流出の可能性が高いことを引当金の認識の要件のひとつとしている
    • 当期の負債である引当金を認識する際には、資源流出の可能性の高さに加えて、発生主義や対応原則が論拠となる
      • 無限に予想される将来の資源流出について、可能性の高さのみによって当期の負債を認識するのは困難であるため
      • 利益留保性の準備金との区別が曖昧になりかねないため
    • 将来における資源流出の可能性が低いものや、金額の見積りが困難なものは、特別法上の渇水準備引当金等を除き、引当金として認識することは認められない
      • 引当金として認められない例
        • 地震損失引当金、係争中の事件に関する損害賠償などの偶発債務
        • 利益留保性の準備金として、純資産の部の「任意積立金」に計上される(「偶発債務」として貸借対照表の註記事項に記載されるのみ)

56. 債務

支払手形、買掛金、前受金

  • 企業の主目的たる企業取引において生ずる債務
    • 商品や原材料等の購入などによって生ずる支払手形や買掛金
    • 販売に先立って生ずる前受金
  • 決済日が1年以内に到求しないもの
  • 正常営業循環基準の適用によって「流動負債」に分類される

預り金、未払金、前受収益、未払費用

  • 預り金
    • 現金等を一時的に預かることによって生ずる債務
    • 従業員の源泉所得税
  • 未払金
    • 商品や原材料以外のものの購入によって生ずる債務
    • 土地や有価証券を購入した対価の未払い分
  • 預り金と未払金の分類
    • 企業の主目的たる営業取引以外の取引によって生ずる
    • 1年基準の適用によって「流動」と「固定」とに分類される
  • 前受収益
    • 一定の契約に従って、継続的に役務を提供する場合において、いまだ提供していない役務の対価を受領したもの
  • 未払費用
    • 一定の契約に従って、継続的に役務の提供を受ける場合において、すでに提供された役務について対価をいまだ支払っていないもの
  • 前受収益と未払費用の分類
    • 発生主義にもとづく当期の収益、および費用の認識によって計上される調整項目
    • 前払費用、および未収収益とともに「経過勘定」と呼ばれる
    • すべて「流動負債」に分類される

借入金

  • 企業の主目的たる営業取引ではなく、金銭貸借取引によって生ずる債務
  • 「流動」と「固定」との分類には1年基準が適用される
    • 返済期限が決算日の翌日から起算して1年以内に到来する短期借入金は「流動負債」
    • 返済期限が1年以内には到来しない長期借入金は「固定負債」

社債

  • 企業が資金調達のために発行する有価証券の一種
    • 不特定多数の人から個別に資金を調達するという点では株式と類似している
    • 調達した資金の返済義務(償還義務)を負い、利息を支払うという点で株式とは異なる
  • 社債の種類
    • 普通社債
    • 株式に転換する権利を附与した転換社債
    • 一定の金額で新株式を購入する権利を附与した新株予約権付社債

55. 負債の本質と分類

負債の捉え方

  1. 「負債 = 他人資本」の場合
    • 「すでに資源を受け入れていること」および「受け入れた資源に対して、外部者が持ち分を有していること」をもって、負債の本質が規定される
  2. 「負債=マイナスの財産」の場合
    • 「将来における経済的資源の流出」が負債の本質となる

近年の傾向

  • 近年は、負債をマイナスの財産として捉える傾向にある。
    • 企業会計基準委員会「財務会計の概念フレームワーク」の負債の定義
      • 「過去の取引または事象の結果として」
      • 「報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す」
      • 「義務、またはその同等物」
    • 経済的資源の流出という将来事象を把握するには不確定な要素が多い
    • 負債の認識は、資源を流出させる義務を負っているか否か、あるいは、その流出が不可避であるか否か、にもとづいて判断しなければならない

負債の分類

  1. 法的債務
    • 確定債務
      • 期日、相手、額がすべて確定している債務
    • 条件つき債務
      • ひとつでも不確定なものがある債務
      • 製品保証引当金
        • 製品の購入者が修理を申し出た際に発生する条件付き債務
  2. それ以外のもの
    • 法的債務には該当しないものの、将来における財産の流出が合理的に予測されるもの
      • 会計的負債として認識される
    • 修繕引当金
      • 設備の利用によって修繕の必要が生じ、修繕を行うことによって財産が流出するという負債
    • このような負債は、期日も、相手も、額も特定されていないが、財産の流出が将来において合理的に予想されるため計上する

