イノベーションの理論を用いて業界の変化を分析する方法の第二段階は、競争のバトルを評価することである。
競争のバトルには次のような特徴が見られる。
- 「他の企業がやりたくないこと、またはできないことを行う」という非対称性に牽引されて、企業は自然に破壊的イノベーションへと導かれる。
- 新規参入企業は、無消費者や過剰満足の顧客を狙う新しい方法を生み出し、非対称な動機づけという盾に守られながら、新しい成長を生み出す。
- 既存企業は反撃する意欲を持たず、逃走を選ぶ傾向がある。
- 新規参入企業は成長するうちに独自の製品・サービスを提供するための独自のスキルを身につけ、非対称なスキルという剣を持つようになる。
- 既存企業が反撃する気になったときには、すでに手遅れである。
競争のバトルの評価には大きく2つのポイントがある。
- 競合企業の強みと弱みを評価する
- 資源(企業が持っているもの)、プロセス(企業が仕事をする方法)、価値基準(企業のやりたいこと)を分析すると、企業を評価することができる。
- 競合企業の経営状況を把握することで、強みと弱み、能力と動機づけを見極めることができる。
- 競争バトルを分析する
- 業界のプレーヤーのビジネスモデル、動機づけ、スキルはどのようなものか?
- 業界のプレーヤーはどのような違いを持っているか?
- 市場のニーズを満たす方法に違いはあるか?
- 対称性、非対称性はそれぞれどこにあるか?
- 非対称性は、攻撃側の企業と既存企業のどちらに有利に働いているか?
- イノベーションはターゲット市場に自然に馴染むものか?
- 詰め込みの兆候は見られないか?
- 企業がローエンド市場から撤退し、上位市場に向かおうとしている兆候はあるか?
- 向かうべき上位市場は残っているか?
- 向かうべき上位市場にいられるのは、あとどれくらいの時間か?
<参考文献>
クレイトン・M・クリステンセン (著), スコット・D・アンソニー (著), エリック・A・ロス (著) (2014)『イノベーションの最終解』翔泳社