クリステンセン教授は、1975年から94年に発売した世界中のあらゆるモデルのディスク・ドライブに関するデータベースを作成し、技術革新の要因を分析した。
さまざまな新技術を最初に導入した企業を特定し、時間の経過とともに新技術がどのように業界全体に広がっていったかを追跡した。そしてどの企業が進んでいてどの企業が遅れていたかを調べ、それぞれの新技術がディスク・ドライブの記憶容量、速度などの性能指標にどのような影響を与えたかを測定した。
業界の技術革新の歴史を注意深く検証することにより、どのような要因が新規参入企業を成功へと導き、どのような要因が実績ある大手企業を失敗へと追い込んだのかを見極めた。その結果は次の通りである。
- 大手企業の失敗の根底にあるのは、技術革新の速さや難しさではない。
- ほとんどの製品のメーカーは、長期にわたって性能向上の軌跡を残している。
- 技術革新には次の2通りがあり、それぞれが優良企業に対して全く異なる影響を与えてきた。
① 性能の向上を持続する技術で、漸進的な改良から抜本的なイノベーションまで多岐にわたるもの
② 性能の軌跡を破壊し、塗りかえる技術で、幾度となく業界の主力企業を失敗に導いくもの
上記の①を「持続的技術」②を「破壊的技術」と呼称し、ケーススタディを通してその違いを検証した。そして「新技術の開発や採用に関して、優良企業が新規参入企業に比べてどれだけ進んでいたか、あるいはどれだけ遅れていたか」を分析した。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著) (2001)『イノベーションのジレンマ 増補改訂版:技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社