108. 財務諸表分析の基礎

財務諸表分析と経営分析

  • 会社法や金融商品取引法にもとづく財務諸表は、基本的には、企業の株式、債券を売買しようとする投資者や企業に融資をおこなう債権者が活用することを前提にしている。
  • 財務諸表上の数値から企業の状況を正確に把握するためには、財務諸表上の数値を理解しやすい形に変換してみることが必要である。

財務諸表分析と類似する諸概念

  • 一般に財務諸表分析は「経営分析」ないし「財務分析」といわれる。
  • 財務諸表分析は、収益性、生産性、安全性、成長性等の観点から、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を用いた比率分析によって企業経営の成果を分析・評価する。
  • 経営分析は、経済統計産業統計等の統計的資料を含め、人事や生産、マーケテイング、経営戦略といった財務諸表とは直接には関係のない分野の資料も活用し、多角的に企業を分析・評価する。
    • 数量化することが難しい要因に関わる定性的な資料活用してして分析を行うことも多い。
    • さまざまな企業の外的要因や内的要因を勘案して企業評価を行う。
  • 内部分析と外部分析

    • 財務諸表分析と経営分析は.分析主体の目的によって.大きくは内部分析と外部分析に分類することができる。
      • 内部分析とは、企業のトップマネジメント等の食業内部の主体による分析である。
      • 外部分析とは、債権者やとうっ者といった企業外部の主体による分析である。
    • 外部分析は、信用分析と投資分析に分類することができる。
      • 信用分析とは、銀行等の金融機関が貸し出し先の債務弁済能力を評価するために行う分析である。
      • 投資分析とは、証券の投資価値を判断するために行う分析である。
    • 外部分析では、企業が開示する財務情報のみしか用いることができない場合が多い。

    財務諸表を用いた分析の限界

    • 公開された財務諸表が粉飾等による偽りの資料であるということがある。
    • 財務諸表分析では、貨幣数値に数量化できない要因の分析が不可能なことがある。
    • 会計処理方法が変吏された場合には、企業の時系列的な分析が困難になる。
    • 財務諸表が過去の経営活動の成果を示すものである以上、財務諸表の資料のみをもって将来を語ることは難しい。

    107. 連結キャッシュフロー計算書

    連結キャッシュフロー計算書とは

    • 企業集団の1会計期用におけるキャッシュフローの状況を報告するために作成されるもの
    • 金融商品取引法にもとづいて、有価証券報告書の提出が義務づけられている企業は、「連結貸借対照表」「連結損益計算書」「連結株主資本等変動計算書」「連結キャッシュフロー計算書」を作成する必要がある

    連結キャッシュフロー計算書の作成方法

    • 連結会社の個別キャッシュフロー計算書を合算し、そこから連結会社相互間のキャッシュフローに関わる取引を相殺消去して作成する方法
      • キャッシュフロー計算書を作成していない会社がある
      • 連結会社すべてのキャッシュフロー計算書を必要とするため、この方法の適用は難しい
    • 「連結貸借対照表」「連結損益計算書」「連結株主資本等計算書」をもとに作成する方法
      • 多くの場合は、この方法が用いられる

    連結キャッシュフロー計算書の表示方法

    • 「連結貸借対照表」「連結損益計算書」「連結株主資本等計算書」をもとに、連結キャッシュフロー計算書を作成する場合にも、「直接法」と「間接法」がある
      • いずれの方法でも、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」に区分表示される
      • 営業活動によるキャッシュフローの表示だけは異なる
    • 連結キャッシュフロー計算書は、原則として、個別キャッシュフロー計算書と同様の方法によって作成される
      • しかし、連結会社相互間のキャッシュフローは相殺消去しなければならないなど、連結決算に特有の手続きが行われる

