大学レベルの会計

51. 固定資産 (1)

固定資産

  • 販売目的ではなく、利用・投資等を目的として、企業が長期に渡って保有する資産
  • 販売目的で所有される不動産会社の建物や自動車販売会社の車両などは固定資産ではなく、棚卸資産に分類される
  • 前期まで固定資産に分類されていた債権や有価証券のうち、1年以内に期限が到来するものは流動資産に分類される

有形固定資産

  • 土地、建物、構築物、機械装置、車両運搬、工具器具、備品などの物質的な存在形体を持ち、長期に渡って保有される資産
      ↓
    企業活動に用いられる、あるいは時間の経過によって、その能力が費消され、価値が減少する
      ↓
    価値の額を物理的に把握することは困難なため、減価償却の手続きが行われる
  • 減価償却の対象外
    • 土地は、その能力が費消されることなく、永久に利用されうることから、減価償却を行わない
    • 建設仮勘定は、建設中の有形固定資産を示すもので、当該資産はいまだ使われていないため、減価償却を行わない
  • 減価償却の手続きへの捉え方
    1. 費用配分の側面
      • 物部的には把握しづらい能力の費消を捉え、利用期間とされる耐用年数に渡って費用を配分するための手続き
    2. 貸借対照表における資産評価という側面
      • 資産価値の減少分を認識する手段
    3. 投下資本の回収という側面
      • 減価償却費という支出を伴わない費用を計上することによって、同額の流動資産を企業内に保有し、固定資産に投下された当初の金額を回収するための手段
    4. 資産の取得時や廃棄時における期間費用の増加を避ける側面
    5. 資産の取り替えのための資金を確保する側面
  • 資産評価を重視するのであれば、取得原価を基礎とする減価償却よりも、時価による評価のほうが適切であろう

有形固定資産の取得原価を費用化する方法

  1. 減価償却
    • 費用配分、投下資本の回収の側面から行われる手続き
  2. 取替法
    • 鉄道の枕木やレール、電柱など同種の資産が多く集まってひとつの機能を果たすような固定資産について、部分的な取り替えのための費用を計上する方法
  3. 廃棄法
    • 固定資産の取得時に、資産計上したまま減価償却は行わず、資産の取り替えを行う際に、廃棄した旧資産の取得原価を費用計上する方法
  4. 減損
    • 保有する固定資産の収益性が低下し、簿価額の回収が見込めなくなった場合には、回収不能分を減額する必要がある
    • 減損の認識によって生ずる減損損失は、当該期間の特別損失に計上される

50. 流動資産 (3)

棚卸資産(商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵品等)

  • 棚卸資産 = 企業の通常の営業活動において、販売を目的として保有され、短期間に費消部分を物量的に把握できる資産
  • 流動資産に分類される
  • 棚卸資産の種類
    • 販売のために他企業から購入した商品
    • 自ら生産した製品
    • 生産の途中段階の半製品(生産途中でも外部に販売できるもの)
    • 仕掛品(生産途中では外部に販売できないもの)
    • 生産のために短期間に費消される原材料、消耗品(貯蔵品)
    • 販売活動や一般管理活動のために費消される消耗品(貯蔵品)
  • 棚卸資産の評価・計上
    • 基本的には取得原価で評価される
    • 費用配分の原則にもとづいて、費消分が当期の費用配分される
    • 未費消分は、資産のまま計上され、次期以降の費用に配分される
    • 当期に費消された棚卸資産の額を計算するためには、棚卸資産の物量と単価とを計算する必要がある
      • 物量は、継続記録法(帳簿棚卸法)または実地棚卸法によって把握される
      • 単価は、個別法、先入先出法、後入先出法、平均法、売価還元法などによって把握される

棚卸資産の物量を測る方法

  1. 継続記録法(帳簿棚卸法)
    • 商品有高帳などの帳簿記録によって、棚卸資産の費消分と期末在庫分とを継統的に把握する方法
  2. 実地棚卸法
    • 決算時においてなど、定期的に行われる実地棚卸にもとづき、以下の式で当期費消分を間接的に把握する物量計算の方法
      • 期首数量 + 当期取得数 - 期末数量 = 当期費消数量
    • いずれの方法によっても期末棚卸資産の数量は一致するはずである
      • 実際には、移動や展示による破損、紛失などによって、実地棚卸法の数の方が少なくなる
      • 不足分は、棚卸減耗として当期の費用に含められる

