42. 資産の測定基準

測定における会計の枠組み

  1. (現⾦を除く)すべての資産について、取得原価によって測定する会計の枠組み
    • 取得原価(主義)会計 / 歴史的原価会計(HCA)
  2. すべての資産について、(割引現在価値を含む)何らかの時価によって測定する枠組み
    • 時価(主義)会計 / 物価変動会計
      1. ⼀般物価変動会計 / ⼀般物価⽔準会計(GPLA) / 貨幣価値変動会計
      2. 個別価格変動会計
        • 現在原価会計(CCA)
        • 取替原価会計(RCA) / 実際取替原価会計
        • 取替価値会計
        • 売却時価会計
      3. 結合改計
    • 現在価値改計 / 割引現在価値会計

測定のルール

  • 企業資本の循環「⾦→もの・サービス→⾦」に基づいて、資産を2つに分類し、それぞれの性質に合わせて測定基準を決定
  • 貨幣性資産 = 資本の回収、または投下待機過程にあるもの
  • 費⽤性資産(⾮貨幣性資産) = 資本の投下過程にあるもの

現⾏会計における資産の測定

  1. 貨幣性資産の測定
    • 現⾦は「表⽰額」で測定
    • 回収過程にある資産(売掛⾦や受取⼿形など)は「割引現在価値」や「割引しな い将来の収⼊額」として測定
      • 売上債権は、過去に収益を獲得し、将来に現⾦収⼊をもたらすもの
      • 将来において⽣ずる利息相当分を、控除した割引現在価値で測定するのが妥当
      • 利息相当分かどうか客観的に区別できない場合は、将来の収⼊額を測定
  2. 費⽤性資産の測定
    • 「取得原価(過去の⽀出額)」で測定
      • 貨幣性資産は、将来の収益獲得のために、過去に現⾦を⽀出したもの
      • 販売または使⽤されると「費⽤」となる
      • 将来において費⽤化する性質を持つ資産であるため、資産と費⽤の両⾯を踏まえて測定する
  3. 売上債権以外の⾦融資産の測定
    • 有価証券(他社の株式や社債など)の測定
      • 貨幣性資産とみなす場合 → 券⾯額、または将来収⼊額による測定
      • 費⽤性資産とみなす場合 → 取得原価によって測定
    • ⽇本では1999年に「⾦融商品に係る会計基準」が公表される
      • 有価証券の⼀部(売買⽬的有価証券、及びその他有価証券)の測定が「取得原価」から「各期末における時価」へと改定
      • ⼀般的には「売却時価」で測定するが、「取替原価」や「割引現在価値」の場合もある

近年の会計理論における論点

  • ⾦融資産の⼀部に関する時価測定の制度化
  • 近年における⾦融、証券経済の発達を背景とする⾦融資産の測定
  • 「貨幣性資産と費⽤性資産(⾮貨幣性資産)」という資産の分類・測定
  • 「デリバティブ」「仮想通貨」などの新たな⾦融取引を含めた⾦融資産の測定
  • 資産の測定に関する理論的枠組みの捉え⽅