イノベーションへの解:第4章 自社製品にとって最高の顧客とは (2)

ローエンド型破壊では、主流製品を現在使っているが、性能の一層高い製品には無関心だと思われる人々が理想的な顧客である。ローエンド型破壊で成功する秘訣は、ローエンドのビジネスを勝ち取るために必要な低い価格でも、魅力ある利益を得られるようなビジネスモデルを考案することにある。

新市場型破壊の顧客、つまり「無消費者」を見つけるには、3つのリトマス紙(用事の質問)を用いるとよい。無消費は、用事を片づけたいが、市販製品が高すぎたり、複雑すぎたりするため、自力で出来ずにいるときに発生する。このタイプの無消費が、成長機会をもたらす。

新市場型破壊は、金やスキルを持たなかった大勢の人が、製品を購入し、利用することで、自力で用事をこなせるようにするイノベーションである。そして無消費とは、用事を片づける必要があるが、望ましい解決策がこれまで手の届かないところにあった状況のことである。このような新市場を標的とするイノベーターの行為を「無消費に対抗している」という。
 

<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著), マイケル・ライナー (著) (2003)『イノベーションへの解:利益ある成長に向けて』翔泳社