イノベーションの最終解:第2章 競争のバトル ー 競合企業の経営状況を把握する(3)

競合企業の経営状況を把握して、その強みと弱みをつかんだ上で、「剣と盾」を携える。そして「競合企業ができないことや、しようとしないことをしている企業」を探し出す必要がある。そのために、資源(Resource)・プロセス(Process)・価値基準(Value)に関する「RPV理論」を押さえ、企業の強みと弱みの源泉を理解するとよいだろう。

企業のRPVを評価するには、次の質問に答えればよい。

  1. 企業は機会をものにするために必要な資源を持っているか、または動員できるか?
  2. 企業のプロセスは、企業がしなければならないことを効果的かつ効率的に実行するのに役立つだろうか?
  3. 数ある選択肢があるなかで、企業の価値基準はこの特定の機会を優先するだろうか?

表2-1は、企業の経営状況を把握してRPVを評価する方法をまとめたものである。資源は目に見える場合が多い。また企業が繰り返し解決しなければならない困難な問題を推測すれば、企業の中核的なプロセスがどのようなものなのかがわかる。そして損益計算書と過去の投資履歴は、企業の価値基準を知る重要な手がかりになる。

表2-1 経営状態を把媛する方法
用語 定義 何に注目するか
資源 企業が持っているもの、または利用できるもの
  • 有形資産:技術、製品、バランスシート、設備機械、流通網
  • 無形形資産:人的資本(従業員の経歴、蓄積されたスキル)、ブランド、蓄積された知識
プロセス 事業を行う方法(スキル)
  • 企業がこれまで繰り返し解決したことがわかっている困難な問題
  • 典型的なプロセス人材の際保・育成、製品開発、製造、予算計画、市場調査、資源配分
価値基準 優先順位づけの基準(動機づけ)
  • ビジネスモデル
    • 企業が利益を上げる方法(たとえば売上収益とアフターサポート収益の組み合わせ方法など)
    • コスト構造/損益計算書
    • 規模と成長に対する期待
  • 過去の投資決定:これまで何を優先してきたか

<参考文献>
クレイトン・M・クリステンセン (著), スコット・D・アンソニー (著), エリック・A・ロス (著) (2014)『イノベーションの最終解』翔泳社