「実現」の⼀般的な要件
- 財貨の引き渡しやサービスを提供したとき
- その対価として、特定資産を受領したとき、または債務を弁済したとき
販売基準による「収益」の認識
- 販売⾏為の完了時点で収益を認識すること
- 「現⾦等価物」の解釈は複数存在するものの、⼀般的に販売⾏為の完了をもって「収益の実現」とみなされる
- 「実現主義=販売基準」と同義に捉えられることもある
- 今⽇の会計制度では、販売基準以外の収益の認識も少なからず認められている
⽣産基準による「収益」の認識
- ⽣産過程の途上、または完了の時点で収益を認識すること
- ⽣産基準の種類
- 時間基準
- 不動産賃貸業、⾦融業、電⼒会社、ガス会社のように、⼀定の契約にもとづいてサービス提供が⾏われている場合
- 時間の経過に応じて収益を認識することが可能
- ⼯事進⾏基準
- 建設業、造船業のように、⽣産の前に請負契約が結ばれ、完成物の引き渡しと取引価格(販売価値)とが確定している場合
- ⽣産、または⼯事の進捗度に応じて収益を認識することが可能
- 収穫基準
- 政府などによる買い⼊れが定められている特定の農産物、鉱産物(ただし、貴⾦属,宝⽯として扱われるものに限る)のように、所定の価格での販売が保証されている、あるいは容易に販売しうる市場(売り⼿市場)が存在する場合
- (販売以前の)収穫、または⽣産を完了した時点で、収益を認識することが可能
- 時間基準
⽣産主義に対する⾒解
- 「実現主義=販売基準」の⾒地からすると、販売⾏為の完了以前における収益の認識である
- 実現主義の例外(発⽣主義の適⽤)とみなされる
- 実現主義の根拠に「収益の確定性・客観性」を求める場合は、⽣産主義は実現主義の⼀例とみなされる
- 収益の確定性・客観性=決定的な事柄の存在を求める考え
回収基準(回収期限到来基準)による「収益」の認識
- 代⾦の回収の可否にかかわらず、回収期限(⽀払い期限)が到来した時点で収益を認識すること
- 例:割賦販売(クレジット販売)
- 販売代⾦を分割払いとする場合、販売⾏為を完了しただけでは、収益の確実性を確保できたとはいえない
- 実際に代⾦が回収されるまでは、収益の成⽴が不確実な状態にある
- 代⾦の回収が⻑期に渡るため、代⾦が完全に回収されない危険性が⾼い
- 代⾦の回収にあたって、販売後にある程度の「回収費⽤」を要する
- 収益の確実性を確保するため、代⾦の回収時点まで、収益の認識を先送りすることが認められている
回収基準に対する⾒解
- 「実現主義=販売基準」の⾒地からすると、販売⾏為の完了後における収益の認識である
- 実現主義の例外(現⾦主義の適⽤)とみなされる
- 実現主義の根拠に「収益の確定性・客観性」を求める場合は、回収基準は実現主義の⼀例とみなされる
- 割賦販売 → 代⾦の回収時点が収益の認識 → 代⾦回収の実現 → 実現主義の⼀例