流動負債と固定負債

  • 貸借対照表では、負債は「流動負債」と「固定負債」とに分類して表示される
    • 資産・負債を「流動」と「固定」とに分類表示することによって、企業の財政状態はより明確に示される
    • 特別法上の準備金がある場合は、さらに「引当金」の区分が設けられる
  • 流動と固定の分類手順
    1. 正常営業循環に属する支払手形や買掛金が流動負債とされる
    2. それ以外の負債に1年基準が適用される

54. 繰延資産

繰延資産

  • ある支出の効果が将来に渡って発現すると期待される場合に、いったん資産として繰り延べられ、徐々に費用化される資産
  • 繰延資産には、償却期間に渡って均等額以上の償却が行われる

繰延資産の捉え方

  1. 「資産=換金価値があるもの」とする立場
    • 繰延資産の計上は認められない
  2. 「資産=投下資本の回収形体を示すもの」とする立場
    • 繰延資産は将来の収益獲得に貢献する支出であって、将来の収益に対応する資産であると考える
  3. 「資産=将来の経済的便益」とする立場
    • 将来に渡って効果を発現する繰延資産の計上が認められる

繰延資産の例

  • 会社の設立や営業開始のための支出(創立費、開業費)
  • 将来の収益増加や費用削減のための支出(試験研究費、開発賞)
  • 資金調達、株式や社債の発行に要した支出(新株発行費、社債発行費)
  • 社債の額面額と発行価額との差額(社債発行差金)

臨時巨額損失

  • 繰延資産ではないが、天災等によって固定資産等の資産が巨額の損失を被り、その損失が当期の純利益、または未処分利益では補てんできず、法令によって認められる場合は、その損失額を一時的に資産に計上し、繰り延べることができる
  • 臨時巨額損失は、政策上の処理であって、会計上の資産ではないことから、できるだけ早期に償却しなければならない

53. 固定資産 (3)

無形固定資産

  • 物質的な存在形体は持たないが、企業活動のために長期に渡って利用される資産
    • 法律上の権利のみならず、ソフトウェアの制作に要した費用なども無形固定資産として計上される
      • 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、借地権、鉱業権、漁業権など
    • 取得原価によって評価される
    • 規則的な償却続きによって費用化される
  • のれんの処理
    • 他企業の買収や合併において、受け入れた純資産の額より支払い額が多い場合には、超過額を「買い入れのれん」として無形固定資産に計上する
      → 相手の企業に超過収益力があると考えられるため
    • 自社の超過収益力を評価した「自己創設のれん」は、資産としての計上が認められていない
      → その価値を客観的に測定することが困雛であるため

投資その他の資産

  • 有価証券のうち、流動資産とはならないもの
    • 満期保有目的債券で満期日が1年以内に到来しないもの
    • 子会社、関連会社株式
    • その他の有価証券
  • 期限が1年以内に到来しない長期貸付金や定期預金
  • 1年以内の回収が見込めない破産債権や更生債権

52. 固定資産 (2)

減価償却費の計算方法
いずれも取得原価から残存価値を控除した額を費用化する方法だが、各期への配分方法が異なる

  1. 定額法
    • 減価償却費 = ( 取得原価 - 残存価額 ) ÷ 耐用年数
    • 費用化される額を耐用年数に渡って定額ずつ配分し、減価償却費を計算する方法
  2. 定率法
    • 減価償却賞 =(取得原価 - 減価償却累計額)× 償却率
    • 未償却残高に一定の償却率で減価償却費を乗じて計算する方法
    • 償却率は耐用年数にもとづいて定められ、毎年一定である
    • 取得してから間もない資産の場合は費用の額が大きく、残存耐用年数が少ない資産の場合は費用の額が小さくなる
  3. 級数法
    • 減価償却費 = ( 取得原価 - 残存価額 ) × ( n - k + 1 ) ÷ ( n ( n + 1 ) ÷ 2 )
      ※ 耐用年数 n の資産の k 年目の減価償却
    • 算術級数を用いて各期に配分する方法
    • 取得してからまもない資産の場合は費用の額が大きく、残存耐用年数が少ない資産の場合は費用の額が小さくなる
    • 費用の差は定率法ほどは大きくない
  4. 生産高比例法
    • 減価償却費 = ( 取得原価 - 残存価額 ) × ( 当期実際利用量 ÷ 総利益可能量 )
    • 耐用年数ではなく、利用割合によって計算する方法
    • 適用対象となる資産
      • 総利用可能量をあらかじめ推定できるもので、かつ減価の主な原因が利用によるもの
      • 航空機や自動車など

