イノベーションのジレンマ:第6章 組織の規模を市場の規模に合わせる (1)

クリステンセン教授は第6章の冒頭で、破壊的イノベーションの実現には次の点を認識する必要があると述べている。

  • 破壊的イノベーションに対応するのは、持続的技術に対応するとき以上にリーダーシップが重要である。
  • 破壊的イノベーションに直面した経営者は、誰よりも早く破壊的技術を商品化する必要がある。
  • 既存の市場に参入して熾烈な競争に会うよりも、新しい市場を開拓した方が、リスクが低く見返りが大きい。
  • 破壊的技術を開発するプロジェクトは、対象とする市場に見合った規模の組織に組み込む必要がある。
  • 小規模な新しい市場では、大企業における短期的な成長と利益ニーズを満たせない。

優良企業は期待する成長率を維持するのに、毎年度、収入を大幅に増やす必要がある。したがって、破壊的イノベーションがターゲットとする小規模な市場は、優良企業の収入を増やすための対象として有効ではない。このギャップを埋める方法の1つは、破壊的技術の商品化を目的とするプロジェクトを、小規模な市場に見合った小規模な組織に組み込み、企業が成長してもこのような慣行を繰り返すことである。
 

<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社