クリステンセン教授は、ケーススタディから新市場型破壊の4つのパターンを抽出した。
- ターゲット顧客はある用事を片づけようとしているが、お金やスキルを持たないため、解決策を手に入れられずにいる。
- このような顧客は、破壊的製品をまったく何も持たない状態と比較する。そのため、本来のバリュー・ネットワークの中で、高いスキルを持つ人々に高い価格で販売されている製品ほど、性能が良くなくても喜んで購入する。こうした新市場の顧客を喜ばせるための性能ハードルは、かなり低い。
- 破壊を実現する技術の中には、非常に高度なものもある。だが破壊者はその技術を利用して、誰でも購入し利用できる、シンプルで便利な製品をつくる。製品が新たな成長を生み出すのは「誰でも使える」からこそである。お金やスキルをそれほど持たない人々でも消費を始められる。
- 破壊的イノベーションは、まったく新しいバリュー・ネットワークを生み出す。新しい顧客は新しいチャネル経由で製品を購入し、それまでと違った場で利用することが多い。
この4つのパターンは、破壊的イノベーションにとって理想的な顧客や用途市場を探すためのテンプレートとして使える。また、未完成のアイデアをこのパターンに適合する事業計画として形成すれば、新たな市場成長を生むこともできる。
実績ある競合企業(優良企業)は、この4つのパターンが起こっている間は、新興市場への参入者を自分たちの安泰を脅かす存在として考えない。新しいバリュー・ネットワークの成長は、しばらくは主流市場の需要に影響を与えないからである。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著), マイケル・ライナー (著) (2003)『イノベーションへの解:利益ある成長に向けて』翔泳社