133. 確定決算主義

確定決算主義

  • 決算と税務調整
    • 会社は毎期、決算を行って当期利益(または当期損失)を計算し、株主総会の承認を受ける。
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      決算の内容は、外部との取引の事実にもとづく記録によるものだけでなく、減価償却費や各種の引当金の計上など、会社内部の計算によるものもある。
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      会計処理では、同様の取引に対しても、いくつかの処理方法が認められ、会社にその選択が委されているものもある。
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      そのようななか、決算は株主総会で承認を受けることによって確定する。
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      確定した当期利益に基づいて税務調整を行う。
  • 確定決算主義
    • 税法においては、確定した決算の当期利益を基礎として税務調整を行い、所得金額を計算する。

確定決算主義と逆基準性の問題

  • 日本での課税所得の算出
    • 課税所得の算定には2通りの方法がある。
      1. 会計における利益計算と課税所得の算定は、それぞれ別個に行う
      2. 会計において計算された利益(確定した決算における利益)にもとづいて、課税所得を算定する
    • 日本においては、②の「確定決算主義」が採用されている。
      • 会計上の利益を基準として課税所得を算定する。
  • 課税所得算出における逆基準性の問題
    • 日本では実際に、課税所得を基準として、会計における利益計算が行われてしまっている。
    • 財務諸表の作成では、減価償却において定額法、定率法などが認められているなど、同様の取引について複数の処理方法が認められている場合がある。
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      各企業の固有の環境において、企業の情況を最も適切に示す数値をもたらす処理方法が用いられるべきである。
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      企業の情況を最も適切に示す利益額をもたらす処理方法が用いられるべきである。
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      実際には、課税所得(税額)が最も少なくなるような処理方法が用いられている。
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      企業の情況を最も適切に示す利益額はもたらされなくなってしまっている。
  • 確定決算主義におけるジレンマ
    • 確定決算主義において、企業の経営者はジレンマに陥るはずである。
      • 自己の責任に帰される「経営成績をあらわす利益額」は、可能な限り大きくしたい。
      • 確定した利益から算出される課税所得額(税額)は、可能な限り小さくしたい。
    • アメリカなどの経営者とは異なり、日本の経営者は必ずしも「利益が少なければ首になる」とはならない。
      • ジレンマには陥ることなく、「課税所得額(税額)をできる限り小さくしたい」と考えてしまう。