棚卸資産の単価を計る方法

  1. 個別法
    • 取得原価が異なる棚卸資産ごとに区別して把握し、個々の実地原価によって、費消分および期末在庫分の単価を算定する方法
  2. 先入先出法
    • 最も古く取得したものから費消し、期末在庫分は最も新しく取得したものであるとみなす方法
  3. 後入先出法
    • 最も新しく取得したものから費消し、期末在庫分は最も古く取得したものであるとみなす方法
  4. 平均法
    • 取得した棚卸資産の平均単価を計算する方法
    • 移動均法(取得ごとに平均単価を計算する)
    • 総平均法(一定別間に取得した棚卸資産の総価額を総数量で割る)
  5. 売価還元法
    • 期末棚卸資産の売価の合計額に原価率を乗じて、取得原価を把握する方法
  6. 強制評価減
    • 期末棚卸資産は基本的には取得原価で評価されるが、時価が取得原価より著しく下落し、回復の見込みがあると認められない場合には、時価によって評価しなければならない
    • 切り下げられた場合の評価損は、営業外費用、または特別損失として計上される
  7. 低価法
    • 時価が取得原価まで回復する見込みがある場合や、時価の下落が著しくない場合であっても、時価と取得原価とのいずれか低い
    • 価額によって評価することが認められている
    • 強制評価減とは異なり、企業は任意で適用することができる
    • 適用した場合には、以後継続して行なわなければならない

49. 流動資産 (2)

未収金、前払費用、未収収益

  • 営業取引以外の取引によって生ずる債権
    • 未収金
      • 商品や製品以外の資産(土地や有価証券など)の売却によって生じた債権
      • 経過勘定
    • 前払費用
      • 企業の主目的たる営業取引以外の取引によって生ずる債権
      • 一定の契約に従って継続的に役務の提供を受ける場合において、いまだ提供されていない役務の対価を支払ったもの
    • 1年基準を適用
  • 未収収益
    • 一定の契約に従って継続的に役務を提供する場合において、すでに提供した役務について、いまだ対価を受領していないもの
    • すべて流動資産
  • 前払費用と未収収益
    • 発生主義にもとづく当期の収益・費用の認識によって計上される調整項目

経過勘定

  • 前受収益、未払費用、前払費用、未収収益

貸付金

  • 営業取引ではなく、金銭貸借取引によって生ずる債権
  • 1年基準を適用
    • 決算日の翌日から起算して、1年以内の回収が見込める「短期貸付金」は「流動資産」、1年以内には回収されない「長期貸付金」は「固定資産」とみなす

貸倒引当金

  • 受取手形、売掛金、貸付金などの債権は相手先の倒産などによって回収不能(貸し倒れ)になる危険性をともなう
  • 貸倒引当金 = 回収不能額をあらかじめ見債って、債権額から控除する項目
    • 債権額 - 貸倒引当金(回収不能額の搾除)= 債権の回収見込み額
  • 減価償却累計額と同様、資産の評価勘定としての性質を持つことから「評価性引当金」とも呼ばれる
  • 貸し倒れによる損失は、債権取引に内在する費用であり、当期の収益と対応すべき費用である
      ↓
    貸倒引当金を設定する際には、貸倒引当金繰入(費用勘定)が同時に計上される

    借方 貸方
    貸倒引当金繰入 10,000 貸倒引当金 10,000

経過勘定

  • 前受収益、未払費用、前払費用、未収収益

48. 流動資産 (1)

現金・預金

  • 会計上の現金
    • 通貨
    • 即座に換金可能なもの
      • 他人振出の当座小切手
      • 郵便為替証書
      • 期日の到来した公社債の利札
      • 株式の配当金領収証
  • 預金
    • 銀行や信託会社などの金融期間における各種の預金や貯金
    • 金銭信託
    • 1年基準を適用
    • 決算日の翌日から起算して、1年以内に期限が到来する預金は「流動資産」、期限が1年以内には到来しない預金は「固定資産」とみなす

受取手形、売掛金、前払金

  • 企業の主目的である営業取引において生ずる債権
    • 販売によって生ずる受取手形や売掛金
    • 商品や原材料等の購入に先立って生ずる前払金
    • 正常営業循環基準の適用によって「流動資産」とみなす
  • 破産債権や更生債権など、正常営業循環には属さない債権
    • 1年基準を適用
    • 決算日の翌日から起算して、1年以内の回収が見込めない債権は「固定資産」とみなす
  • 受取手形、売掛金、有価証券
    • 容易に換金することができ、支払い手段としての能力が極めて高い資産

