性能の供給過剰が発生すると、破壊的技術が出現し、確立された市場を下から侵食する可能性が出てくる。性能の供給過剰は、破壊的技術の脅威や機会を生み出すため、その製品市場の競争基盤に根本的な変化をもたらすきっかけにもなる。
顧客がある製品・サービスを、他の製品・サービスと比較し選択するときに、順位を決める基準が変わる。このとき製品のライフサイクルが、ある段階から次の段階へ移行する兆しが現れる。供給される性能と求められる性能の軌跡が交差すると、製品のライフサイクルの段階が根本的に移り変わるきっかけになる。
第9章では、ディスク・ドライブ業界の分析をもとに、性能の供給が市場の需要を超えたときに何が起きるかについて述べる。また「会計ソフト」と「糖尿病治療製品」の市場における製品のライフサイクルについても考える。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社