付録:魅力的利益保存の法則(クリス・ローウェン提唱)
バリューチェーンにおいては「モジュール型アーキテクチャ」と「相互依存型アーキテクチャ」、そして「コモディティ化」と「脱コモディティ化」という相互に補完的プロセスが、十分でない製品の性能を最適化するために、常に並行して存在する。
モジュール化とコモディティ化によって、魅力的な利益がバリューチェーンのある段階で消滅すると、通常は隣接する段階に、独自製品を通じて魅力的利益を得る機会が出現する。製品とともに提供されるサービスも、類似のコモディティ化と脱コモディティ化のサイクルを経ることがあり、その結果、魅力的利益も移動する。
※例外としては、バリューチェーンの中で2つのモジュール型段階が並んで存在したり、2つの相互依存型アキテクチャを統合しなければならないことがある。
製品の機能性と信頼性が十分以上に良くなると、競争基盤が変化する。このとき、「商品化のスピード」と「ターゲット市場における顧客の特定ニーズに合わせて製品を機敏に構成する能力」が十分でない状態をもたらす。バリューチェーンの中で、このような新しい次元で卓越するための能力が決定される場所が、顧客とのインターフェースである。
顧客とのインターフェースを独自の方法で統合している企業は、顧客とよそよそしい「モジュール型」のやり方でしか接しない企業に比べて、十分でない次元において、より効果的に競争することができる(そしてより高い利益率を獲得できる)。そのような状況では、顧客への小売インターフェースにわたって統合している企業も、平均以上の利益を得ることができる。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著), マイケル・ライナー (著) (2003)『イノベーションへの解:利益ある成長に向けて』翔泳社