有価証券

  • 株式や公社債など、金融商品取引法に定められたもの
  • 1年以内に満期となるものは「流動資産」、それ以外は有価証券は「固定資産」、または「投資その他の資産」とみなす
  • 保有目的や属性によって4種類に分類される
    1. 売買目的有価証券
      • 企業が資金運用の一環として、時価の変動による利益を得るために保有する有価証券
      • 事業に影響を及ぼすことなく、いつでも市場で換金することができ、比較的短期間に頻繁に売買される
      • 期末時価によって評価され、評価差額は当期の損益として処理される
    2. 満期保有目的債券
      • 企業が満期まで保有する意図をもって所有する社債、その他の債券
      • 時価が変化しても売却されないため、償却原価法によって評価される
        • 償却原価法 = 債券等を額面額と異なる額で取得した場合、その差額を利息とみなし、満期まで一定の割合で債券の額を増減させる方法
      • 満期保有目的債券とはみなされず、時価によって評価される場合
        • 「企業が当該債券を満期まで保有する意図をもって所有していること」が確認できない
        • 「企業の財務能力に照らして保有が可能であること」が確認できない
    3. 子会社株式、関連会社株式
      • 子会社 = 意思決定機関が当該企業(親会社)によって支配されている会社
      • 関連会社 = 当該企業(親会社)またはその子会社が出資、人事、取引等の関係を通じて、財務および営業の方針決定に関して重要な影響を与えることができる会社
      • 株式は投資額である「取得原価」によって評価される
    4. その他の有価証券
      • 1.~3. 以外の有価証券
      • 時価によって評価される
      • 評価損益は企業の経営努力とは関係がないため、当期の損益とはされず、純資産の部に資本と区別して記載される
  • 満期保有目的債券、子会社株式、関連会社株式、その他の有価証券のうち、市場価格があるものの時価が著しく下落し、回復する見込みが認められない場合には、評価額を時価まで切り下げ、評価差額を当期の損失として計上する必要がある
  • 市場価格のないものについても、発行会社の財政状態の悪化によって実質価額が著しく低下した場合には、同様の処理を行う

当座資産

  • 現金・預金、受取手形、売掛金、有価証券

47. 資産の分類

資産の分類

  1. 資産を「貨幣性資産」と「非貨幣性資産」とに分類する考え方
    • 資産を「投下資本の具体的な形体を示すもの」とする捉え方から生じた考え方
  2. 投下資本の具体的な形体によって「貨幣性」と「非貨幣性」に分類する考え方
    • 貨幣性資産 = 回収資本、未投下資本の状態にある資産
      • 回収資本の状態 = 収益の獲得によって回収された状態(受取手形や売掛金など)
      • 未投下資本の状態 = 調達されたままの状態にあるもの(現金や預金など)
      • 回収資本は、販売過程を経ずに現金化され、資産に投下することができる
      • 現金化ができるという意味で、回収資本と未投下資本は同類とみなされる
    • 非貨幣性資産 = 投下資本の状態にある資産
      • 投下資本の状態 = 投下されて他の財やサービスに形を変えたもの(棚卸資産や有形固定資産など)
    • 土地や有価証券の扱い方に関連して問題点が指摘されている
      • 費用化されない土地は、投下されても回収されない
      • そもそも資産は、投下資本回収過程にあるものだけではないため、貸付や有価証券に関わるものとは区別すべきである
  3. 資産を「将来において経済的便益が発現するもの」として捉え、その経済的性質と評価額との関連によって、「貨幣性資産」と「非貨幣性資産」とに分類する考え方
    • 貨幣性資産 = 回収額が確定している現金、預金、債権、有価証券
      • 回収可能額によって評価される
    • 非貨幣性資産 = その他の棚卸資産、固定資産、繰延資産など
      • 原価で評価される

46. 資産の本質

静態論

  • 会計の目的 = 企業の債務弁済能力の表示と清算価値の計算
  • 資産 = 企業が所有する財や権利であり、換金価値のあるもの
  • 繰延資産のようなものは資産として計上できない

動態論

  • 会計の目的 = 投下資本の回収による期間利益計算
  • 資産 = 調達した資源の共体的な運用形体
  • 貸借対照表の資産
    • 資源の調達時の状態(現金や貯金など)
    • 投下されて他の財やサービスに形を変えた状態(棚卸資産や固定資産など)
    • 収益の獲得によって回収された状態(受取手形や売掛企、現金や預金など)

「会計の目的 = 意思決定の判断材料の提供」という近年の傾向

  • 将来における経済的資源の流入や流出に関心が向けられる
  • 貸借対照表の資産
    • 将来において経済的便益が発現するもの
    • 当該企業にのみ帰属するもの

