連結財務諸表原則の一般基準
- 連結の範囲、連結決算日、親会社と子会社の会計処理の原則・手続きを示している
連結の範囲
- 親会社は原則として、すべての子会社を連結の範囲に含めて連結財務諸表を作成しなければならない
- 親会社:会社間の支配従属関係において、他の会社を支配している会社
- 子会社:支配されている会社
- 子会社の範囲が異なると、作成される連結財務諸表の内容も異なるため、子会社に該当するかどうかの決定基準「連結の範囲」が問題となる
連結の範囲の決定基準
- 支配力基準
- 会社(親会社)が他の会社を支配しているかどうかによって決定する
- 他の会社の財務・営業、または事業の方針を決定する機関(株主総会や取締役会などの意思決定機関)を実質的に支配しているかどうか、によって連結の範囲を決定する
- 持ち分基準(持ち株基準)
- 議決権つき発行済み株式の親会社の持ち分比率(持ち株比率)を判断基準とする
- 長所
- 支配の度合いが数値によって客観的に判断可能である
- 短所
- 株式保有以外の手段による企業支配が見逃される
- 支配従属関係にあるにも関わらず、意図的に持ち分比率を下げて連結の範囲から除外することによって、連結数値の操作が可能となる
- 会計では支配力基準が採用されている
- 連結財務諸表に支配従属関係にもとづく経済的実態を反映させることができる
- 恣意的な数値操作を防ぐことができる
支配力基準
- 支配力基準では、支配力の不在が示されない限り、以下のようなケースは子会社に該当する
- 他の会社の議決権の過半数(50%超)を実質的に所有している場合
- 議決権のある株式、または出資の名義が役員など、会社以外となっていても、会社が自己の計算で所有している場合は、会社が実質的に所有しているものとみなす
- 他の会社の議決権の所有割合が50%以下であっても、高い比率(40%以上)の議決権を有しており、かつ当該会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合
- 議決権を行使しない株主の存在や、役員・関連会社などの協力的な株主の存在によって、株主総会で議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合
- 役員・従業員、あるいはかつてそうであった者が取締役会の構成員の過半数を継続して占めていると認められる場合
- 重要な財務、および営業の方針決定を支配する契約などが存在する場合
- 子会社が他の会社を支配している場合(孫会社の場合)
- 親会社の支配下にあると考えられるため、子会社とみなされる
- 他の会社の議決権の過半数(50%超)を実質的に所有している場合
連結の範囲に含まれないケース
- 更生会社、整理会社、破産会社などであって、他者の管理下におかれるなど、有効な支配従属関係が存在せず、組織の一体性を欠く会社は子会社に該当しない
- 子会社であっても、支配が一時的な場合や、連結することによって利害関係者の判断を著しくにぶらせる恐れのある場合は、連結の範囲に含めない
- 子会社であっても、規模が小さく、重要性が乏しいと判断される場合は、連結の範囲に含めないことができる
連結の会社と株主
- 連結子会社:連結の範囲に含まれる子会社
- 連結会社:連結の範囲に含まれる子会社+親会社
- 非連結子会社:連結の範囲に含まれない子会社
- 少数株主:親会社による子会社株式に対する保有割合が100%に満たない場合、子会社における親会社以外の株主
- 連結決算上、少数株主に帰属する子会社の純資産で、連結の対象となる部分は、親会社に帰属する部分とは別に「少数株主持分」として処理される
- 少数株主持分は、連結貸借対照表の純資産の部において、株主資本などとは区別して表示される
連結財務諸表における実質優先思考(サブスタンス・オーバー・フォーム)
- 形式(フォーム)よりも実質(サブスタンス)を優先(重視)する考え方
- 企業集団を構成する各企業は、(法的)形式上はそれぞれ独立の存在だが、(経済的)実質上はひとつになって活動しているため、連結財務諸表を作成する
- 連結の範囲には、持ち分基準(形式)ではなく、支配力基準(実質)を採用する