費用もそれほどかからず得意な分野に集中できることから、モジュール型製品の価値を構成するサプライヤーとして、新成長事業を立ち上げるのは魅力的だ。しかし、破壊の初期段階ではモジュール化が技術上または競争上、可能でないことが多い。
企業が何かを外部調達するか、逆に何かを顧客に販売するためには、次の3つの条件が満たされていなければならない。
- 指定可能性:供給業者と顧客の両者が「構成要素のどの属性が製品システムの動作にとって重要で、どれがそうでないか」を識別できなければならない。
- 検証可能性:調達部品が条件を満たしているかどうかを検証するために、それらの属性を評価できなければならない。
- 予測可能性:サブシステムによって狙い通りの成果をあげるために、顧客はシステム全体の中でサブシステムがどのように相互作用するかを理解していなければならない。
この3つの条件が揃ってはじめて、効果的なモジュール型インターフェースとなる。製品の性能が十分でないとき、つまり企業が製品の性能を可能な限り高めるために非標準的な製品アーキテクチャにて新技術を用いて競争力を高めているときは、この条件は満たされないことが多い。もし複雑で補完的で予測不能な相互依存関係がシステム内にあるときには、単一組織の中にインターフェースを設けなければならない。
指定可能性、検証可能性、予測可能性が揃ったとき、複数の組織が距離を置きながら連携できるようになる。モジュール型インターフェースが確立すると、そのインターフェースに沿って産業の非統合化が起こる。
指定可能性、検証可能性、予測可能性が存在しない場合は、経営者による監督と調整が、調整メカニズムとして優れた機能を果たす。またモジュール化の条件が満たされない場合は、組織統合が重要となる。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著), マイケル・ライナー (著) (2003)『イノベーションへの解:利益ある成長に向けて』翔泳社