イノベーションのジレンマ:第8章 組織にできること、できないことを評価する方法 (3)

② プロセス

プロセスは次のようなものである。

  • 組織がインプットをさらに価値の高いアウトプットへとどのようにして変換するかを定義するもの。
  • 従業員が人材、設備、技術、商品デザイン、ブランド力、情報、エネルギー、資金などの資源のインプットを価値の高い商品やサービスに変換し、組織が価値を生みだすときの相互作用、協調、コミュニケーション、意思決定のパターンのこと。
  • 製造、商品開発、調達、市場調査、予算作成、事業計画、人材開発、給与決定、資源配分などを実現するプロセスがある。
  • プロセスは、特定の業務に対応するために定義され、事実上の進化を遂げる。
  • ある仕事を遂行する能力を定義するプロセスは、他の仕事では役立たないことがある。
  • 優れた経営者は、プロセスと仕事を連携しやすくするために、各組織の目的を絞ろうとする。

プロセスは、従業員が反復作業を一定の方法で行うために確立される。組織が価値を生みだすメカニズム(プロセス化による価値創造)そのものが、本質的に変化をこばむため、経営者はジレンマに陥る。価値を生み出すためにプロセス化すれば、変化に対応できなくなる。

「慣例に従って市場調査を実施し、その分析結果を財務予測に反映し、事業計画と予算を協議し、それらの数字を伝達する」といった過程を定義するプロセスは、優良企業から変化への対応能力を奪う。
 

<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社