    106. 株主資本等変動計算書

    株主資本等変動計算書とは

    • 連結決算では、個別株主資本等変動計算書における各項目の期首残高、期中の増減額、期末残高を合算し、連結株主資本等変動計算書が作成される
    • 連結会社相互間における資本取引や配当などの取引によって生じた変動額は、相殺される

    株主資本等変動計算書の特徴

    連結精算表の例
    勘定科目 親会社の
    個別財務諸表
    子会社の
    個別財務諸表
    合計 修正記入 連結財務諸表
    借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方




    資産
     
    負債
     
    純資産
    ××
    ××
     
     
    ××
    ××
    ××
    ××
    ××
    ××
     
     
    ××
    ××
    ××
    ××
    ××
    ××
     
     
    ××
    ××
    ××
    ××
    ××
     
    ××
     
     
    ××
    ××
     
     
     
    ××
    ××
    ××
     
     
    ××
    ××
    ××
    ××
    合計 ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ××




    収益
     
    費用
     
    当期純利益
     
     
    ××
    ××
    ××
    ××
    ××
     
     
    ××
    ××
    ××
    ××
    ××
     
     
    ××
    ××
    ××
    ××
    ××
    ××
     
    ××
    ××
     
    ××
     
    ××
     
     
    ××
    ××
    ××
    ××
    ××
    合計 ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ××
    株変
    主動
    資計
    本算
    等書
    前期末残高
     
    当期変動額
     
    当期末残高
     
     
    ××
     
    ××
    ××
    ××
     
    ××
     
     
    ××
     
    ××
    ××
    ××
     
    ××
     
     
    ××
     
    ××
    ××
    ××
     
    ××
     
     
    ××
    ××
     
     
    ××
     
    ××
     
     
    ××
     
    ××
    ××
    ××
     
    ××
    合計 ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ×× ××

    表示形式

    • 貸借対照表の純資産の部の表示区分に基づいて各項目が表示される
    • 資本剰余金、利益剰余金、少数株主持分などの表示形式において、個別株主資本等変動計算書とある程度相違がある

    様式

    • 純資産の各項目を縦に列記する様式と、横に列記する様式がある
    • 一般には、横に列記する様式が用いられる

    金額の表示

    • 株主資本の各項目は、変動の事由ごとに変動額が表示される
    • 株主資本以外の項目は、原則として純額で表示される

    105. 持ち分法の適用 (2)

    連結の手続きと持ち分法

    • 連結会社に適用される「連結の手続き」と「持ち分法」は、当期純損益および純資産の額に影響を与える
      • 連結の手続き
        • 連結財務諸表における連結対象科目 = 全科目
        • 連結会社の財務諸表を勘定科目ごとに合算することによって、企業集団全体の財務諸表を作成する
        • 完全連結
      • 持ち分法
        • 連結財務諸表における連結対象科目 = 損益に占める持ち分額のみ
        • 被投資会社の純資産および損益に対する投資会社の持ち分相当額を、原則として貸借対照表上は、被投資会社株式の修正として、損益計算書上は持分法による投資損益として連結財務諸表に反映させる
        • 1行(ワンライン)連結

    例題7

    • P社は、X1年3月31日にA社の株式の40%を400で取得し、持ち分法適用会社とした
    • 連結決算日のX2年3月31日に仕訳を行う
    1. A社が当期純利益200を計上した
      当期純利益 × 持ち分比率 = 200 × 0.4

      借方 貸方
      A社株式 80 持分法による投資損益 80
    2. A社株式の取得時における同社の資産・負債の時価評価額は、それぞれ2,000、および1,100であった投資差額を償却期間20年間として償却する
      投資差額 = 投資額 - 時価評価したA社純資産の持ち分額 = 400 - (2,000 - 1,100) × 0.4

      借方 貸方
      持分法による投資損益 2 A社株式 2
    3. A社が親会社P社から購入した商品400が期末に在庫として残っているなお、P社はA社に利益率10%で商品を販売している
      未実現利益 = 期末在庫 × 利益率 = 400 × 0.1
      消去額 = 未実現利益 × 持ち分比率 = 40 × 0.4

