60. 経済発展

経済のサービス化

  • 1970年代半ばに、日本では産業別の国内総生産に占める第三次産業の割合が50%を超え、経済のサービス化が進んだ
  • アメリカのダニエル・ベルは知識やサービスに基礎をおく社会を「脱工業社会」と呼んだ
  • 経済のサービス化が進んだ背景には、次のような要因が見られた
    • IT革命に支えられた情報通信産業の発達
    • 所得水準の向上
    • 余暇時間の増加によるレジャーや旅行関連産業の成長
    • 女性の社会進出などに伴う外食産業の増加
    • 高学歴化による教育産業
    • 高齢社会を迎えての福祉サービス関連産業の拡大

経済のソフト化

  • コンピュータを利用したインターネットの普及でIT革命が進展し、携帯電話やスマートフォンの普及により、時間的・空間的な距離が縮まり、経済に大きな変化が生まれた
  • 企業は次のような活動を行い、ビジネスチャンスを逃さないように努力している
    • 製品やサービスをウェブサイトやSNSに載せて宣伝や販売などを行う
    • 企業内のシステムやパソコンをネットワークで結びつけて作業工数やコストを減らす
    • 事務処理、意思決定、消費者への対応をスピードアップ化する
  • 知識集約型産業の発達に伴って、特許権や著作権、ブランドなどの知的財産権(知的所有権)の価値が高まり、それらを利用して収益をあげている
  • 商業分野では、POS(販売時点情報管理)システムの導入により在庫管理や販売管理が合理化された
    • POSシステム:レジでバーコードを利用して、商品を売ったと同時に売上げと在庫管理などをコンビュータを通しておこない、売れ筋商品の発注や効率的な配送などをする仕組み
  • 少ないスペースで多品種の商品を販売するコンビニエンスストア(コンビニ)やミニスーパーが増加した一方で、従来の食料品店や洋品店、雑貨店といった小売店が減少した
  • 銀行のキャッシュカードコーナーが夜遅くまで営業するようになったり、コンビニで銀行取引ができるようになったり、カードや携帯電話、電子マネーやバーコードを利用した決済が増加した
  • 製造業部門では、アジアNIES(新興工業経済地域)や中国からの安価な製品の輸入が増加し製造部門が海外に移転した結果、国内では知識集約型製品の生産や研究開発部門の比重が上昇するなど、経済のソフト化が進んだ
  • 経済発展と賃金の上昇に伴い、製造部門はインドや東南アジアへ移転していった
  • 銀行や証券会社のサービスをインターネットを通じて利用することが増え、個人投資家が増加した
  • コンピュータやインターネットの普及は、先進国と発展途上国との間、高齢者と若者との間、ITについていける人とそうでない人との間にデジタルデパイド(情報格差)を生み出した