1. 早く始める:本業がまだ堅調なうちに、新成長事業を定期的に立ち上げる
新成長事業を所定の間隔で次々と立ち上げる方針を確立すれば、成長エンジンが失速した後で対処するという失敗を防ぐことができる。
経営者は中核事業がまだ堅調に成長している間に、新成長事業を定期的に立ち上げるか、買収しなければならない。成長が鈍化すると、企業の価値基準が変化し、成長する能力が失われてしまうからである。経営者がこの方針を実行し、新事業の戦略を常に破壊として形成していれば、やがて新事業のいくつかが主要な収益源となり、会社全体の成長を維持するようになる。
確かな理論に基づいて行えば、買収もまた、成功率の高い戦略になり得る。破壊的事業の買収は、企業の業務推進チームが積極的に行っても良い。
業務推進チームは、本書の第2章から6章で紹介した数々の理論を通して、候補企業を特定することができる。初期段階にある破壊的成長事業を定期的なリズムで買収することは、企業の成長を創出し維持するための戦略になる。初期段階にある破壊的企業を買収すれば、収益曲線の勾配を変えることができる。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社