重要性の原則
- 「企業会計は、定められた会計処理の⽅法に従って正確な計算を⾏うべきものであるが、企業会計が⽬的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるから、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで、他の簡便な⽅法によることも正規の簿記の原則に従った処理として認められる」とする原則
- 企業会計原則注解に⽰された原則
- 会計処理の⽅法だけでなく、財務諸表の表⽰にも適⽤される
重要性の原則のルール
- 重要性の乏しい項⽬の会計処理や表⽰において、簡便な⽅法をとることを許容している
- 重要性の乏しい項⽬に厳密な⽅法を採⽤したとしても、労⼒ほどの効果を期待できず、厳密な⽅法をとることの意義が希薄となるため
- 過度に詳細な表⽰となれば、かえって財務諸表の概観性や利便性を損なうことになるため
- 重要性の原則は、会計処理の⾯では「正規の簿記の原則」、表⽰の⾯では「明瞭性の原則」と関連する
- 正規の簿記の原則
→ 会計処理において重要性の原則が適⽤された場合、簿外資産や簿外負債が⽣ずる - 明瞭性の原則
→ 表⽰に関して重要性の乏しい項⽬は、独⽴の表⽰はせず、他の項⽬に含めて表⽰することが認められる
- 正規の簿記の原則
- 「企業会計原則注解」にまとめられた重要性の原則
- 重要性の乏しいものについては、簡便な⽅法を認める
- 重要性の⾼いものについては、真実な報告を⾏うためにも、より詳細に記録・表⽰しなければならない
- 真実な報告をささえるもの
- 明瞭性の原則に包摂される
重要性の原則と明瞭性の原則との関係
- 明瞭性の原則
過度に詳細な表⽰をすれば、かえって財務諸表の概観性や利便性を損なってしまう
↓ - 情報過多は概観性を低下させ、明瞭性を低下させてしまう
↓ - 重要性の原則
⼀般的に重要性の乏しいものには簡便な⽅法を⽤いなければならない
↓ - 重要性の原則は、明瞭性の原則を⽀えるものとなる
重要性の原則の適⽤が認められる例
- 消耗品や貯蔵品などを、買い⼊れ時に資産として計上することなく、即時に費⽤化する
- 経過勘定のうち、重要性の乏しいものは計上しない
- 引当⾦のうち、重要性の乏しいものは計上しない
- 棚卸資産の附随費⽤のうち、重要性の乏しいものは取得原価に算⼊しない
- 1年以内に期限の到来する分割返済の定めのある⻑期の債権、債務のうち、重要性の乏しいものは流動資産、流動負債として表⽰しない
- 特別損益項⽬であっても重要性の乏しいもの、または経常的に発⽣するものは、経常損益計算に含める