15. 価格メカニズム(1)

完全競争

  • 企業や家計が生産量や消費量を変更しても、市場で成立している価格に影響しないような状況

完全競争市場

  • 完全競争が行われる市場のこと
  • 完全競争市場は次の4条件を満たす
    • ① 市場には多数の参加者(生産者や消費者)がいる
    • ② 財(商品)の質が同じである(商品の品質が同じ)
    • ③ 市場に関する情報をすべての参加者が保有している
    • ④ 市場への新規参入や撤退が自由である
  • 価格のメカニズムを考えるために仮定され理想的な市場であって、現実の市場にはほとんど存在しない

取引が成立するのは点E

  • 完全競争市場において、ある商品の需要と供給の量を表す「需要曲線」と「供給曲線」が与えられているとしたら、取引が成立するのは、需要側と供給側の希望が一致した点Eのときである

    需要供給曲線

14. 企業の社会的責任(CSR)

企業に期待すること

  • 環境保全、商品の安全性、経営の情報開示(ディスクロージャー)や、企業トップが説明責任(アカウンタピリティ)を果たすことが求められてきた
  • 企業に期待する活動
    • スポーツや文化・芸術活動への支援(メセナ)
    • 福祉や地域の緑化活動
    • 体育館やプールじぜ人の施設開放
    • 慈善活動への援助
    • 社会貢献活動(フィランソロピー)
    • 工場や事務所のバリアフリー化
    • 障害者の積極的な雇用推進
    • 視覚障害者向けに点字の商品カタログを作成
    • 従業員のためのボランテイア休暇制度
    • 福祉や地域活動
    • 国際協力への参加 など
  • 市民社会の一員として、企業の社会的責任(CSR)を果たすことは、企業の存立に必要な時代となった

企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)

  • CSRとは
    • 市民社会の一員として、 法令遵守や利益貢献といった責任を果たすだけでなく、市民や地域、社会の要求に応え、社会貢献や社会的配慮、情報公開や対話を自主的に行うこと
  • CSRの参考になる要綱
    • 日本経団連「企業行動憲章」
    • 経済同友会「自己評価ツール」
  • 具体的な例
    • 地球環境への配慮
    • 適切な企業統治と情報開示
    • 誠実な消費者対応
    • 環境や個人情報保護
    • ボランティア活動支援などの社会貢献
    • 地域社会参加などの地域貢献
    • 安全や健康に配慮した職場環境と従業員支援

CSRが普及した背景

  • 株式市場や格付機関が企業評価の尺度としてCSRの視点を取り入れるようになった
  • CSRに取り組むことで、顧客や消費者にプラスのイメージを与え、その企業の商品の売上げの増加が見込まれるようになった

13. 資本主義経済における企業の目的

資本主義経済の原則

  • 資本主義経済の原則は「経済活動の自由」
  • 経済主体(企業)に対しては「法令の遵守(コンプライアンス)」や「企業倫理に基づいた活動」を期待する

資本主義経済における企業の目的

  • 他の企業と競争して、利潤をあげるために技術革新を進め、生産性を向上する
  • 消費者に対しては、そのニーズに応えてより良い商品をより安く提供する
  • 労働者に対しては、高い賃金を払うなどの良い待遇を実現する
  • 投資家に対しては、より多くの配当を分配する
  • 社会に対しては、雇用の促進や技術開発によって、地域社会や経済全体の発展に貢献する

企業の利潤追及で発生する問題

  • 公害問題
  • 薬害・有害食品、欠陥商品などの消費者問題
  • 過労死などの労働問題

12. 企業の社会的責任(CSR)

企業に期待すること

  • 環境保全、商品の安全性、経営の情報開示(ディスクロージャー)や、企業トップが説明責任(アカウンタピリティ)を果たすことが求められてきた
  • 企業に期待する活動
    • スポーツや文化・芸術活動への支援(メセナ)
    • 福祉や地域の緑化活動
    • 体育館やプールじぜ人の施設開放
    • 慈善活動への援助
    • 社会貢献活動(フィランソロピー)
    • 工場や事務所のバリアフリー化
    • 障害者の積極的な雇用推進
    • 視覚障害者向けに点字の商品カタログを作成
    • 従業員のためのボランテイア休暇制度
    • 福祉や地域活動
    • 国際協力への参加 など
  • 市民社会の一員として、企業の社会的責任(CSR)を果たすことは、企業の存立に必要な時代となった

企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)

