129. 会社法と会計

商法と証券取引法

  • 商法
    • 2006年5月施行の「会社法」の前身
    • 1899年に制定され、数々の改正を経た。
    • 模範とした1897年のドイツ商法は、決算期末において会社がどれだけの資産・負債を有しているかを重視する財産法的思想のもとに立法されていた。
        ↓
      商法は、期末における純資産額の把握を主たる目的とした。
        ↓
      貸借対照表を重視することになった。
  • 商法会計
    • 債権者保護を目的とする「資本維持の原則」を掲げた。
    • 「株主への配当可能利益の額を把握し、確定すること」を目的としていた。
    • 利害調整機能を重視した。
  • 証券取引法
    • 2006年6月施行の「金融商品取引法」の前身
    • どちらかといえば損益計算書を重視していた。
  • 証券取引法会計
    • 投資家保護の立法趣旨のもと、一定期間における利益計算を中心に理論構成されていた。
    • 「投資者の意思決定に有用な情報を提供すること」が重視された。
    • 一般には「商法会計とは和対立する会計制度」として説明されていた。

会社法会計と金融商品取引法会計

  • 2006年5月に施行された「会社法」と「会社計算規則」で行われる「会社法会計」と、2006年6月に成立した「金融商品取引法」で行われる「金融商品取引法会計」は、相対立する会計制度ではない。
      ↓
    会計情報の利用者志向性が高い国際標準に限りなく近い会計
      ↓
    「意思決定有用性アプローチの会計」とも称される会計
  • 「会社法会計」と「金融商品取引法会計」との両者が行われる「株式会社」では、ほぼ同様の2つの会計制度によって規制されている。
  • 「会社法」は適用されるが、「金融商品収引法」は適用されない中小会社の場合には、会計の利害調整機能は依然として重要である。

会社法会計と企業会計基準

  • 会社法
    • 「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする」
  • 会社計算規則
    • 「この省令の用語の解釈、及び規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準、その他の企業会計の慣行をしん酌しなければならない」
  • 企業会計基準
    • 企業会計原則をはじめとする成文化された企業会計において採用されるべき会計処理の方法および手続き
    • 企業会計基準のみならず、日本公認会計士協会が公表した実務指針等も含まれる。
  • 会計慣行
    • 企業会計基準のもとで行われる会計慣行
    • 諸外国における、より精緻(せいち)な企業会計の基準のもとで行われる会計慣行も含まれると解釈しうる。
    • 会社法のもとで行われる会社法会計にあっても、企業会計基準は、よりどころとして機能している。