      借方 貸方
      売上 16 A社株式 16
    4. P社は、A社から配当金20を受け取っている
      借方 貸方
      受取配当金 20 A社株式 20

    104. 持ち分法の適用 (1)

    持ち分法

    • 投資会社(連結会社)が、被投資会社(持ち分法適用会社)の純資産、および損益の内の、投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資の額(被投資会社株式の連結貸借対照表額)を連結決算日ごとに修正する処理方法

    持ち分法の原則

    • 投資会社は、被投資会社の直近の財務諸表を使用するが、投資会社と被投資会社との決算日に差異があり、その差異の期間内に重要な取引、または事象が発生している場合は、必要な修正・註記を行う
    • 連結子会社の場合と同様、被投資会社の財務諸表について、資産・負債の評価、税効果会計の適用などといった処理を行う
    • 重要性の乏しいものについては、処理を省略することができる

    持ち分法の適用順序

    1. 投資会社の投資日の投資と、これに対応する被投資会社の資本の間に投資差額がある場合、当該差額を投資に含め、のれん(または、負ののれん)と同様に処理する
    2. 投資会社は、投資日以降における被投資会社の損益のうち、投資会社の持ち分、または負担に見合う額を、持ち分比率に基づき算定し、投資の額を増減し、当該増減額を「持分法による投資損益」として当期純利益の計算に含める
      • 被投資会社において利益が計上された場合
        1.の処理によって生じた投資差額の償却額は、持分法による投資損益に含める

        借方 貸方
        関連会社株式 XXXX 持分法による投資損益 XXXX
      • 投資差額が借方に生じている場合
        借方 貸方
        持分法による投資損益 XXXX 関連会社株式 XXXX
    3. 連結会社と持ち分法適用会社の間の取引によって未実現損益が計上されている場合、未実現損益を消去するための修正を行う
    4. 被投資会社から配当金を受け取った場合、受け取った額だけ被投資会社の資本が減少するため、当該配当金に該当する額を投資の額から減ずる

    103. 持ち分法

    連結財務諸表

    • 支配従属関係にある2つ以上の会社や事業体からなる企業集団を、単一の組織体とみなす
    • 親会社が、当該企業集団の財政状態、および経営成績を総合的に報告するために作成される

    持ち分法

    • 連結の範囲には含まれなかったにも関わらず、親会社の強い影響下にあって、連結会社と較べても、遜色なく企業集団において重要な役割を果たす会社が存在する場合がある
    • 企業集団全体としての財政状態や経営成績を報告するために、そうした会社の存在が連結財務諸表に適切に反映されるように処理する方法

    持ち分法の適用対象

    • 関連会社、子会社であっても、何らの理由によって連結の範囲に含まれなかった非連結子会社
    • 関連会社や非連結子会社に投資している場合には、原則として、持ち分法を適用しなければならない
      • 適用対象となる会社 = 持ち分法適用会社
    • 「持ち分法を適用しても連結財務諸表に重要な影響を及ぼさない」など、重要性の乏しいものは、持ち分法を適用しないこともできる

    関連会社の決定基準 = 影響力基準

    • 親会社・子会社が出資、人事、資金、技術、取引などの関係を通じて、子会社以外の他の会社の財務と営業の方針決定に対して、重要な影響を与えることができる「他の会社」
      1. 子会社以外の他の会社の議決権の20%以上を実質的に所有している場合(20%以上の所有が一時的であると認められる場合を除く)
      2. 他の会社に対する議決権の所有割合が20%未満であっても、一定の議決権を有しており、契約があるなど、当該会社の財務や営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる一定の事実が認められる場合
    • 関連会社に該当するかどうかは、①のように客観的な持ち分比率によるだけではなく、②のように実質的な影響力の有無も考慮に入れて決定される
    • 影響力基準を満たしている場合は、財務・営業の方針決定に重要な影響を与えることができないと明らかに示されない限り、関連会社とみなされる

