84. 日本の会計制度における資金計算書の変遷

資金繰表

  • 資金繰表による資金情報の開示は、1953年の大蔵省令「有価証券の募集又は売出の届出等に関する省令」のもと、有価証券報告書等において行われていた
  • 資金繰表における資金概念 = 現金預金

資金収支表

  • 資金収支表による資金情報の開示は、1986年に改正された「有価証券の募集または売出の届出などに関する省令」によるものであった
  • 資金収支表における資金慨念 = 現金預金に一時所有の有価証券を加えたもの

キャッシュフロー計算書

  • 1998年に設けられた連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準によって、翌1999年に作成が義務づけられた財務表
    • 損益計算書、貸借対照表と同様、財務諸表のひとつとして位置づけられている
    • キャッシュフロー計算書の導入前は、資金繰表や資金収支表(財務諸表の範囲外にあって資金情報を開示する計算書)が用いられていた
  • 現金および現金同等物が資金として扱われる
    • 現金同等物
      • 定期預金や公社債投資信託など、取得日から満期日または償還日までの期問が3か月以内の短期投資
      • 即時に換金が可能なもの
      • キャッシュフロー計算書の作成時点と換金時点で額に大きな変動がないもの
  • 資金繰表とキャッシュフロー計算書の資金概念
    • 資産の価格変動の影響がほとんどなく、資産評価の問題を伴わない点では共通している
      → 日本の資金計算書は一貫して、即時に換金が可能な資産を構成要素とする資金慨念を採用してきた
    • 資金収支表において資金の範囲に含まれていた一時所有の有価証券は、キャッシュフロー計算書では、現金同等物から除外されている
      → 一時所有の有価証券は、価格変動の影響は大きいものの、即時に換金が可能であるため除外