減価償却費の計算方法
いずれも取得原価から残存価値を控除した額を費用化する方法だが、各期への配分方法が異なる
- 定額法
- 減価償却費 = ( 取得原価 - 残存価額 ) ÷ 耐用年数
- 費用化される額を耐用年数に渡って定額ずつ配分し、減価償却費を計算する方法
- 定率法
- 減価償却賞 =(取得原価 - 減価償却累計額)× 償却率
- 未償却残高に一定の償却率で減価償却費を乗じて計算する方法
- 償却率は耐用年数にもとづいて定められ、毎年一定である
- 取得してから間もない資産の場合は費用の額が大きく、残存耐用年数が少ない資産の場合は費用の額が小さくなる
- 級数法
- 減価償却費 = ( 取得原価 - 残存価額 ) × ( n - k + 1 ) ÷ ( n ( n + 1 ) ÷ 2 )
※ 耐用年数 n の資産の k 年目の減価償却
- 算術級数を用いて各期に配分する方法
- 取得してからまもない資産の場合は費用の額が大きく、残存耐用年数が少ない資産の場合は費用の額が小さくなる
- 費用の差は定率法ほどは大きくない
- 生産高比例法
- 減価償却費 = ( 取得原価 - 残存価額 ) × ( 当期実際利用量 ÷ 総利益可能量 )
- 耐用年数ではなく、利用割合によって計算する方法
- 適用対象となる資産
- 総利用可能量をあらかじめ推定できるもので、かつ減価の主な原因が利用によるもの
- 航空機や自動車など
棚卸資産(商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵品等)
- 棚卸資産 = 企業の通常の営業活動において、販売を目的として保有され、短期間に費消部分を物量的に把握できる資産
- 流動資産に分類される
- 棚卸資産の種類
- 販売のために他企業から購入した商品
- 自ら生産した製品
- 生産の途中段階の半製品(生産途中でも外部に販売できるもの)
- 仕掛品(生産途中では外部に販売できないもの)
- 生産のために短期間に費消される原材料、消耗品(貯蔵品)
- 販売活動や一般管理活動のために費消される消耗品(貯蔵品)
- 棚卸資産の評価・計上
- 基本的には取得原価で評価される
- 費用配分の原則にもとづいて、費消分が当期の費用配分される
- 未費消分は、資産のまま計上され、次期以降の費用に配分される
- 当期に費消された棚卸資産の額を計算するためには、棚卸資産の物量と単価とを計算する必要がある
- 物量は、継続記録法(帳簿棚卸法)または実地棚卸法によって把握される
- 単価は、個別法、先入先出法、後入先出法、平均法、売価還元法などによって把握される
棚卸資産の物量を測る方法
- 継続記録法(帳簿棚卸法)
- 商品有高帳などの帳簿記録によって、棚卸資産の費消分と期末在庫分とを継統的に把握する方法
- 実地棚卸法
- 決算時においてなど、定期的に行われる実地棚卸にもとづき、以下の式で当期費消分を間接的に把握する物量計算の方法
- 期首数量 + 当期取得数 - 期末数量 = 当期費消数量
- いずれの方法によっても期末棚卸資産の数量は一致するはずである
- 実際には、移動や展示による破損、紛失などによって、実地棚卸法の数の方が少なくなる
- 不足分は、棚卸減耗として当期の費用に含められる
棚卸資産の単価を計る方法
- 個別法
- 取得原価が異なる棚卸資産ごとに区別して把握し、個々の実地原価によって、費消分および期末在庫分の単価を算定する方法
- 先入先出法
- 最も古く取得したものから費消し、期末在庫分は最も新しく取得したものであるとみなす方法
- 後入先出法
- 最も新しく取得したものから費消し、期末在庫分は最も古く取得したものであるとみなす方法
- 平均法
- 取得した棚卸資産の平均単価を計算する方法
- 移動均法(取得ごとに平均単価を計算する)
- 総平均法(一定別間に取得した棚卸資産の総価額を総数量で割る)
- 売価還元法
- 期末棚卸資産の売価の合計額に原価率を乗じて、取得原価を把握する方法
- 強制評価減
- 期末棚卸資産は基本的には取得原価で評価されるが、時価が取得原価より著しく下落し、回復の見込みがあると認められない場合には、時価によって評価しなければならない
- 切り下げられた場合の評価損は、営業外費用、または特別損失として計上される
- 低価法
- 時価が取得原価まで回復する見込みがある場合や、時価の下落が著しくない場合であっても、時価と取得原価とのいずれか低い
- 価額によって評価することが認められている
- 強制評価減とは異なり、企業は任意で適用することができる
- 適用した場合には、以後継続して行なわなければならない