長期安全性分析
- 短期安全性分析において高評価であったとしても、長期安全性が確保されているとは限らない。
- 長期安全性の指標には「固定比率」と「固定長期適合率」がある。
固定比率
- 自己資本でとれだけの回定資産をまかなっているかを表し、固定資産投資における調達と運用とのバランスを示す指標。
- 固定資産を自己資本で除したもの。
- 固定資産とは、土地、建物、機械設備等の長期に渡って使用され、短期のうちには現金化することができない資産。
- 固定資産は、返済義務のない自己資本によって取得していることが安全性の面で重要である。
- 固定資産が長期に渡って使用されるものである以上、その取得は長期に渡って使用しうる資金によるほうが望ましい。
- 現実には、固定資産の全額を自己資本でまかなっている企業は極めて少ない。
- この比率は100%以下であることが望ましい。
- 実際の企業の状況を考慮すると、固定比率を100%以下に抑えることは難しい。
- 日本企業の場合、固定資産の取得は株式市場からの資金調達によるよりもメインバンクからの融資による場合が伝統的に多い。
- 巨額の設備投資を必要とする産業の場合、そもそも固定資産への全投資を自己資本の範囲内でまかなうことは至難である。
- 固定比率を低く保つことに固執するあまり、大規模な投資をせずに企業成長のチャンスを逃してしまうことがある。
- 固定比率のみでは実際の企業経営に配慮した安全性の判断は成し得ない。
固定比率 = ( 固定資産 / 自己資本 ) × 100 (%) |
固定長期適合率
- 固定資産が自己資産や固定負債に対してどのくらいの割合であるかをしめす指標。
- 固定長期適合率の利用は「固定資産を自己資本でまかなうことができない場合にも、長期借入金や社債など、返済切限が長期に渡るものでまかなわれているのであれば安全性は確保されている」という認識に基づいている。
- 固定比率が100%を超えていても、固定長期適合率が100%以下であるならば、財務上の安全性は確保されていると考えてもよい。
- 固定長期適合率が100%を超えている場合・・・
- 固定資産が流動負債によってまかなわれている。
- 長期に渡って使用する固定資産を流動負債によってまかなうことによって流動比率が悪化する。
- 固定資産への投資が短期の運転資金に悪影響を及ぼしている。
- 健全な状態であるとはいえず、資本構成が危険である。
固定長期適合率 = 固定資産 / ( 自己資本 + 固定負債 ) × 100 (%) |