大学レベルの会計

121. 成長性分析

成長性分析

  • 財務資料の推移から企業の成長位を把握すること。
  • 成長性分析には売上高、資産、利益、付加価値、生産性、従業員数などさまざまな分析がある。
  • プロダクト・ライフサイクルの位置を考慮しながら、数値を分析しなければならない。

プロダクト・ライフサイクル

  • 企業はさまさまな事業や製品に多角化することによって、成長を持続させようとする。
  • 企業の成長を確実なものとするためには、さまざまなライフサイクルの段階にある事業や製品を有することによって、リスクを分散させる必要がある。
  • 企業全体の成長性を分析するためには、個々の事業や製品のライフサイクルを把握する必要がある。
  • 事業や製品のライフサイクルを理解する際には「導入期、成長期、成熟期、衰退期」の4段階に分けてとらえることが一般的である。
  • プロダクト・ライフサイクルの各段階を認織するためには事業や製品ごとの売上高や利益の成長率を算出すればよい。
  • 業界平均のプロダクト・ライフサイクルと自企業の成長率とを勘案することによって状況に即した経営判断が可能になる。
プロダクト・ライフサイクル

導入期

  • 市場の発達の初期段階である。
  • 製品の生産量が少ないためコストや価格は高く、認知度もさほどないことから資金流入はほとんどない。
  • 製品の認知度を高めるために販売促進活動や生産能力拡大のための設備投資などが必要になるため、資金流出は多くなる。
  • キャッシュフローはマイナスの状況である。

成長期

  • 市場の成長にともなって売上高が伸び、資金流入が増大する段階である。
  • 市場の成長にともなって他企業との競争も激しくなることから、相応のプロモーション活動、新規設備投資、資金準備等による資金流出も考えられる。

成熟期

  • 市場の成長が純化し資金流入も安定化する段階である。
  • 市場の成長が鈍化していることから、もはや追加的な設備投資や資金準備は不要となり、資金流出は最小限にとどまる。
  • キャッシュフローは高水準のプラスとなる。

衰退期

  • 売上高は低下傾向になり、市場それ自体が寿命を終える段階である。
  • 新規投資の必要はほとんどないことから、一部の企業はある程度のキャッシュを生み出し続けることができるが、それ以外の企業は撤退するか、新たなライフサイクルを創造すべく、積極的なイノベーションに注力するケースが多い。

120. 労働分配率

付加価値の分配

  • 付加価値はさまざまな主体に分配される。
  • 人判資として従業員に分配されたり、利益として株主に分配されたり、租税公課として国に分配されたりする。

労働分配率

  • 付加価値に占める人件費の割合。
  • 付加価値が人件費として従業員にどの程度分配されているのかを示す指標。
  • この比率が高ければ高いほど、その企業の従業員の賃金は相対的によい。
  • 労働に対する分配が大きいということは、人件費が大きいということであって、これは企業の収益性を圧迫する。
  • 労働に対する分配が小さいということは、人件費を抑えることができているが、これは優秀な人材を集めることができないことにもつながる。
  • 労働分配率は、従業員への賃金支払いや成果配分の一応の目安にはなる。
労働分配率 = ( 人件費 / 付加価値 ) × 100 (%)

資本分配率

  • 資本分配を付加価値で除したもの。
    • 資本分配 = 付加価値のうち人件費として分配される部分を差し引いたもの
  • 付加価値に占める利益の割合を示す指標。
資本分配率 = ( 付加価値 - 人件費 ) / 付加価値
      = 1 - 労働分配率

総資本利益率と資本分配率の関係

  • 資本分配率に総資本生産性を乗ずると、収益性の指標となる総資本利益率を算出することができる。
  • 資本分配率の計算式を用いることによって、生産性や収益性などの指標との関係を把握することができる。
総資本利益率 = 資本分配率 × 総資本生産性
       = ( 利益 / 付加価値 ) × ( 付加価値 / 総資本 )

119. 生産性分析の代表的な指標

生産性分析の代表的な指標

  • 生産性分析の代表的な指標には「労働生産性」と「資本生産性」がある。

労働生産性

  • 従業員一人当たりの付加価値を示す指標。
  • 付加価値(人件費+利益)を従業日数で除して算出する。
  • 労働生産性は「一人当たり売上高」と「付加価値率」に分解することができる。
労働生産性 = ( 付加価値 / 従業員数 ) × 100 (%)
労働生産性 = 一人当たり売上高 × 付加価値率