    持ち分法の適用対象外

    • 関連会社や非連結子会社の株式の売却などによって、当該会社が持ち分法適用会社に該当しなくなった場合
      • 持ち分法の適用対象から外れる
      • 残存する当該会社の株式は、個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価される
    • 更正会社、整理会社、破綻会社などであって、かつ、当該会社の財務・営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができない場合
      • 関連会社には該当しない

    102. 未実現損益の消去 (2)

    (2) 子会社が親会社に販売した場合(アップ・ストリーム)

    • 子会社において、未実現損益が計上される
    • 子会社に少数株主が存在しない場合
      • 「親会社が子会社に販売した場合」と同様の消去方法を用いる
    • 少数株主が存在する場合
      • 複数の消去方法が考えられる

    未実現損益の計上方法

    1. 全額消去、親会社負担方式
      • 親会社が、子会社の未実現損益の消去をすべて負担する方法
      • 「子会社の少数株主が存在するにも関わらず、親会社が未実現損益の消去をすべて負担する」という問題点がある
    2. 全額消去、持ち分按分負担方式
      • 経済的単一体説と整合する消去方式
        • 親会社と少数株主とを経済的に単一のものとみなして処理を行う
      • 親会社および子会社のそれぞれの持ち分比率に応じて負担額を按分する方法
        • 未実現損益をすべて消去し、消去の負担額を親会社と少数株主との持ち分比率に応じて按分する
      • 連結財務諸表原則は、この方式を採用している
        • 売手側の子会社に少数株主が存在する場合には、未実現損益は、親会社と少数株主の持分比率に応じて、親会社の持分と少数株主持分に配分するものとする
    3. 親会社持ち分相当額消去方式
      • 少数株主を企業集団の外部者として捉えた方式
      • 親会社説と整合する消去方式
        • 「取引高の消去処理において、売上がすべて消去されているにも関わらず、未実現損益の消去は部分的になる」という問題点がある
      • 親会社の持ち分和当額のみを消去する方法
        • 実現損益のうち、親会社の持ち分相当額のみを消去し、少数株主に帰属する部分は実現しているものとみなして消去しない

    例題6

    • X1年3月3日、P社はS社株式の80%を取得して連結子会社とした
    • 連結決算日のX2年3月31日において、親会社P社がS社から購入した商品3,000のうち、400が在庫として残っている
    • S社は、P杜に利益率10%で商品を販売している
    1. 取引高の相殺消去
      借方 貸方
      売上 3,000 売上原価 3,000
    2. 未実現損益の相殺消去
      未実現損益 = S社から購入した商品の期末残高 × 利益率 = 400 × 10%
      子会社負担分の未実現損益 = 未実現損益 × 少数株主の持ち分比率 = 40 × 0.2

      借方 貸方
      売上原価 40 商品 40
      少数株主持分 8 少数株主損益 8

    (3) 子会社間で売買された場合

    • 資産を売却した子会社に、未実現損益が計上されるため、「子会社が親会社に販売した場合」に準じた方法が用いられる
    • 連結会社相互間で固定資産が売買された場合
      • 未実現損益の消去処理が必要となる
    • 固定資産が建物や機械装置といった減価償却が行われる資産である場合
      • 減価償却費の修正も必要となる
      • 減価償却の基礎となる取得原価が、未実現損益の分だけ過大(または過小)評価されることによって、減価償却費も過大(または過小)計上されているために、修正しなくてはならない

    101. 未実現損益の消去 (1)

    未実現損益の消去

    • 連結会社相互間で、棚卸資産や固定資産などの資産を、取得原価に利益を加算して売買することがある
      • 企業集団内における資産の移動にすぎない
      • 連結決算時に外部への販売が完了していない場合、当該資産が期末に残存している場合には、当該資産に含まれる未実現損益を消去しなければならない

