優良企業がたびたび失敗するのは、その企業を業界リーダーに押し上げた経営慣行そのものが、破壊的技術の開発を困難にし、最終的に市場を奪われるからである。
優良企業は、既存の顧客の需要に応えて製品の性能を高める持続的技術の開発を得意としており、次のような特徴が見られる。
- 顧客の声に耳を傾ける
- 求められたものを提供する技術に積極的に投資する
- 利益率の向上を目指す
- 小さな市場より大きな市場を目標とする
破壊的技術は、市場の価値基準を変える。破壊的技術が最初に出現するときには、ほほ例外なく、主流顧客が評価する特性において性能が低い。
しかし、破壊的技術には、少数派の(たいていは新しい)顧客に評価される別の特性(低価格、小型、単純、使いやすい)がある。破壊的技術により新しい市場が開拓されると、その後性能が高められていき、やがて従来の市場を浸食するようになる。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社