科学革命の構造 新版
トマス・S・クーン (原著), イアン・ハッキング (解説), 青木薫 (翻訳)
みすず書房 2023.06.13 392ページ
科学革命の構造 新版
トマス・S・クーン (原著), イアン・ハッキング (解説), 青木薫 (翻訳)
みすず書房 2023.06.13 392ページ
『イノベーションのジレンマ』は、利益を最大化させる資源配分メカニズムが、特定の状況下では優良企業を滅ぼすことを説明する理論をまとめた。それに対して『イノベーションへの解』は、新規事業を狙い通りに発展させ、破壊される側ではなく破壊者となって、ライバルの実績ある優良企業を最終的には破滅に追い込まねばならないマネージャーに指針を与える、さまざまな理論をまとめている。
狙い通り成功するためには、破壊者は優れた理論家でなければならない。また成長事業を破壊的な事業として形成するためには、重要なプロセスや意思決定をすべて、破壊的イノベーションの状況に合わせて調整する必要がある。
最後に、本書で取り上げる問題をまとめると次のようになる。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著), マイケル・ライナー (著) (2003)『イノベーションへの解:利益ある成長に向けて』翔泳社
確かな理論は、次の3つの段階を経ることで構築される。
理論構築は反復的なプロセスである。研究者や経営者は、この3つの段階を繰り返しながら、どのような状況下で、どのような行動が、どのような結果を生じるかを予測する能力を精微化していく。
上記の「2. 現象をいくつかの区分に分類する」において正しく分類することが、有用な理論を構築する上で鍵となる。正しく分類するとは、属性などの切り口で「相関関係」を明らかにするだけでなく、成功事例の背後にある根本的な「因果のメカニズム(因果関係)」まで明らかにすることである。
破壊的成長の予測可能性の基盤ができ始めるのは、同じ因果のメカニズムが予測と異なる結果(特殊な事例、アノマリー)を生じるのを発見したときである。アノマリーの発見を機に、その状況の中の何が原因となって、同じメカニズムから異なる結果が生じたのかを解明していくことができるからである。
産業や製品、サービスなどに基づく分類体系は、確かな理論の基盤にはなり得ない。確かな理論においては「属性」ではなく「状況」で区分する。相互に重複がなく全体として漏れがない(MECE: Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)状況の区分を明らかにすることができれば、何が、何を、なぜ引き起こすかを明らかにし、それが状況に応じてどのように変化するかを予測できるようになる。また状況に応じた方法で考え、行動する能力を培えば、物事を予測可能を高めることができる。
信頼できる理論の絶対条件とは、どのような行動が成功を導くかという言明のなかで「企業の置かれた状況の変化に応じて、事業や製品・サービスがどのように変化するか」が説明されていることである。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著), マイケル・ライナー (著) (2003)『イノベーションへの解:利益ある成長に向けて』翔泳社
[ 第1章のテーマ ]
- 金融市場は成長せよ、ますます速く成長し続けよ、と経営者を容赦なくあおり立てる。この至上命令を全うすることは、果たして可能なのか。
- 投資家の成長要求を満たす見込みのあるイノベーションを推進すれば、逆に投資家には受け入れがたいリスクを負うことにならないのか。このジレンマに打開策はあるのか。
「中核事業が成熟した後に新たな成長基盤を築くことに伴うリスク」は非常に大きい。たとえ中核事業が力強く成長していても、株主の予測より速いペースで成長しない限り、市場平均を上回るリスク調整後のリターンを将来的には実現できない。企業が株価を引き上げるためには、市場予測を上回る速さで成長する必要がある。
一般に金融市場は、経営幹部のそれまでの実績に基づいて、企業が未知の事業からどれだけの成長を生み出すかを予測する。企業が優位性を活かして新たな事業を生み出してきたことを市場が評価すれば、「未知の事業が生み出す成長」が予測され、株価の上昇に影響を与える。
企業が新たな成長を生み出す事業、つまり新成長事業を狙い通り構築することができないのは、新成長事業を生み出すためのプロセスがまだ解明されていないからであると、クリステンセン教授は考える。イノベーションのプロセスを予測可能にするには、事業構築に携わる中間管理職に作用する力(何を決定し、何を決定できないかをコントロールする力)を理解する必要がある。
どのような企業にあっても、イノベーションのプロセスでは中間管理職が極めて重要な役割を果たしている。優れたアイデアを選別し、上層部から資金を確保できるように、さらに磨きをかけることが、中間管理職の仕事である。彼らはデキル奴という評価を得んがために、新たな成長のためのアイデアの中から、在任期間中に成果があがるものだけを推進する傾向がある。革新的な可能性を秘めた新しいアイデアでさえ、既存顧客を一層満足させるための計画に容赦なく作り変えられてしまう。
アイデアが形成されるプロセスにおいて、イノベーションらしいアイデアを、真の破壊的成長を生み出す事業計画へと形成するためには、「どのような条件下で、何が、何を、なぜ引き起こすか」という理論体系を理解する必要がある。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著), マイケル・ライナー (著) (2003)『イノベーションへの解:利益ある成長に向けて』翔泳社
会社成長の理論 第3版
ダイヤモンド社 2010.03.05 371ページ
市場の期待を株価で読み解くエクスペクテーション投資入門
日経BPマーケティング(日本経済新聞出版) 2003.05.01 253ページ
本業再強化の戦略
クリス・ズック (著), ジェームズ・アレン (著), 須藤 実和 (翻訳), ベインアンドカンパニー (翻訳)
日経BP社 2002.02.23 190ページ
ビジョナリー・カンパニー2 – 飛躍の法則
ジム・コリンズ (著), 山岡 洋一 (翻訳)
日経BP社 2001.12.18 360ページ
データ対話型理論の発見 – 調査からいかに理論をうみだすか
バーニー・G. グレイザー (著), アンセルム・L. ストラウス (著), 後藤 隆 (翻訳), 水野 節夫 (翻訳), 大出 春江 (翻訳)
新曜社 1996.03.20 400ページ