135. 税務調整

企業会計と税法の差

  • 以下のような処理が行われとき、企業会計と税法とに差が生じる。
    1. 益金不算入
      • 企業会計では収益としているものを、税法では益金の額に算入しないこと
      • 受取配当金
      • 還付金
    2. 損金不算入
      • 企業会計では費用としているものを、税法では損金の額に算入しないこと
      • 税法の限度額を超える減価償却費
      • 貸倒引当金の繰り入れ
      • 寄附金
      • 交際費
    3. 益金算入
      • 企業会計では収益としていないものを、税法では益金の額に算入すること
      • 法人税額から控除する外国子会社の外国税額
      • 組織変更にともなう評価替え等による資産の評価益
    4. 損金算入
      • 企業会計では費用としていないものを税法では損金の額に算入すること
      • 減価償却超過額の当期認容額
      • 過年度に損金不算入となった減価償去|費で、当年度は税法で認められるもの
      • 国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額

税務調整

  • 企業会計と税法とが異なるなか、当期利益から所得金額を計算するまでのプロセスのこと
  • 所得の金額の計算に関する明細書「別表四」において行われる。
    摘要 金額
    当期利益
    加算 益金参入
    損金不参入
    (小計)
    減算 損金参入
    益金不参入
    (小計)
    所得金額 ① + ② + ③
  • 当期利益に、税務調整項目の額を加算・減算するという形で、課税標準たる所得金額を計算する。
    • 当期利益 + 益金参入 + 損金不算入 ー 損金算入 ー 益金不算入 = 所得金額
      ←ーーー 当期利益 ーーー→
      損金不算入
      益金参入
        損金算入
      益金不算入
      ←ーーー 所得金額 ーーー→
  • 税法会計は、所得金額をもとめ、それにもとづいて税額を計算するための会計である。

税法会計論

  • 以下のような議論を通じて、課税の理諭的背景や経済政策的側面を研究する。
    • 受取配当金を、企業会計では収益とするのに、税法では益金としないのはなぜか?
    • 寄附金の全額を損金としえないのはなぜか?
    • 減価償却における残存価額はどの程度にするか?