破壊的イノベーションを目指す企業が最初に探すべき顧客は、無消費者(消費していない人たち)である。無消費者が存在するのは、既存製品の特徴により、非常に裕福な人や特別なスキルや訓練を積んだ人でなければ消費ができないような場合である。
無消費者はどこにでも、どのような市場にもいる。製品を消費している人でさえ、特定の状況や環境では製品を消費できていない無消費であるかもしれない。
成功する新市場型破壊的イノベーションは次の2つのパターンのいずれかをたどる。
- 財力やスキルを持たないために、それまで重要な用事を片づけられなかった顧客に、相対的に単純で手頃な製品・サービスを提供して、顧客のアクセスと能力を高め、用事を簡単に片づけられるようにする。
↓ 成功ポイント- 新市場型破壊的イノベーションは既存製品に機能性では劣るが、利便性やカスタマイズ性、低価格といった新しいメリットをもたらす。
- このような特性を持っているからこそ、新市場型の破壊製品が成功するには、新しい顧客や新しい利用環境に根づく必要がある。
- 顧客が行動や優先順位を変えたりしなくても、前から片づけようとしていた用事を、より簡単かつ上手に片づけられるようにする。
↓ 成功ポイント- 企業は、重要だが達成できていない(かつ見過ごされがちな)成果を、顧客が簡単に達成できるようにする必要がある。
- 顧客が片づけようとしているが、片づけられずにいる「用事」を解消する必要がある。
<参考文献>
クレイトン・M・クリステンセン (著), スコット・D・アンソニー (著), エリック・A・ロス (著) (2014)『イノベーションの最終解』翔泳社