イノベーションの最終解:第1章 変化のシグナル ー 機会はどこにある? (2)

表1-1は、①顧客の概要、②顧客を識別する方法、③顧客がもたらす事業機会、④新しい何か/何者かがその機会を活用しようとしていることを示すシグナル、をまとめたものである。

表1-1. 潜在的な顧客集団の概要
①顧客 ②識別方法 ③予想される展開 ④シグナル
無消費者 自分にとって重要な用事を便利かつ簡単に片づけるための能力、財力、アクセスをもたない人たち。一般に、用事を片づけてくれる誰かを雇うか、自力で十分とは言えない解決法を編み出すことが多い 新市場型破壊的イノベーション
  • すでに片づけようとしている用事をより便利に片づけるのに役立つ製品/サービス
  • 新規市場または新しい利用環境の爆発的成長
満たされない顧客 製品を消費しているが、その性能限界に不満を感じている顧客。自分にとって最も重要な面の性能を高めた製品に割高価格を支払う意思を示す 上位市場に向かう持続的イノベーション(急進的、漸進的)
  • 既存顧客向けに導入される新しい改良製品・サービス
  • 統合型企業の成功と専門的企業の不振
過剰満足の顧客 それまで魅力的な割増し価格をもたらしてきた性能向上に対価を支払わなくなる顧客 ローエンド型破壊的イノベーション
  • 最も要求のゆるい顧客を対象とする新しいビジネスモデルの出現
置き換えのイノベーション(モジュールへの置き換え)
  • 主流顧客をターゲットとする専門的企業の出現
下位層プレーヤーが必要なスキルを持つようになる
  • ルールや標準(「何が何を引き起こすか」に関する広く受け入れられた名言)の出現
  • 製品・サービスの提供者が最終消費者に接近する

<参考文献>
クレイトン・M・クリステンセン (著), スコット・D・アンソニー (著), エリック・A・ロス (著) (2014)『イノベーションの最終解』翔泳社