動態論からの捉え方
- 収益と費用 = 経営活動の成果と犠牲
- 期間利益計算を重視
- 損益計算書が重要な役割を果たし、貸借対照表は、調整項目を収容するものとして位置づけられる
- 期間利益の構成要素たる収益(期間収益)と費用(期間費用)とは、経営活動の成果と犠牲を示すものとして、独立的に定義されなければならない
新静態論、資産負債アプローチからの捉え方
- 経済的資源の状況を重視
- 貸借対照表が重視され、損益計算書は資本(純資産)の変動原因を示すものとして位置づけられる
- 各要素の定義
- 収益と利得
- ともに資本(純資産)の増加原因
- 従属的に定義
- 費用と損失
- ともに資本(純資産)の減少原因
- 従属的に定義
- 資本(純資産)の増減
- 資本取引以外の取引によって資本の増減をもたらすもの
- 資本金の追加受け入れや払い出しといった資本取引によっても生ずるため
- 利益の額
- 配当可能額を算定する根拠
- 経営活動の原資である「資本」と、それによって得た「利益」とは、資本維持の観点からは、厳密に区別しなければならない
- 配当は「利益」を源泉として行わなければならない
- もし「資本」から配当を行えば、企業は経営活動の原資を失い、継続企業としての能力を失う
- 収益(利益のプラス要素)の認識基準
- 実現主義を適用する
- 客観性や確実性を求める
- 資金性(貨幣性資産の受領)を要件のひとつとする
- 収益と利得
静態論からの捉え方
- 債権者保護を重視
- 貸借対照表が重視され、収益や費用は資本の変動原因を示すものとして位置づけられる
- 企業の弁済能力(資産の担保性や実在性)が重視されるため、収益・費用・利益にはほとんど関心が向けられない
会計の目的と利益の変化
- 会計の目的によって、収益や費用の定義や認識基準は異なり、利益の額も変化する
- 維持すべき資本を「名目資本」「実質資本」「実体資本」のいずれとするかによって、資本と利益との境界、収益と費用の認識、利益の額は変化する
- 利益の額を変化させる会計の目的
- 配当可能額の算定
配当可能額の算定を目的として計算される利益額は、資金性が重視されることから、比較的小さくなる傾向がある - 将来における経済的資源の流入、流出の判断のための情報提供
情報提供を目的として計算される利益額は相対的に大きくなる傾向がある - 企業の経営活動の良否の判断
- 配当可能額の算定