新規参入企業は、誤った準備計画を実行すれば、誤った顧客をターゲットにすることになる。新規参入企業が重複したバリューネットワークの中に身を置けば、既存企業にとって補完的なビジネスモデルと能力を開発する羽目になる。その結果、形勢を既存企業に有利に傾けてしまう。
破壊のブラックベルトを取得した既存企業は、破壊の脅威をかわすスピンアウト組織を作るか、破壊の力を繰り返し活用する能力を社内で開発する能力を持っている。
戦略的選択を分析する際には、以下の質問を考えるとよい。
- 企業
- 企業は正しい戦略が創発的に生まれる必要があるような状況に置かれているだろうか?
- 企業には創発的な力を促す自由度があるだろうか?
- マネージャー
- 企業のマネジャーは、今後も再び起こり得る問題に取り組んだ経験があるだろうか?
- また経験から学習する能力を証明してきただろうか?
- 投資家
- 投資家の価値基準は、企業のニーズとマッチしているだろうか?
- 投資家が企業の場合、その成長は鈍化していないだろうか?
- バリューネットワーク
- バリューネットワークは既存企業のものと重複しているだろうか?
- 答えがイエスの場合、重複の度合いはどれほどだろう?
- バリューネットワークのせいで、非対称なビジネスモデルを生み出すのが不可能な状況だろうか?
- 組織
- これはスピンアウト組織をつくるのに適した状況だろうか?
- スピンアウト組織には、必要なことを行う自由度があるだろうか?
<参考文献>
クレイトン・M・クリステンセン (著), スコット・D・アンソニー (著), エリック・A・ロス (著) (2014)『イノベーションの最終解』翔泳社