企業会計基準委員会「財務会計の慨念フレームワーク」の資産の定義

  • 「過去の取引または事象の結果として」
  • 「報告主体(entity)が支配(control)している」
  • 「経済的資源(economic resources)またはその同等物」

資産の定義まとめ

  • 資産を「流動資産」と「固定資産」に分類する考え方は、企業の支払い能力に関心を持つ「静態論」の立場にもとづいている
  • 貸借対照表では、資産を「流動資産」と「固定資産」とに分類し、流動性の高い順に表示する「流動性配列法」が、通常は採用されている
  • 会計の目的は「期間利益計算」や「意思決定の判断材料の提供」に置かれているため、換金価値のない繰延資産も資産として計上される
  • 「繰延資産」は、流動資産や固定資産には区別されず、貸借対照表の最後に表示される

45. 貸借対照表の区分

資産の部

  • 資産の流動性
    • 資金的能力の高さに関する性質
    • 現金化される期間が短く、現金化が容易であるほど、支払い手段としての能力が高く、流動性が高い
  • 流動資産と固定資産を分類する基準
    1. 正常営業循環基準
      • 「商品や原材料を購入し、製造や販売を行い、代金を回収する」といった営業取引のサイクルに属する資産を流動資産とする
      • 流動資産 = 現金預金、棚卸資産(商品、製品、原材料、貯蔵品等)、売上債権(受取手形、売掛金等)
    2. 1年基準
      • 決算日の翌日から起算して、1年以内に現金化・費用化されるものを流動資産とする
      • 回収期限が1年以上の貸付金は固定資産とされ、回収期限が1年以内になった時点で流動資産に振り替えられる
      • 決済日が1年以上の受取手形は、1年基準では流動資産とはならないが、正常営業循環基準の適用により流動資産に分類される
      • 流動と固定との区分基準は、いずれも流動資産を規定するための基準であって、固定資産を規定するものではない
  • 流動資産と固定資産の分類手順
    1. 正常営業循環基準を満たす資産が流動資産とされる
    2. 正常営業循環基準を満たさない破産債権、更生債権、貸付金等のその他の債権、前払費用等のうち、1年基準を満たす資産が流動資産とされる
    3. 1.と2.を満たさない資産(流動資産以外の資産)が固定資産に分類される
  • 繰延資産
    • 「すでに支出や支払い義務の確定が生じ、用役の提供もすでに受けているにも関わらず、その効果が将来に渡って発現すると期待されるもの」を資産として計上したもの
    • 必ずしも金銭価値を持たないため、流動資産や固定資産とは区別される

負債の部

  • 正常営業循環基準と1年基準によって流動と固定に分類される
  • 流動負債と固定負債の分類手順
    1. 正常営業循環に属する仕入債務(支払手形、買掛金等)が流動負債とされる
    2. 正常営業循環に属さない借入金等の債務のうち、1年基準を満たすものが流動負債とされる
    3. 1.と2.に該当しない負債が固定資産とされる

純資産の部

  • 純資産の分類手順
    1. 株主に帰属する「株主資本」と「それ以外のもの」に分類される
    2. 株主資本はさらに「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」などに分類される
    3. 純資産の中の株主資本以外のものを「評価、換算差額等」「新株予約権」などに分類する

44. 貸借対照表の様式

貸借対照表の様式

  1. 勘定式
    • 純資産(資本)を「借方」と「貸方」とに対照表示する様式
    <資産の部>
    Ⅰ 流動資産
    Ⅱ 固定資産
     1 有形固定資産
     2 無形固定資産
     3 投資その他の資産
    Ⅲ 繰延資産
    <負債の部>
    Ⅰ 流動負債
    Ⅱ 固定負債
     
    <純資産の部>
    Ⅰ 株主資本
     1 資本金産
     2 資本剰余金
     3 利益剰余金
     4 自己株主
    Ⅱ 評価、換算差額党
    Ⅲ 新株予約権
    Ⅲ 繰延資産
  2. 報告式
    • 資産、負債、純資産(資本)の順に縦に表示する様式
    • 一般的に財務諸表に用いられる。
    <資産の部>
    Ⅰ 流動資産
    Ⅱ 固定資産
     1 有形固定資産
     2 無形固定資産
     3 投資その他の資産
    Ⅲ 繰延資産
     
    <負債の部>
    Ⅰ 流動負債
    Ⅱ 固定負債
     
    <純資産の部>
    Ⅰ 株主資本
     1 資本金産
     2 資本剰余金
     3 利益剰余金
     4 自己株主
    Ⅱ 評価、換算差額党
    Ⅲ 新株予約権
    Ⅲ 繰延資産

