37. 認識:収益費⽤対応の原則

期間収益と期間費⽤の違い

  • 収益
    • 実現主義に基づいて、そのまま「期間収益」となる
  • 費⽤
    • 発⽣主義に基づいているが、そのまま「期間費⽤」となるわけではない
    • 「価値減少事実の発⽣」によって⼀端は費⽤として認識されるが、「期間収益との対応関係」がなければ認められない

収益費⽤対応の原則

  • 「収益の認識基準としての実現主義」と「費⽤の認識基準としての発⽣主義」との橋渡しをする原則
    • 「発⽣主義に基づいて認識された期間費⽤」の中から「実現主義に基づいて認識された期間収益」と対応する部分が抜き出される
    • 「期間収益(価値増加)」と「期間費⽤(価値減少)」との間に、結果・原因・対応関係を求める
    • ある期間の経営活動から得た収益と、それを得るために費やされた費⽤との差としての利益を、より適切な形で表すことができる
    • 収益や費⽤の勘定科⽬によって対応に違いが出る
  • 「期間収益」と「期間収益」とに対応表⽰を求めることから「収益費⽤対応表⽰の原則」ともいう
収益 費⽤
発⽣時  
価値増加
【発⽣の認識】
価値減少
実現時 【実現の認識】
確定性・客観性の認識
= 期間収益
 
← 収益費⽤対応の原則 →
(期間費⽤の抜き出し)
 
期間収益と対応したもの
= 期間費⽤
期末後 収益と未対応のもの
= 資産(将来の費⽤)

収益費⽤対応の原則:メーカーの例

  • 製品を製造するために材料を消費した時点で、発⽣主義(価値減少事実の発⽣)に基づいて、材料費として認識される
  • 製品の製造によって価値増加も発⽣するが、製品が完成して外部に販売されるまで、収益の認識は⾏われない
  • 材料費も直ちに期間費⽤とはならず、製造途上では「仕掛品の原価」、完成後では「製品の原価」を構成するものとなる
  • 製品が販売され、収益(売上)が認識されてはじめて、収益(売上)と対応関係をもつ費⽤(売上原価の⼀部)として期間費⽤となる

費⽤性資産(仕掛品、製品)

  • 将来の期間費⽤となるものであるため、損益計算書には記載しない
    → 貸借対照表において繰り越される
  • 仕掛品、製品 = 将来において期間費⽤となるもの
  • 将来の収益獲得に役⽴つもの = 資産のような性質を持つもの