イノベーションの最終解:第1章 変化のシグナル ー 機会はどこにある? (7)

過剰満足が生じ、競争基盤が変化すると、業界では次の3種類の変化が起きる。

  1. 過剰満足の顧客層に、ローエンド型破壊的イノベーションが根づく
  2. 専門的企業が業界に参入し、統合型企業を駆逐する
  3. 標準やルールが整備され、多様な企業が各顧客層の最低限の要求に十分応えられる製品・サービスをつくれるようになる

過剰満足の市場では、イノベーションによって新しい成長市場を生み出すことはできないが、ローエンド型破壊的イノベーションを用いて、既存企業の最も要求のゆるい顧客層に足がかりをつくることで、新たな成長企業を生み出すことはできる。こうした顧客層は満足はしていないため、より価格が安いか、より便利な製品を提供する企業が現れれば、既存企業を見捨てる可能性が最も高い。

企業がローエンド型破壊的イノベーションを推進していることを示すシグナルは、既存企業とは異なる方法で利益を生み出すビジネスモデルの出現である。例えば、低価格だが資産回転率の高いビジネスモデルや、売上収益とアフターサポート収益の割合が従来とは異なるビジネスモデルなどである。
 

<参考文献>
クレイトン・M・クリステンセン (著), スコット・D・アンソニー (著), エリック・A・ロス (著) (2014)『イノベーションの最終解』翔泳社