一人当たり売上高

  • 売上高を従業日数で除したもの。
  • 売上高や従業員数の違う企業を比較分析するためには、一人当たり売上高のような共通の指標を用いる必要がある。
一人当たり売上高 = 売上高 / 従業員数

付加価値率

  • 売上高に占める付加価値の割合。
  • 加工度の水準、つまり内製率の高さを示す指標。
  • 外部購入価値の割合が大きい業種の場合は低く、外部購入の割合が小さい業種の場合は高くなる。
付加価値率 = ( 付加価値 / 売上高 ) × 100 (%)

資本生産性

  • 付加価値を資本で除したもの。
  • 企業の生産活動は従業員の労働と資本とが結びつくことによって行われるため、資本がどれだけの付加価値を生み出したのかを分析する必要がある。
  • 資本生産性が高ければ高いほど、企業の投資効率はよい。
資本生産性 = ( 付加価値 / 資本 ) × 100 (%)

総資本生産性

  • 総資本生産性は「総資本回転率」と「付加価値率」に分解することができる。
総資本生産性 = ( 付加価値 / 総資本 ) × 100 (%)
       = 総資本回転率 × 付加価値率
       = ( 売上高 / 総資本 ) × ( 付加価値 / 売上高 ) × 100 (%)

118. 生産性分析

生産性分析

  • 事業活動に投入された生産要素がどれだけの生産物をもたらしたのかについての分析。
  • 生産七l分析によって生産要素をどれだけ有効に用いているかを判断することができる。
  • 生産性分析においては「付加価値」の概念が重要になる。
生産性 = 産出 / 投入

付加価値の概念と計算方法

  • 生産性は、産出を投入で除することによって算定されるが、このときに産出(分子)として付加価値が用いられる。
  • 付加価値は、生産や販売といった経営活動を通じて、企業が新たに生み出した価値として定義される。
  • 付加価値の計算には「控除法」と「加算法」がある。

控除法

  • 付加価値の創出の側面に着目した計算方法。
  • 付加価値は、売上高や生産高と原材料費や外注加工費等の外部から購入した価値との差額として計算される。
  • 原材料費や外注加工費が「前給付費用」と呼ばれ、これには光熱費や消耗品費等も含まれる。
  • 前給付費用に減価償却費を含める場合と含めない場合がある。
  • 減価償却費を含めたものは「粗付加価値」と呼ばれ、含めないものは「純付加価値」と呼ばれる。
  • 前給付費用の特定は難しい。
控除法による付加価値 = 売上高または生産高 - 前給付費用

加算法

  • 付加価値の分配の側面に着目した方法。
  • 付加価値の構成要素をあらかじめ決めておき、その合計をもって付加価値をとらえる方法。
  • 付加価値に減価償却費を含める場合と含めない場合がある。
  • 減価償却費を含めたものは「粗付加価値」と呼ばれ、含めないものは「純付加価値」と呼ばれる。
  • 人件費の把握が財務諸表からは難しい。
加算法による付加価値 = 利益 + 人件費 + 賃貸料 + 支払利息 + 租税公課

控除法と加算法の選択

  • 理論的にはいずれの計算方法を用いても同じ結果になるが、実際には細かい計算処理を通して異なる結果になることもある。
  • 一般には簡便にして理解しやすいことから加算法が用いられることが多い。

117. 長期安全性と資本構成

長期安全性と資本構成

  • 長期的な安全性は、返済が必要な他人資本(負債)と返済が不必要な自己資本との比率をみることで分析されることがある。
  • この代表的な指標として「自己資本比率」と「負債比率」がある。

自己資本比率

  • 自己資本が総資本に対してどれくらいの割合であるのかを示す指標。
  • 企業が調達した資金において株主から調達した資金の占める割合をあらわしていることから「株主資本比率」とも呼ばれる。
  • 自己資本は返済不要な資本であるため、通常、自己資本比率は高ければ高いよい。
  • この比率が高いと、多額の支払利息によって経営が圧迫されることがない。
  • 一般に、この比率は50%以上が望ましい。
  • この比率が低いと、負債に伴う支払利息の負担が大きいことから、安全性が確保されているとはいえない。
  • 自己資本比率の高さは対外的な信用力になるため、融資を受ける際の担保にも成り得る。
  • 設備投資に消極的なために自己資本比率が高いというケースもある。
自己資本比率 = ( 自己資本 / 総資本 ) × 100 (%)
       = 自己資本 / ( 負債 + 自己資本 ) × 100 (%)

