イノベーションの最終解:第2章 競争のバトル ー 競合企業の経営状況を把握する(11)

イノベーションの理論を用いて業界の変化を分析する方法の第二段階は、競争のバトルを評価することである。

競争のバトルには次のような特徴が見られる。

  • 「他の企業がやりたくないこと、またはできないことを行う」という非対称性に牽引されて、企業は自然に破壊的イノベーションへと導かれる。
  • 新規参入企業は、無消費者や過剰満足の顧客を狙う新しい方法を生み出し、非対称な動機づけという盾に守られながら、新しい成長を生み出す。
  • 既存企業は反撃する意欲を持たず、逃走を選ぶ傾向がある。
  • 新規参入企業は成長するうちに独自の製品・サービスを提供するための独自のスキルを身につけ、非対称なスキルという剣を持つようになる。
  • 既存企業が反撃する気になったときには、すでに手遅れである。

競争のバトルの評価には大きく2つのポイントがある。

  1. 競合企業の強みと弱みを評価する
    • 資源(企業が持っているもの)、プロセス(企業が仕事をする方法)、価値基準(企業のやりたいこと)を分析すると、企業を評価することができる。
    • 競合企業の経営状況を把握することで、強みと弱み、能力と動機づけを見極めることができる。
  2. 競争バトルを分析する
    • 業界のプレーヤーのビジネスモデル、動機づけ、スキルはどのようなものか?
    • 業界のプレーヤーはどのような違いを持っているか?
    • 市場のニーズを満たす方法に違いはあるか?
    • 対称性、非対称性はそれぞれどこにあるか?
    • 非対称性は、攻撃側の企業と既存企業のどちらに有利に働いているか?
    • イノベーションはターゲット市場に自然に馴染むものか?
    • 詰め込みの兆候は見られないか?
    • 企業がローエンド市場から撤退し、上位市場に向かおうとしている兆候はあるか?
    • 向かうべき上位市場は残っているか?
    • 向かうべき上位市場にいられるのは、あとどれくらいの時間か?

     

    <参考文献>
    クレイトン・M・クリステンセン (著), スコット・D・アンソニー (著), エリック・A・ロス (著) (2014)『イノベーションの最終解』翔泳社