未実現損益の消去
- 連結会社相互間で、棚卸資産や固定資産などの資産を、取得原価に利益を加算して売買することがある
- 企業集団内における資産の移動にすぎない
- 連結決算時に外部への販売が完了していない場合、当該資産が期末に残存している場合には、当該資産に含まれる未実現損益を消去しなければならない
未実現損失
- 売り手側の帳簿価額のうち、回収不能と認められる部分は消去しない
- 未実現損益の額に重要性が乏しい場合には、消去しないこともできる
- 未実現損益の消去が必要なケ―ス
- (1) 親会社が子会社に販売した場合(ダウン・ストリーム)
- (2) 子会社が親会社に販売した場合(アップ・ストリーム)
- (3) 子会社間で売買された場合
(1) 親会社が子会社に販売した場合(ダウン・ストリーム)
- 親会社において未実現損益が計上される
- 子会社が保有する当該資産の額は、未実現損益の分だけ過大(または過小)に評価され、その額だけ売上原価が過小(または過大)に計上される
- 未実現利益の仕訳
借方 |
貸方 |
売上原価 |
XXXX |
棚卸資産 |
XXXX |
- 未実現損失の仕訳
借方 |
貸方 |
棚卸資産 |
XXXX |
売上原価 |
XXXX |
例題5
- X1年3月31日にP社は、S社株式の80%を取得して、連結子会社とした
- 連結決算日のX2年3月31日において、S社が親会社P社から購入した商品 3,000のうち、400が在庫として残っている
- P社は、S社に利益率10%で商品を販売している
- 取引高の相殺消去
借方 |
貸方 |
売上 |
3,000 |
売上原価 |
3,000 |
- 未実現損益の相殺消去
未実現損益 = P社から購入した商品の期末残高 × 利益率 = 400 × 0.1
投資と資本の相殺消去
- 連結決算では、連結会社全体をひとつの会計単位とみなして、財務諸表を作成する
- 連結決済は、親会社から子会社への投資は会計単位内部での資金移動にすぎない
↓
連結会社の個別貸借対照表をそのまま合算してしまうと、資産・純資産が過上計上されてしまう
↓
親会社の子会社に対する投資(子会社株式)と、これに対応する子会社の資本(純資産の部に計上される、新株予約権および少数株主持分以外の諸勘定)を相殺消去する必要がある
↓
子会社相互間の投資と、これに対応する資本についても、相殺消去する必要がある
「持ち分比率が100%の子会社への投資」と「その子会社の資本」の相殺消去
借方 |
貸方 |
資本金 |
XXXX |
子会社株式 |
XXXX |
資本剰余金 |
XXXX |
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評価差額 |
XXXX |
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利益剰余金 |
XXXX |
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少数株上が存在する場合
- 子会社の資本のうち、親会社の投資に相当する部分が持ち分比率に応じて相殺消去され、少数株主に帰属する部分は「少数株主持分」として処理される
借方 |
貸方 |
資本金 |
XXXX |
子会社株式 |
XXXX |
資本剰余金 |
XXXX |
少数株上持分 |
XXXX |
評価差額 |
XXXX |
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利益剰余金 |
XXXX |
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投資と資本を消去する際に消去差額が借方に生じる場合
- 消去差額を「のれん」として計上する
借方 |
貸方 |
資本金 |
XXXX |
子会社株式 |
XXXX |
資本剰余金 |
XXXX |
少数株上持分 |
XXXX |
評価差額 |
XXXX |
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利益剰余金 |
XXXX |
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のれん |
XXXX |
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のれん
- 子会社の純資産の公正な評価額以上に対価を支払ったことによって生じた差額
- 子会社の持つ「超過収益力」を表す
- 資産として計上され、計上後20年以内に定額法、その他の合理的な方法によって、償却される
- 差額が貸方に生じた場合は、その差額を「負ののれん」として、負債の部に計上し、のれんと同様の方法によって償却される
- 「のれん」「負ののれん」は、いずれも金額の重要性が乏しい場合には、当期の損益として処理することもできる