負債比率

  • 負債が自己資本に対してどれくらいの割合であるかを示す指標。
  • 負債が自己資本の何倍あるのかを示すもの。
  • この比率と自己資本比率はトレードオフの関係にある。
  • 一般に、この比率は100%以下が望ましく、100%以下であれば安全と評価される。
  • 負債比率は、低ければ低いほどよいとは限らない。
  • 負債比率が低いということは、自己資本を担保とした効率的な他人資本の活用による積極的な財務戦略を進めていないとも解釈することができる。
  • 中小企業やベンチャー企業に見られるように、銀行等から融資を受けるということは信用力があるということでもある。
負債比率 = 負債 / 自己資本 + 固定負債
     = ( 総資本 - 自己資本 ) / 自己資本
     = ( 総資本 / 自己資本 ) - 1
     = ( 1 / 自己資本率 ) - 1

116. 長期安全性分析

長期安全性分析

  • 短期安全性分析において高評価であったとしても、長期安全性が確保されているとは限らない。
  • 長期安全性の指標には「固定比率」と「固定長期適合率」がある。

固定比率

  • 自己資本でとれだけの回定資産をまかなっているかを表し、固定資産投資における調達と運用とのバランスを示す指標。
  • 固定資産を自己資本で除したもの。
    • 固定資産とは、土地、建物、機械設備等の長期に渡って使用され、短期のうちには現金化することができない資産。
    • 固定資産は、返済義務のない自己資本によって取得していることが安全性の面で重要である。
    • 固定資産が長期に渡って使用されるものである以上、その取得は長期に渡って使用しうる資金によるほうが望ましい。
    • 現実には、固定資産の全額を自己資本でまかなっている企業は極めて少ない。
  • この比率は100%以下であることが望ましい。
    • 実際の企業の状況を考慮すると、固定比率を100%以下に抑えることは難しい。
    • 日本企業の場合、固定資産の取得は株式市場からの資金調達によるよりもメインバンクからの融資による場合が伝統的に多い。
    • 巨額の設備投資を必要とする産業の場合、そもそも固定資産への全投資を自己資本の範囲内でまかなうことは至難である。
  • 固定比率を低く保つことに固執するあまり、大規模な投資をせずに企業成長のチャンスを逃してしまうことがある。
  • 固定比率のみでは実際の企業経営に配慮した安全性の判断は成し得ない。
固定比率 = ( 固定資産 / 自己資本 ) × 100 (%)

固定長期適合率

  • 固定資産が自己資産や固定負債に対してどのくらいの割合であるかをしめす指標。
  • 固定長期適合率の利用は「固定資産を自己資本でまかなうことができない場合にも、長期借入金や社債など、返済切限が長期に渡るものでまかなわれているのであれば安全性は確保されている」という認識に基づいている。
  • 固定比率が100%を超えていても、固定長期適合率が100%以下であるならば、財務上の安全性は確保されていると考えてもよい。
  • 固定長期適合率が100%を超えている場合・・・
    • 固定資産が流動負債によってまかなわれている。
    • 長期に渡って使用する固定資産を流動負債によってまかなうことによって流動比率が悪化する。
    • 固定資産への投資が短期の運転資金に悪影響を及ぼしている。
    • 健全な状態であるとはいえず、資本構成が危険である。
固定長期適合率 = 固定資産 / ( 自己資本 + 固定負債 ) × 100 (%)

115. 短期安全性分析

経営の安全性

  • 企業の状況を把握する際には、利益(または利益)が重要視される。
  • 利益に注目することは重要ではあるものの、それだけでは企業の実態を正確にとらえることはできない。
  • 黒字倒産では、利益は上がっているものの、支払能力や資金の余絡がないために経営が成り立たなくなってしまう。
  • 企業経営を継続するためには、利益だけでなく経営の安全性にも注目する必要がある。
  • 収益性分析および安全性分析は、経常分析におけるいわば両輪である。

安全性分析

  • 貸借対照表を中心として財務的な面での安全性について行う分析。
  • 企業経営を継続するための資金的な側面における余裕度を知ることができる。
  • 安全性は、短期的な安全性と長期的な安全性とに分けてとらえることができる。

