『イノベーションのジレンマ』の理論は、新規成長事業を立ち上げるのがなぜこれほどまでに難しいのかを説明した。『イノベーションへの解』は、イノベーションを起こそうとする人たちのために、理論を用いることによって、成長事業を立ち上げるプロセスで予測通りの結果を導く方法を説明した。どちらも「内部者が外を見る視点」、つまり戦略の構築・実行を担当する、全社的な意思決定者の視点から書かれている。対して『イノベーションの最終解』は、「外部者が内を見る視点」に立って、イノベーションが業界にどのような変化をもたらすのかを分析するために、こうした理論を用いる方法を示す。
優れた経営理論とは、特定の状況での因果関係(ある状況で、何が何を引き起こすか)に関する言明であり、次の要素を必ず備えている。
- 企業のマネジャーが、特定の状況に対処するための指針となる、状況に基づく厳密な分類方式という裏づけ
- なぜ特定の行動をとると、特定の結果を招くのかを説明するとともに、なぜ同じ行動をとっても、状況によって結果が異なるのかを説明する、因果関係に関する言明
『イノベーションのジレンマ』と『イノベーションへの解』の核にあるのは、イノベーションのプロセスを解き明かす3つの重要な理論である。
- 破壊的イノベーションの理論
- 資源・プロセス・価値基準の理論
- バリューチェーン進化の理論
<参考文献>
クレイトン・M・クリステンセン (著), スコット・D・アンソニー (著), エリック・A・ロス (著) (2014)『イノベーションの最終解』翔泳社