51. 固定資産 (1)

固定資産

  • 販売目的ではなく、利用・投資等を目的として、企業が長期に渡って保有する資産
  • 販売目的で所有される不動産会社の建物や自動車販売会社の車両などは固定資産ではなく、棚卸資産に分類される
  • 前期まで固定資産に分類されていた債権や有価証券のうち、1年以内に期限が到来するものは流動資産に分類される

有形固定資産

  • 土地、建物、構築物、機械装置、車両運搬、工具器具、備品などの物質的な存在形体を持ち、長期に渡って保有される資産
      ↓
    企業活動に用いられる、あるいは時間の経過によって、その能力が費消され、価値が減少する
      ↓
    価値の額を物理的に把握することは困難なため、減価償却の手続きが行われる
  • 減価償却の対象外
    • 土地は、その能力が費消されることなく、永久に利用されうることから、減価償却を行わない
    • 建設仮勘定は、建設中の有形固定資産を示すもので、当該資産はいまだ使われていないため、減価償却を行わない
  • 減価償却の手続きへの捉え方
    1. 費用配分の側面
      • 物部的には把握しづらい能力の費消を捉え、利用期間とされる耐用年数に渡って費用を配分するための手続き
    2. 貸借対照表における資産評価という側面
      • 資産価値の減少分を認識する手段
    3. 投下資本の回収という側面
      • 減価償却費という支出を伴わない費用を計上することによって、同額の流動資産を企業内に保有し、固定資産に投下された当初の金額を回収するための手段
    4. 資産の取得時や廃棄時における期間費用の増加を避ける側面
    5. 資産の取り替えのための資金を確保する側面
  • 資産評価を重視するのであれば、取得原価を基礎とする減価償却よりも、時価による評価のほうが適切であろう

有形固定資産の取得原価を費用化する方法

  1. 減価償却
    • 費用配分、投下資本の回収の側面から行われる手続き
  2. 取替法
    • 鉄道の枕木やレール、電柱など同種の資産が多く集まってひとつの機能を果たすような固定資産について、部分的な取り替えのための費用を計上する方法
  3. 廃棄法
    • 固定資産の取得時に、資産計上したまま減価償却は行わず、資産の取り替えを行う際に、廃棄した旧資産の取得原価を費用計上する方法
  4. 減損
    • 保有する固定資産の収益性が低下し、簿価額の回収が見込めなくなった場合には、回収不能分を減額する必要がある
    • 減損の認識によって生ずる減損損失は、当該期間の特別損失に計上される

50. 流動資産 (3)

棚卸資産(商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵品等)

  • 棚卸資産 = 企業の通常の営業活動において、販売を目的として保有され、短期間に費消部分を物量的に把握できる資産
  • 流動資産に分類される
  • 棚卸資産の種類
    • 販売のために他企業から購入した商品
    • 自ら生産した製品
    • 生産の途中段階の半製品(生産途中でも外部に販売できるもの)
    • 仕掛品(生産途中では外部に販売できないもの)
    • 生産のために短期間に費消される原材料、消耗品(貯蔵品)
    • 販売活動や一般管理活動のために費消される消耗品(貯蔵品)
  • 棚卸資産の評価・計上
    • 基本的には取得原価で評価される
    • 費用配分の原則にもとづいて、費消分が当期の費用配分される
    • 未費消分は、資産のまま計上され、次期以降の費用に配分される
    • 当期に費消された棚卸資産の額を計算するためには、棚卸資産の物量と単価とを計算する必要がある
      • 物量は、継続記録法(帳簿棚卸法)または実地棚卸法によって把握される
      • 単価は、個別法、先入先出法、後入先出法、平均法、売価還元法などによって把握される