構成要素の表示方法

  1. 流動性配列法
    • 資産や負債は、原則として流動性の高い順に表示する。
    • まずは財務的な健全性や支払い能力をみる、ということから一般的には、流動資産から表示する。
  2. 固定性配列法
    • 電力会社やガス会社など、事業に不可欠のいわゆる設備資産の維持が重要な業種においては、固定資産から表示する。

43. 貸借対照表の要素

貸借対照表

  • ある時点における企業の財政状態を示すもの
  • どのような財産をどれだけ有しているか

貸借対照表の構成要素

  • 資産 = 財産
  • 負債 = 借金などの支払い義務
  • 資本(純資産) = 企業が所持するもの

資産・負債・資本(純資産)の関係

  1. 貸借対照表等式:資産 = 負債 + 資本(純資産)
    貸借対照表
    資産 負債(他人資本)
    資本(自己資本)
    (運用状況) (調達状況)
    • 借方側(資産)= 資源(資金)の具体的な運用状況を示すもの
    • 貸方側(負債・資本)= 調達状況を示すもの
    • 負債(他人資本)= 資源を企業外部から借りて調達したことを示すもの
    • 資本(自己資本)= 企業外部からもらって、あるいは自力で獲得して調達したことを示すもの
  2. 資本等式:資産 - 負債 = 純資産(資本)
    貸借対照表
    資産(プラスの財産) 負債(マイナスの財産)
    純資産(正味財産)
    • 資産 = プラスの財産
    • 負債 = マイナスの財産
    • 資産と負債の差額 = 純資産
    • 純資産は、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた残余(正味財産)

42. 資産の測定基準

測定における会計の枠組み

  1. (現⾦を除く)すべての資産について、取得原価によって測定する会計の枠組み
    • 取得原価(主義)会計 / 歴史的原価会計(HCA)
  2. すべての資産について、(割引現在価値を含む)何らかの時価によって測定する枠組み
    • 時価(主義)会計 / 物価変動会計
      1. ⼀般物価変動会計 / ⼀般物価⽔準会計(GPLA) / 貨幣価値変動会計
      2. 個別価格変動会計
        • 現在原価会計(CCA)
        • 取替原価会計(RCA) / 実際取替原価会計
        • 取替価値会計
        • 売却時価会計
      3. 結合改計
    • 現在価値改計 / 割引現在価値会計

測定のルール

  • 企業資本の循環「⾦→もの・サービス→⾦」に基づいて、資産を2つに分類し、それぞれの性質に合わせて測定基準を決定
  • 貨幣性資産 = 資本の回収、または投下待機過程にあるもの
  • 費⽤性資産(⾮貨幣性資産) = 資本の投下過程にあるもの

現⾏会計における資産の測定

  1. 貨幣性資産の測定
    • 現⾦は「表⽰額」で測定
    • 回収過程にある資産(売掛⾦や受取⼿形など)は「割引現在価値」や「割引しな い将来の収⼊額」として測定
      • 売上債権は、過去に収益を獲得し、将来に現⾦収⼊をもたらすもの
      • 将来において⽣ずる利息相当分を、控除した割引現在価値で測定するのが妥当
      • 利息相当分かどうか客観的に区別できない場合は、将来の収⼊額を測定
  2. 費⽤性資産の測定
    • 「取得原価(過去の⽀出額)」で測定
      • 貨幣性資産は、将来の収益獲得のために、過去に現⾦を⽀出したもの
      • 販売または使⽤されると「費⽤」となる
      • 将来において費⽤化する性質を持つ資産であるため、資産と費⽤の両⾯を踏まえて測定する
  3. 売上債権以外の⾦融資産の測定
    • 有価証券(他社の株式や社債など)の測定
      • 貨幣性資産とみなす場合 → 券⾯額、または将来収⼊額による測定
      • 費⽤性資産とみなす場合 → 取得原価によって測定
    • ⽇本では1999年に「⾦融商品に係る会計基準」が公表される
      • 有価証券の⼀部(売買⽬的有価証券、及びその他有価証券)の測定が「取得原価」から「各期末における時価」へと改定
      • ⼀般的には「売却時価」で測定するが、「取替原価」や「割引現在価値」の場合もある

近年の会計理論における論点

  • ⾦融資産の⼀部に関する時価測定の制度化
  • 近年における⾦融、証券経済の発達を背景とする⾦融資産の測定
  • 「貨幣性資産と費⽤性資産(⾮貨幣性資産)」という資産の分類・測定
  • 「デリバティブ」「仮想通貨」などの新たな⾦融取引を含めた⾦融資産の測定
  • 資産の測定に関する理論的枠組みの捉え⽅