イノベーションの最終解:第3章 戦略的選択 ー 重要な選択を見極める (2)

誤った準備計画のせいで、誤った「足がかりとなる市場」から参入する新興企業は、瞬く間に非対称性の不利な方へと追いやられる。それを防ぐには、企業が適切な戦略策定プロセスを用い、適切な人材を採用し、適切な資金源から資金を調達することによって、正しい足がかり市場を探しやすい条件を整えているかどうかを評価する方法を知る必要がある。

企業の準備計画において、重要な要素、選択すべき手段、そして企業が実際にその手段を実行していることを示すシグナルをまとめると、表3-1となる。

表3-1. 準備計画の分析方法
要素 手段 シグナル
戦略策定 不確実な状況では、創発的な力を活用して、適切な市場/ ビジネスモデルを探す
  • 固定費の低いコスト構造は、柔軟な対応を可能にする
  • 市場のシグナルに適応しようとした実績
  • 思い込みよりも実験を重視する事業計画
人材採用 企業が今後直面しそうな状況の「経験の学校」に適した人材
  • 新しいベンチャ一企業が直面するであろう問題と似たような諜題に、以前の職務で取り組んだことのある人材
資金源 不確実な状況では成長を気長に、利益を性急に求めるような投資家が必要になる
  • 投資家の価値基準(急成長を必要としているか)
  • 企業と投資家の関係

 

<参考文献>
クレイトン・M・クリステンセン (著), スコット・D・アンソニー (著), エリック・A・ロス (著) (2014)『イノベーションの最終解』翔泳社