短期安全性分析

  • おおむね1年以内の支払い能力。
  • 代表的な指標である「流動比率」は、企業の短期的な債務の支払い能力を判断する際に用いられる。

流動比率

  • 流動資産を流動負債で除したもの。
  • 1年以内に返済すべき債務に対して、1年以内に現金化可能な資産がどの程度あるのかを示す指標。
    • 流動資産とは、現金預金、売上債権、棚卸資産等の1年以内に現金化しうる資産。
    • 流動負債とは、仕入債務や短期借入金等の1年以内に返済しなければならない負債。
  • 流動比率は高ければ高いほど望ましいが、一般には200%がひとつの目安とされている。
  • この比率は業種によって望ましいレベルが違う。
  • この比率が高い状態にあっても、それが必ずしも安全な状況を意味しているとはいえない。
    • 流動資産のかなりの部分が売上債権や在庫によって占められ、販売代金の回収が順調に進んでない場合や在庫が不良在庫化している場合には注意を要する。
    • そうした場合は、売上債権回転期間や棚卸債権回転期間を考慮しながら、良否を判断することが望ましい。
  • 流動比率が低い場合であっても、すぐには問題にならないこともある。
    • 長期的な取引関係にあるメインバンクがあれば、充分なパックアップが見込める。
流動比率 = ( 流動資産 / 流動負債 ) × 100 (%)

当座比率

  • 企業の規則的な支払能力がどの程度あるのかを示す指標。
  • 当座資産を流動負債で除したもの。
  • 流動比率をさらに詳細に検討するために、現金回収可能性の高い当座資産を用いる。
    • 当座資産とは、流動資産から棚卸資産を差し引いたもの。
    • 現金預金、売上債権、有価証券といった即材に監禁可能な資産。
  • 在庫は、実際に販売しうるかどうかが不確実なため、この指標においては除外される。
  • 当座比率は、流動比率に比べてより厳密に短期的な支払い能力を分析することができる。
  • 当座比率は100%程度が望ましいというひとつの目安がある。
当座比率 = ( 当座資産 / 流動負債 ) × 100 (%)

インタレスト・カバレッジ・レイシオ

  • 利息支払能を示す指標。
  • 支払利息が営業利益と受取利息等の合計額の何倍にあるかを示すもの。
  • 本業による利益、すなわち営業利益と財務による収益(金融収益)との合計額を支払利息で除したもの。
  • 利息を支払うのに充分な利益が生み出されているかどうかを判断することができる。
  • この比率は高ければ高いほどよいが、一般には3倍以上が望ましいとされている。
インタレスト・カバレッジ・レイシオ = ( 営業利益 + 金融収益 ) / 支払利息 (倍)

114. 債権回転率と資産回転率

売上債権回転率

  • 商製品の販売やサービスの提供によって得られた売上債権の回収状況を示す指標。
  • 企業の資金効率を示すもの。
  • 分母の売上債権(売上代金の未収額)には、受取手形、売掛金、裏書譲渡手形、割引手形残高が含まれる。
  • 売上債権に割引手形残高を含めない場合があるものの、売上債権に占める割引手形残高の割合が大きいことが多いため、これを含めるのが一般的である。
売上債権回転率 = 売上高 / 売上債権 (回)

売上債権回転期間

  • 売上債権をすべて回収するまでに必要とされる平均的な日数を示すもの。
  • 売上債権回転率を365日で除することによって算出することができる。
  • この期間が長い場合は、問題のある取引先を抱えていることなどを示しているため注意を要する。
売上債権回転期間 = ( 売上高 / 売上債権 ) / 365 (日)

棚却資産回転率

  • 売上高に対する商品、製品、消耗品等の棚卸資産の割合を示す指標。
  • 棚卸資産が売上債権ど同様に重要な資産であることから、この指標から販売戦略や在庫戦略の良否を判断することができる。
  • 数値が低く在庫が多ければ.過大な在庫や不良在庫を抱えていることで資金効率が悪くなっている。
棚卸資産回転率 = 売上高 / 棚卸資産 (回)

棚卸資産回転期間

  • 棚卸資産のすべてが回収されるまでに必要とされる平均的な日数を示すもの。
  • 棚却資産回転率を365日で除することによって算出することができる。
  • 何か月分の在庫があるのかが明らかになる。
棚卸資産回転期間 = ( 売上高 / 棚卸資産 ) / 365 (日)

有形国定資産回転率

  • 売上高に対する有形同定資産の割合
  • 有形固定資産の運用効率
  • 設備の新旧. 操業度、稼働率等の設備効率を把慢することができる。
  • 製造業では有形固定資産の重要性が高いため、この指標は重要である。
  • 数値が低い場合は.基本的には合理的な設備投資計画を進めたり、遊休設備の有無を検討したりする必要がある。
  • 新製品の生産設備への資金投下がなされた場合などには、一時的に数値が低くなることがある。
  • 短期的に数値が低下したからといって、安易に合理化政策を模索すべきではない。
  • 長期的な企業戦略を考慮しながら、この回転率を判断しなければならない。
有形固定資産回転率 = 売上高 / 有形固定資産 (回)