  • CSRとは
    • 市民社会の一員として、 法令遵守や利益貢献といった責任を果たすだけでなく、市民や地域、社会の要求に応え、社会貢献や社会的配慮、情報公開や対話を自主的に行うこと
  • CSRの参考になる要綱
    • 日本経団連「企業行動憲章」
    • 経済同友会「自己評価ツール」
  • 具体的な例
    • 地球環境への配慮
    • 適切な企業統治と情報開示
    • 誠実な消費者対応
    • 環境や個人情報保護
    • ボランティア活動支援などの社会貢献
    • 地域社会参加などの地域貢献
    • 安全や健康に配慮した職場環境と従業員支援

CSRが普及した背景

  • 株式市場や格付機関が企業評価の尺度としてCSRの視点を取り入れるようになった
  • CSRに取り組むことで、顧客や消費者にプラスのイメージを与え、その企業の商品の売上げの増加が見込まれるようになった

11. 資本主義経済における企業の目的

資本主義経済の原則

  • 資本主義経済の原則は「経済活動の自由」
  • 経済主体(企業)に対しては「法令の遵守(コンプライアンス)」や「企業倫理に基づいた活動」を期待する

資本主義経済における企業の目的

  • 他の企業と競争して、利潤をあげるために技術革新を進め、生産性を向上する
  • 消費者に対しては、そのニーズに応えてより良い商品をより安く提供する
  • 労働者に対しては、高い賃金を払うなどの良い待遇を実現する
  • 投資家に対しては、より多くの配当を分配する
  • 社会に対しては、雇用の促進や技術開発によって、地域社会や経済全体の発展に貢献する

企業の利潤追及で発生する問題

  • 公害問題
  • 薬害・有害食品、欠陥商品などの消費者問題
  • 過労死などの労働問題

10. 株式会社

株式会社

  • 株式を発行して、多くの人びとから多額の資金を集める法人企業
  • 現在の資本主義経済では、一般的な企業形態
  • 資金を出して株式を持つ株主と、実際に経営にあたる人とが別(所有と経営の分離)
    • 専門的な経営の知識や能力を持った取締役からなる「取締役会」で経営方針を決め、「代表取締役」が中心となって執行する
  • 株式を株式市場で売買することができる
  • 日本では、個人の株主より、銀行などの企業が株式を持つ法人株主の比重の方が高い
    • 同一企業グループ内の企業同士で、株式を相互に保有すること(株式持ち合い)も多い(法人資本主義)

株主

  • 会社のあげた利潤の一部を、配当として受け取る
  • 株主総会で、1株につき一つの議決権を持っている
  • 株式の売買で利益(損益)を得ることもできる
    • 株式の価格(株価)が購入したときの株価より上がれば、その差額が利益となる(キャピタル・ゲイン)
    • 株価が下がると、その分が損となる(キャピタル・ロス)
    • 会社が倒産すれば、その株式の価値がゼロになってしまうこともある
  • 会社の活動に対して、その出資額の範囲内で有限責任を負うだけ
    • 会社の負債まで返済する無限責任は負っていない

株主総会

  • 株式会社の最高意思決定機関
  • 取締役の選任や決算の承認などを行っている

9. 企業の種類

① 公企業

  • 第1セクター
  • 国や地方公共団体が出資・経営するもの

② 私企業

  • 第2セクター
  • 民間が出資・経営する企業
    • 会社企業
      • 営利を目的とする法人のうち、会社法によって設立されるもの
      • 財・サービスの生産、販売を継続的に営む組織体
    • 組合企業
      • 協同組合
      • 共通する目的のために、個人あるいは中小企業の経営者が集まって組合員となり、事業体を設立
      • 事業体を共同で所有し、民主的な管理運営を行っていく相互扶助組織

