ほとんどの場合、市場規模が小さく顧客の需要もはっきりしない「破壊的技術」よりも、企業にとって最も有力な顧客の需要に応える「持続的技術」の方が優先される。その理由を確認するために、ディスク・ドライブ業界において「開発・商品化の意思決定プロセスに影響を与えた要因」を調べたところ、6つの要因が明らかとなった。
- 破壊的技術は、まず既存企業で開発される
- 優良企業のマーケティング担当者は既存製品の主要顧客に意見を求める
- 優良企業は競争に勝つために、持続的技術の開発速度を上げる
- 優良企業を辞めた人たちが新会社を設立し、試行錯誤の末、破壊的技術の市場が形成される
- 製品の性能が向上すると、新規参入企業は上位市場ヘ移行する
- 優良企業は、顧客基盤を守るために遅れて市場へ参入するが、新規参入企業のコスト構造には勝てず価格競争に負ける
優良企業は主要な利益を生み出す顧客の声に耳を傾ける。その結果、優良企業は持続的イノベーションに向かい、破壊的イノベーションのリーダーシップを失うことがある。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社