113. 資本回転率

資本回転率

  • 資本を活用することによって資本の何倍の売上を上げることができたのかを示す指標。
  • 資本の活動性や回収速度を示す指標。
  • この回転率が高ければ高いほど資本の使用効率がよい。
  • この回転率が高ければ・・・
    • 売上高を一定と仮定した場合、少ない資本の使用によって一定の売上高を達成することができる。
    • 資本を一定と仮定した場合、大きな売上向を期待することができる。
  • 資本回転率は資本利益率の構成要素であることから、資本回転率の高低は資本利益率に大きな影響を及ぼすことになる。
  • 資本回転率によって資本の使用効率を見ることは、収益性分析において極めて重要なプロセスである。
  • 一般に企業全体の資本回転率を見るためには、総資本回転率が用いられる。
  • 総資本=総資産であることから、総資本回転率は「総資産回転率」とも呼ばれる。
  • 総資本回転率を詳細に分析するためには、例別の資産や資本に基づいてとらえる必要がある。

総資本回転率

  • 売上高に対する総資本の割合。
  • 総資本の利用度を示す指標。
  • この回転率が低いと、総資本の利用度が低い。
    • 過剰な設備投資や無駄な在庫等が生じている可能性が高い。
    • 資本利益率が低下する。
    • 資金需要(借入金)が増加し、支払利息が増加する。
  • 製造業等の巨額の設備投資を必要とする業種の場合、商業等と比べると、総資本回転率は相対的に低くなる傾向がある。
  • 製造業の場合、総資本回収率は1回前後が一般的である。
  • 製造業でありながら、総資本回転率が1回をはるかに上回っている場合は、他企業から購入する部分が多いこと推測できる。
  • 総資本回転率は売上高利益率とは逆の関係にある。
総資本回転率 = 売上高 / 総資本 (回)

112. 売上高利益率

総資本利益率の分解

  • 売上高を介在させることによって、売上高利益率と総資本回転率とに分解することができる。

売上高利益率

  • 売上高に占める利益の割合。
  • 売上高のうちのどのくらいが利益になっているのかを示す指標。
  • この利益率が高いほど収益性が優れている。
売上高利益率 = ( 利益 / 売上高 ) × 100 (%)

売上高総利益率

  • 商業の場合は、商品の販売代金から売上原価を控除した売上総利益を売上高で除した比率。
  • 商品に平均してどの程度の利益を付加して販売しているかを示す。
  • 売上総利益率 = 粗利益率
  • この利益率が高ければ高いほどよい。
  • 製造業の場合は、売上原価の内容は製造原価であって、これには製造固定費が含まれている。
  • 生産量の変動によって単位あたりの製造固定費の割合が変わってくるため、必ずしも商業の場合と同様に考えることができない。
売上高総利益率 = ( 売上総利益 / 売上高 ) × 100 (%)

売上高営業利益率

  • 売上高と売上総利益から販売費および一般管理費を控除した営業利益との比率。
  • 企業の営業活動の総合的な成果を示す指標。
  • 営業利益は生産や販売といった営業活動によって獲得された利益であって、金融取引等はこれの影響を受けることがない。
  • 売上高営業利益によって販売活動や管理活動の効率性を把握することができる。
  • 売上総利益がいかに大きくとも、多額の販売費や一般管理費を必要とするならば、営業活動は全体的に効率的な状況にあるとはいえないため、この比率は売上総利従率よりも重要性が高い。
売上高営業利益率 = ( 営業利益 / 売上高 ) × 100 (%)

売上高経常利益率

  • 売上高と企業の財務活動から生じた金融収益、金融費用を考慮した後の経常利益との比率。
  • 営業利益に営業外収益、営業外費用を加減したもの。
  • 企業の実力を反映した最も合理的な利益概念。
  • 他企業との比較において、売上高営業利益率は同程度であるにもかかわらず、売上高経常利益率が異なる場合は、財務体質の良否が大きく影響している。
売上高経常利益率 = ( 経常利益 / 売上高 ) × 100 (%)

売上高当期利益率

  • 売上高と企業の最終的な利益である当期純利益との比率。
  • 売上高と当期純利益とは直接的な因果関係が薄いため、売上高当期利益率だけでは経営状況の判断が難しい。
  • 他企業と比較した際にこの比率が同程度であっても、売上高総利益率、売上高営業利益率、経常利益率など、その他の指標も考慮する必要がある。
売上高当期利益率 = ( 当期純利益 / 売上高 ) × 100 (%)