棚卸資産の物量を測る方法

  1. 継続記録法(帳簿棚卸法)
    • 商品有高帳などの帳簿記録によって、棚卸資産の費消分と期末在庫分とを継統的に把握する方法
  2. 実地棚卸法
    • 決算時においてなど、定期的に行われる実地棚卸にもとづき、以下の式で当期費消分を間接的に把握する物量計算の方法
      • 期首数量 + 当期取得数 - 期末数量 = 当期費消数量
    • いずれの方法によっても期末棚卸資産の数量は一致するはずである
      • 実際には、移動や展示による破損、紛失などによって、実地棚卸法の数の方が少なくなる
      • 不足分は、棚卸減耗として当期の費用に含められる

棚卸資産の単価を計る方法

  1. 個別法
    • 取得原価が異なる棚卸資産ごとに区別して把握し、個々の実地原価によって、費消分および期末在庫分の単価を算定する方法
  2. 先入先出法
    • 最も古く取得したものから費消し、期末在庫分は最も新しく取得したものであるとみなす方法
  3. 後入先出法
    • 最も新しく取得したものから費消し、期末在庫分は最も古く取得したものであるとみなす方法
  4. 平均法
    • 取得した棚卸資産の平均単価を計算する方法
    • 移動均法(取得ごとに平均単価を計算する)
    • 総平均法(一定別間に取得した棚卸資産の総価額を総数量で割る)
  5. 売価還元法
    • 期末棚卸資産の売価の合計額に原価率を乗じて、取得原価を把握する方法
  6. 強制評価減
    • 期末棚卸資産は基本的には取得原価で評価されるが、時価が取得原価より著しく下落し、回復の見込みがあると認められない場合には、時価によって評価しなければならない
    • 切り下げられた場合の評価損は、営業外費用、または特別損失として計上される
  7. 低価法
    • 時価が取得原価まで回復する見込みがある場合や、時価の下落が著しくない場合であっても、時価と取得原価とのいずれか低い
    • 価額によって評価することが認められている
    • 強制評価減とは異なり、企業は任意で適用することができる
    • 適用した場合には、以後継続して行なわなければならない

49. 流動資産 (2)

未収金、前払費用、未収収益

  • 営業取引以外の取引によって生ずる債権
    • 未収金
      • 商品や製品以外の資産(土地や有価証券など)の売却によって生じた債権
      • 経過勘定
    • 前払費用
      • 企業の主目的たる営業取引以外の取引によって生ずる債権
      • 一定の契約に従って継続的に役務の提供を受ける場合において、いまだ提供されていない役務の対価を支払ったもの
    • 1年基準を適用
  • 未収収益
    • 一定の契約に従って継続的に役務を提供する場合において、すでに提供した役務について、いまだ対価を受領していないもの
    • すべて流動資産
  • 前払費用と未収収益
    • 発生主義にもとづく当期の収益・費用の認識によって計上される調整項目

経過勘定

  • 前受収益、未払費用、前払費用、未収収益

貸付金

  • 営業取引ではなく、金銭貸借取引によって生ずる債権
  • 1年基準を適用
    • 決算日の翌日から起算して、1年以内の回収が見込める「短期貸付金」は「流動資産」、1年以内には回収されない「長期貸付金」は「固定資産」とみなす

貸倒引当金

  • 受取手形、売掛金、貸付金などの債権は相手先の倒産などによって回収不能(貸し倒れ)になる危険性をともなう
  • 貸倒引当金 = 回収不能額をあらかじめ見債って、債権額から控除する項目
    • 債権額 - 貸倒引当金(回収不能額の搾除)= 債権の回収見込み額
  • 減価償却累計額と同様、資産の評価勘定としての性質を持つことから「評価性引当金」とも呼ばれる
  • 貸し倒れによる損失は、債権取引に内在する費用であり、当期の収益と対応すべき費用である
      ↓
    貸倒引当金を設定する際には、貸倒引当金繰入(費用勘定)が同時に計上される

    借方 貸方
    貸倒引当金繰入 10,000 貸倒引当金 10,000

経過勘定

  • 前受収益、未払費用、前払費用、未収収益