③ 公私合同企業

  • 第3セクター
  • 国や地方公共団体と民間が合同で出資・運営するもの
① 公企業 国営企業
  • 国有林野事業
  • 独立行政法人国立印刷局(紙幣・切手・旅券や政府刊行物等の印刷)
  • 独立行政法人造幣局(硬賓の製造等、旧大蔵省造幣局)
地方公営企業
  • 地方公共団体が経営
  • 上下水道・電気・交通・ガスや公立病院など
公社
  • 政府や地方公共団体が出資する法人
  • 政府の出資する法人のうち、
  • 日本専売公社、日本電信電話公社は民営化
  • 日本郵政公社は、2006年日本郵政株式会社が発足し、 2008年に日本郵政株式会社に郵政三事業が移管
② 私企業 会社企業 合同会社
  • 2名以上の出資者(社員)で構成
  • 出資者は無限責任(会社が倒産したとき、会社の負債を返済するために、個人の財産を提供する)を負う
  • 利益の分配や議決権は会社の規則で決められる
  • 同族や仲間内での小規模な企業経営に向いている
合資会社
  • 2名以上の出資者(社員)で構成
  • 無限責任社員(経営者)と有限責任社員からなる
有限会社
  • 50名以下の出資者(社員)からなる
  • 出資者は有限責任を負う
  • 比較的小規模な企業を想定している
  • 2006年、会社法の施行により、有限会社法が廃止され、新たな有限会社の設立はできなくなった
株式会社
  • 有限責任社員のみで構成される会社
組合企業
  • 出資者(組合員)は有限責任を負う
  • 農業協同組合、生活協同組合など
③ 公私合同企業 特殊法人形態
  • 日本銀行、日本赤十字社
株式会社形態
  • 公共性の高い事業ではあるが、行政機闘がおこなうよりも、会社形態でこれをおこなう方が適切であると判断されて設立されたもの
  • 日本たばこ産業(JT) 、 日本電信電話(NTI)、国際電信電話株式会社(KDDI)など
金庫
  • 特殊法人の一種
  • 銀行の業務には馴染まない、または民間の銀行では限界のある投融資業務のために設けられた政府系金融機関
  • 商工組合中央金庫(商工中金)、農業協同組合(JA)、農林中央金庫
公団
  • 社会資本を整備するために、政府・地方公共団体・公社などが出資して設立する公共法人
  • 民間にも資金を求め、独立採算性を有している
  • 現在、多くは廃止・民営化が進められている
    • 日本道路公団・本州四国連絡橋公団 → 高速道路保有の株式会社
    • 国民生活センター → 独立行政法人国民生活センター
    • 国際協力事業団 → 独立行政法人国際協力機構(JICA)
    • 日本育英会 → 独立行政法人日本学生支援機構
    • 日本住宅公団 → 都市再生機構

8. 消費と国民経済

日本の消費

  • 家計の消費動向が、国民経済に大きな影響を与えている
    • 現在、 日本の国民総支出の6割弱を「民間消費支出」が占めている
  • 消費の特徴
    • 好況で所得が多くなると増加し、それがさらに好況を拡大する
    • 不況や景気の先行きが不透明なときは落ち込み、不況からの回復が遅れる
    • 物価が上昇すると、賃金の上昇はそれより遅れる傾向があるため、実質所得が一時的に減少し、消費は落ち込む
    • 株や土地の価格上昇によって資産の価値が上がると、消費も増えることがある(資産効果)
    • 外国為替相場の円高が進むと、輸入品の価格が下がり、海外製品の消費が増加する傾向がある

7. 家計

家計の収入

  1. 労働によって得た賃金や、個人の事業の収入などの「勤労所得」
  2. 財産の運用によって得た「財産所得」
    • 預貯金からの利子
    • 株式からの配当
    • 家や部屋を貸して得る家賃
    • 土地を貸して得る地代
  3. 年金や失業保険給付などの「移転所得」

消費性向と貯蓄傾向

  • 可処分所得
    • 「所得」から「税金や社会保険料」を差し引いた残りの部分
      可処分所得 = 所得 - ( 税金 + 社会保険料 )
  • 消費性向
    • 可処分所得に占める消費の割合
  • 貯蓄性向
    • 可処分所得に占める貯蓄の割合

家計の貯蓄

  • 家計の貯蓄(貯金)は、銀行を通して企業や公共事業へと行き渡る
    貯蓄

    銀行預金などの貯金
    ↓        ↓
    企業へ融資  財政投融資の原資
    ↓        ↓
    設備投資の資金   公共事業の資金

日本の貯蓄

  • 日本の貯蓄性向は、病気や教育・老後に備えての貯蓄が多く、かつては諸外国よりも高かった
      ↓
    景気後退により、家計所得が伸び悩む
      ↓
    貯蓄を取り崩して生活費にあてる高齢者所帯が増加する
      ↓
    2013年以降、貯蓄率は2%を下回る
  • 経済が発展して所得が多くなる
      ↓
    エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合)が小さくなる
      ↓
    教育・教養・娯楽関係の支出の割合が大きくなる
      ↓
    消費の多様化・高級化が進む