企業は特定の資源・プロセス・価値基準(RPV:Resource – Process – Value)をもっているせいで、特定のフィルターを通してイノベーションを見るようになる。異なるRPVを持つ企業は、同じイノベーションを見ても、それぞれの目にはまったく違うものが映っている。したがって、破壊的イノベーションの「破壊性」は、相対的な概念と言える。
企業は破壊的イノベーションの足がかりを築くと、その後のイノベーションによって、独自の性能向上曲線をのぼっていく。こうした破壊的イノベーション後の追加的なイノベーションは次のようにとらえることができる。
- 破壊的新規参入企業にとって「持続的イノベーション」となる
- 既存企業にとって「破壊的イノベーション」となる
このような破壊的イノベーションの相対性は「企業は持続的イノベーションなくしては、破壊的イノベーションを推進できない」という原理に帰結する。破壊的新規参入企業は、破壊的イノベーションによって市場を切り開き、追加的なイノベーションを通してさらに大きな顧客集団のニーズを満足させる製品・サービスを提供できるようになる。その結果、既存企業との競争環境が整い、破壊的イノベーションを成功させる。
<参考文献>
クレイトン・M・クリステンセン (著), スコット・D・アンソニー (著), エリック・A・ロス (著) (2014)『イノベーションの最終解』翔泳社