    未実現損失

    • 売り手側の帳簿価額のうち、回収不能と認められる部分は消去しない
    • 未実現損益の額に重要性が乏しい場合には、消去しないこともできる
    • 未実現損益の消去が必要なケ―ス
      • (1) 親会社が子会社に販売した場合(ダウン・ストリーム)
      • (2) 子会社が親会社に販売した場合(アップ・ストリーム)
      • (3) 子会社間で売買された場合

    (1) 親会社が子会社に販売した場合(ダウン・ストリーム)

    • 親会社において未実現損益が計上される
    • 子会社が保有する当該資産の額は、未実現損益の分だけ過大(または過小)に評価され、その額だけ売上原価が過小(または過大)に計上される
    • 未実現利益の仕訳
      借方 貸方
      売上原価 XXXX 棚卸資産 XXXX
    • 未実現損失の仕訳
      借方 貸方
      棚卸資産 XXXX 売上原価 XXXX

    例題5

    • X1年3月31日にP社は、S社株式の80%を取得して、連結子会社とした
    • 連結決算日のX2年3月31日において、S社が親会社P社から購入した商品 3,000のうち、400が在庫として残っている
    • P社は、S社に利益率10%で商品を販売している
    1. 取引高の相殺消去
      借方 貸方
      売上 3,000 売上原価 3,000
    2. 未実現損益の相殺消去
      未実現損益 = P社から購入した商品の期末残高 × 利益率 = 400 × 0.1

      借方 貸方
      売上原価 40 商品 40

    100. 連結損益計算書の作成

    連結損益計算書の作成

    • 連結損益計算書は、親会社、および子会社の個別損益計算書における額を基礎とする
    • 連結会社相互間の取引高の相殺消去、未実現損益の消去などの処理を行って作成される

    連結会社相互間の取引高の相殺消去

    • 連結会社相互間の取引によって生じた「売上と売上原価」、「受取手数料と支払手数料」、「受取利息と支払利息」などは、企業集団内において行われる内部取引の結果として生じたものであるため、相殺消去しなければならない
      借方 貸方
      売上 XXXX 売上原価 XXXX
      受取利息 XXXX 支払利息 XXXX
    • 連結会社相互間の取引が、連結会社以外の会社を通じて行われている場合であっても、その取引が実質的に連結会社間の取引であることが明確であるときは、相殺消去する

    99. 税効果会計

    税効果会計

    • 連結財務諸表においても個別財務諸表と同様、「税効果会計」が適用される
    • 税効果会計
      • 法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続き
      • 「企業会計上の資産・負債の額」と「課税所得計算上の資産・負債の額」に相違がある場合、法人税その他の利益に関連する額を課税標準とする税金の額を、適切に期間配分する
    • 連結会社の法人税等は、「一時差異」に対して税効果会計を適用し、その額を期間配分する必要がある
      • 一時差異:「連結貸借対照表に計上されている資産・負債の額」と「課税所得の計算の結果、算定された資産・負債の額」の差額
      • 将来の課税所得、相殺可能な繰越欠損金などについても、一時差異と同様に取り扱うものとする
    • 連結財務諸表の作成時に一時差異が生ずるケース
      • 子会社の資産・負債の時価評価によって評価差額が生じた場合
      • 連結会社相互間の取引から生ずる未実現損益を消去した場合
      • 連結会社相互間の債権と債務の相殺消去によって貸倒引当金を減額修正した場合
    • 一時差異に関わる税金の額は、将来の連結会計期間において回収/支払いが見込まれない税金の額を除き、連結貸借対照表に「繰延税金資産/繰延税金負債」として計上する
      • 繰延税金資産/繰延税金負債の額は、回収/支払いが見込まれる額の税率にもとづいて計算する
      • 繰延税金資産は、将来の回収の見込みについて毎期、見直す必要がある
      • 重要性の乏しい一時差異については、繰延税金資産/繰延税金負債を計上しないこともできる