「どのプロジェクトに人材と資金をつぎ込み、どの企画につぎ込まないかを決定する」という企業の資源配分プロセスは、顧客が支配している。つまり顧客が望めば、プロジェクトに資金が割り当てられる。イノベーションの実現は、この資源配分プロセスに依存している。
重要な資源配分の決定は、プロジェクトが承認された後、現場のマネージャーによってなされることが多い。現場のマネージャーは、複数のプロジェクト/製品において人材や設備やベンダーの取り合いが生じたときに、その優先順位を決定する。
現場のマネージャーは、どのプロジェクトを上層部に提案し、どのプロジェクトを優先すべきか、またどのようなタイプの顧客や製品が企業にとって最も利益になるのかを意識している。どの案を支持するかによって、社内で出世できるかどうかも気にしている。企業の利益追求とマネージャーの出世欲が、顧客ニーズに合った資源配分プロセスを決定し、ひいてはイノベーションの実現にも影響を与える。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社