運転資本
- 流動資産から流動負債を差し引いたもの(広義の意味)
- 通常、流動資産は流動負債よりも多い
→ 運転資本 = 流動資産によって流動負債が支払われた残り
- 通常、流動資産は流動負債よりも多い
- おおよそ1年以内に現金化される資産の余剰を意味している
- 流動資産、流動負債には、正常営業循環基準、1年基準が適用される
- 流動資産
- 購入、販売、販売代金の回収という営業循環にある資産
- 1年以内に換金される資産
- 流動負債
- 仕入債務、営業活動にかかわる金銭債務など、営業循環において支払いがなされる負債
- 1年以内に支払い期日が到来する負債
- 運転資本 = 1年以内に支払いにあてることができる
→ 支払能力の余裕を意味している
流動比率
- 財務諸表の数値を用いた比率分析において、企業の安全性を測るもの
- 運転資本を、支払能力の判断基準にした比率
運転資金計算書(運転資本運用表)
- 運転資本を資金の範囲とする資金計算書
- 流動資産、流動負債以外の固定資産、固定負債、資本の変動が運転資本の変動にどのような影響を与えたのかを示す計算書
- 貸借対照表の貸方の総額に変化がない場合
- 固定資産の減少 → 運転資本の増加
- 固定資産の増加 → 運転資本の減少
- 固定資産の額に変化がない場合
- 固定負債や資本の増加 → 運転資本の増加
- 固定負債や資本の減少 → 運転資本の減少
- 貸借対照表の貸方の総額に変化がない場合
- 運転資金計算書だけでは、運転資本の構成要素の変動を知ることはできない
- 運転資金明細書がなければわからない
- 運転資本の構成要素は、経営活動の自然な資金の回転によって生み出され、運転資本はその余剰である
- 購入によって生じた買掛金
→ 販売によって生じた売掛金の回収によって得た現金によって支払われる - 買掛金の支払いのために調達した短期借入金
→ いずれは売掛金の回収によって得た現金によって支払われる
- 購入によって生じた買掛金
運転資金計算書まとめ
- 固定資産、固定負債、資本の変動が運転資本の変動にどのような影響を与えたのかを示すもの
- 企業の財務安全性に関する示峻を得ることができる
- 運転資本の増加が、安全な資金調達によるものとなっているか?
- 安全な資金調達 = 1年超の将来に返済期日を迎えるもの
- 固定資産の購入が、危険な運転資本によるものとなっていないか?
- 危険な運転資金 = 1年以内の返済にあてるべき流動資産で構成されたもの
- 運転資本の増加が、安全な資金調達によるものとなっているか?
運転資金計算書の例
税引前利益 (経常利益) | 55 |
減価償却費 | 80 |
税金の支払い | △22 |
営業活動による運転資金の増減 | 113 |
建物の増加 | △500 |
投資活動による運転資金の増減 | △500 |
借入金の返済 | △100 |
増資 | 500 |
財産活動による運転資金の増減 | 400 |
運転資金の増減 | 13 |
期首運転資金 | 480 |
期末運転資金 | 493 |
X1年度 | X2年度 | 増減 | |
---|---|---|---|
現金 | 100 | 93 | △7 |
売掛金 | 200 | 250 | 50 |
商品 | 300 | 200 | △100 |
有価証券 | 30 | 50 | 20 |
買掛金 | (150) | (100) | 50 |
合計 | 480 | 493 | 13 |