82. 運転資金計算書とキャッシュフロー計算書

運転資金計算書

  • 流動資産に分類される棚卸資産や有価証券など
    • 短期に現金に変わる可能性の高い資産
    • 売却されて現金、または金銭債権になる資産
    • 営業活動における資金の「回収過程にある資産」ではなく、「投資過程にある資産」である
    • 貸借対照表上の価額は、売却によって得られる現金の額ではなく、将来に売却されたときのおおよその現金収入額を示している
  • 投資過程にある資産には、資産評価の問題が生ずる
      ↓
    運転資本は、投資過程の資産を資金の範囲に含める
      ↓
    運転資本は、企業の支払能力の評価基準として適当ではない

キャッシュフロー計算書

  • 現金および現金同等物を資金の範囲とする
  • 棚卸資産や有価証券などの変動は、資金の範囲に含めない
    • 資産の増加 → 現金の用途
    • 資産の減少 → 現金の調達
  • 現金以外の貸借対照表項目の変動は、現金の調達または現金の用途として捉える
      ↓
    運転資本のように、資産評価の問題を伴わない
      ↓
    現金の変動をまとめたキャッシュフロー計算書のほうが、支払い情況を明確にしている

キャッシュフローと運転資本の比較

  • 資金の範囲
    • キャッシュフロー = 現金および現金同等物
    • 運転資本 = 棚卸資産や有価証券など投資過程の資産を含める
  • キャッシュフロー
    • 過去の支払い情況に関しては、運転資金計算書よりも詳細に示すことができる
    • 将来の支払能力の評価に関しては、運転資金計算書よりも劣る
  • 運転資本
    • 実際に現金になるかという不確実性がある
    • 将来に現金になる資産の余剰を示すことによって、企業の支払能力を表す