Competing Against Luck: The Story of Innovation and Customer Choice
Clayton M Christensen (著), Taddy Hall (著), Karen Dillon (著), David S. Duncan (著)
Harper Business 2016.10.04 288ページ
Competing Against Luck: The Story of Innovation and Customer Choice
Clayton M Christensen (著), Taddy Hall (著), Karen Dillon (著), David S. Duncan (著)
Harper Business 2016.10.04 288ページ
破壊的技術には、製品のライフサイクルと競争力学に対して常に影響を与える、重要な性質がさらに2つある。
マネージャーは、これらの特性を理解した上で、破壊的製品の設計、開発、販売における独自の戦略を効果的に計画する必要がある。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社
性能の供給過剰は「製品のサイクルを次の段階への移行を促す重要な要因」であり、「購買階層のある段階から別の段階への移行を促す要因」でもある。そのことを示す2つのマーケティング・モデルを紹介する。
『機能』『信頼性』『利便性』『価格』という競争基盤の進化のパターンは、多くの市場に見られる。そして、破壊的技術の登場は競争基盤の変化の兆しである。
「性能の供給」が「市場の需要」を超えると、それが差別化した製品であっても市場は価格プレミアムを支払わない。市場の需要を超えた性能を持つ製品は、市況商品のように価格が決定されるようになり、競争の基盤を変える破壊的製品がプレミアムを獲得することができる。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社
性能の供給過剰が起きると、競争の基盤に変化が起きる。ある性能に対する需要が飽和状態になると、まだ市場の需要を満たしていない他の性能指標が重視される。
一般に、ある特性に対して求められる性能レベルが達成されると、特性がさらに向上しても顧客は価格プレミアムを払おうとしなくなる。それは市場が飽和状態に達したことを表す。このように性能の供給過剰は競争基盤を変化させ、顧客が複数の製品を比較して選択する際の基準が、まだ市場の需要が満たされていない特性へと移る。
図9-1のように競争基盤が繰り返し変化し、完全に差別化の要素がなくなる(複数の製品がすべての性能指標に対する市場の需要を満たす)と、製品は市況商品(需給関係に応じて価格が変化する商品)になる。製品の特徴と機能が市場の需要を超えてしまうと、特徴や機能の違いは意味を失う。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社
性能の供給過剰が発生すると、破壊的技術が出現し、確立された市場を下から侵食する可能性が出てくる。性能の供給過剰は、破壊的技術の脅威や機会を生み出すため、その製品市場の競争基盤に根本的な変化をもたらすきっかけにもなる。
顧客がある製品・サービスを、他の製品・サービスと比較し選択するときに、順位を決める基準が変わる。このとき製品のライフサイクルが、ある段階から次の段階へ移行する兆しが現れる。供給される性能と求められる性能の軌跡が交差すると、製品のライフサイクルの段階が根本的に移り変わるきっかけになる。
第9章では、ディスク・ドライブ業界の分析をもとに、性能の供給が市場の需要を超えたときに何が起きるかについて述べる。また「会計ソフト」と「糖尿病治療製品」の市場における製品のライフサイクルについても考える。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社
第8章をまとめると次の通りである。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社
図8-1のA~Dエリアは、プロジェクトに必要なプロセスと価値基準に合わせて、どのようなチームを構成すればよいのかを表したものである。
[ Aエリア : 持続的技術 × 新しいプロセス × 重量級チーム ]
[ Bエリア : 持続的技術 × 従来のプロセス × 軽量級チーム/機能的組織 ]
[ Cエリア : 破壊的技術 × 新しいプロセス × 重量級チーム ]
[ Dエリア : 破壊的技術 × 従来のプロセス × 軽量級チーム/機能的組織 ]
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社
図8-1は、既存のプロセスと価値基準に内在する能力が利用できるかどうかを整理・判断するためのフレームワークである。左の軸は、組織で現在使われている反復作業、コミュニケーション、協調、意思決定のパターンなど既存のプロセスを使って、新しい仕事をどれだけ効果的に遂行できるかを表す。右の軸は、左の軸の状況に適したチーム構造を示している。機能的組織や軽量級チームは既存の能力を生かすのに適しており、重量級チームは新しい能力を生かすのに適している。
主流事業のやり方や意思決定の方法が新しいチームの仕事では役に立たず、むしろ妨げになるような場合は「重量級チーム」が必要である。重量級チームとは、新しいプロセス、つまり連携して新しい能力を構築する新しい方法を作り出すための手段である。
重量級チームのメンバーは、単に自分たちの役割の範囲内で能力を発揮するだけでない。ゼネラル・マネージャーと同じように行動し、プロジェクトのために決定や取捨選択を行わなければならない。このようなメンバーは、通常、プロジェクトへの貢献度が高く、同じ場所で仕事をする。重量級チームのメンバーが連携してプロジェクトを遂行するうちに、新しいコミュニケーションや意思決定の方法が作られ、新しいプロセス、ひいては新しい能力を形成するようになる。事業が発展していくと、それらは慣行化して文化となる。
図8-1の横軸は、組織の価値基準から見て、新しい事業が成功するために必要な資源が割り当てられるかどうかを表す。新しい事業の適合性が低い場合は、主流組織の価値基準ではプロジェクトの優先順位は低くなる。成功するためには、開発と商業化を行う自律的な組織を設立することが求められる。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社
③ スピンアウト組織によって能力を生み出す
主流組織の価値基準が、イノベーション・プロジェクトに資源を割り当てる際の妨げになる場合は、独立した組織が必要になる。
次のような場合には、解決策としてスピンアウト組織が必要になる。
価値基準は優先順位を決定する際の基準であるため、企業の主流組織の価値基準に一致しないプロジェクトは、当然のように優先順位が低くなる。スピンアウト組織は通常の資源配分プロセスから独立することが重要である。そしてCEOは、新しい組織が必要な資源を確保し、新しい課題に取り組むために必要なプロセスと価値基準を自由に作れるよう指示すべきである。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社