動機づけ/能力マトリクスを使う方法は次の通りである。
- 企業の現在の「能力」と「動機づけ」を書き出して、現在の環境がそれぞれの種類のイノベーションにとって望ましいかどうかを考える。望ましいものでない場合、イノベーションを阻害している主な障壁を見極める。
- 市場外のプレーヤーが、企業の動機づけや能力に影響を与えるような措置を講じているかどうかを判断する。
- そのような措置が、イノベーションへの主な障壁を取り除くためのものかどうかを判断する。もしそうであれば、その措置はイノベーションを促進すると期待できる。
表4-1は「適切な介入が功を奏する状況(法的な障壁または経済性の歪みがイノベーションを阻害している状況)」と「介入がほとんど効果のない状況(技術的隙壁とジレンマの状況)」を判別する方法をまとめたものである。
状況 | 判別方法 | シグナル | 何が起こり得るか |
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市場外の要因が状況を改善し得る |
実証済みの技術をもった企業が市場外の障壁のせいで市場に参入しない
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能力または動機づけを高めるための正しい措置 |
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経済性の歪みに対処せず、人為的な動機づけをもたらすような措置 |
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市場外の要因が状況を容易に改善できない | 新規企業が市場に参入するための技術的能力を持っていない(相互依存性が求められる) | 能力を高めようとする措置が失敗する |
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業界に動機づけも能カもない | 一気に市場の変革を図ろうとする「ビッグバン」方式の措置を強引に進める |
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<参考文献>
クレイトン・M・クリステンセン (著), スコット・D・アンソニー (著), エリック・A・ロス (著) (2014)『イノベーションの最終解』翔泳社