[ 第3章のテーマ ]
- 破壊的戦略を実行するためには、どのような製品を開発すればよいのか。
- どの市場分野をターゲットとするべきか。
- その市場分野の顧客が、製品のどのような特長や機能を高く評価するか、しないかを、前もって確実に知る方法はあるか。またどのようにして製品の利点を顧客に伝えればいいか。
- 永続的な価値を創造するブランド構築戦略とは、どのようなものなのか。
マーケティングでは、同じ製品やサービスが全員にアピールするほど似通った顧客群を特定する「市場細分化」に重点を置いている。一般にマーケティング担当者は、製品の種類、価格滞、あるいは顧客である個人や企業の人口統計的属性や心理的属性などによって、市場を細分化することが多い。こうした属性ベースの細分化は、属性と結果の相関関係を明らかにすることはできる。
製品にどのような特長や機能を付加し、どのようにポジショニングすれば、顧客に買わせることができるのか、その因果関係を明らかにするのは「状況ベース」の細分化である。“ 顧客は特定の「用事」を片づけるために製品を「雇う」” という考えに基づいて市場を細分化すれば、顧客が現実に生活を送る様子を正確に映し出すような形で、市場を細分化することができる。またその過程で、破壊的イノベーションの機会を発掘することもできる。
顧客(個人や企業)の生活にはさまざまな「用事」が頻繁に発生し、彼らはとにかくそれを片づけなければならない。顧客は用事を片づけなければならないことに気付くと、その用事を片づけるために「雇える」製品やサービスがないかを探し回る。
顧客の思考プロセスには、まず何かを片づけなくてはという認識が生じ、次に彼らはその用事をできるだけ効果的に、手軽に、そして安くこなせる物または人を雇おうとする。顧客が片づけようとする用事や、その用事を通じて達成しようとする成果が、状況ベースの市場区分を構成する。製品のターゲットを顧客そのものではなく、顧客が置かれている状況に絞れば、狙い通り成功する製品を市場に展開することができる。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著), マイケル・ライナー (著) (2003)『イノベーションへの解:利益ある成長に向けて』翔泳社