[ 第6章のテーマ ]
- コモディティ化を引き起こす原因は何か。
- コモディティ化は競争市場の全企業にとって、避けられない最終状態なのか。
- どの発展段階にある企業にも、コモディティ化の開始を阻止する措置は取れるのか。
- コモディティ化の波が産業を席巻した後で、流れが独自アーキテクチャを持つ、差別化された収益力ある製品へと逆流することはあるのか。
- この流れに乗るには、すれば良いのか。
コモディティ化がバリューチェーンのどこかで作用しているときは必ず、脱コモディティ化という補完的なプロセスがバリューチェーンの別の場所で作用している。コモディティ化は差別化を阻むことで企業の収益力を破壊するのに対して、脱コモディティ化は潜在的な富を創出し、それを獲得するチャンスを生み出す。
産業に新しい破壊の波が次々と押し寄せるなか、差別化能力はバリューチェーンの中を絶えず移動する。そして、バリューチェーンの中の「性能がまだ十分でない地点」に位置を定める企業が利益を手にする。
参考:製品やサービスのバリューチェーンの捉え方
- 「プロセス」から捉えるバリューチェーン
- プロセスとは、製品やサービスを生み出したり供給したりするために必要な付加価値の段階である
- 設計、部品製造、組立、マーケティング、販売、流通など
- 「構成要素(材料の明細表)」から捉えるバリューチェーン
- 自動車に例えると、エンジンプロック、シャシ、ブレーキシステム、電子機器など
バリューチェーンを特徴付けるプロセスを通過する製品には、さまざまな構成要素が用いられている。そして構成要素のそれぞれに、通過しなければならない一連のプロセスがある。製品のバリューチェーンを分析するのは複雑であり、またどのレベルの複雑性に的を絞るかが重要である。
<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著), マイケル・ライナー (著) (2003)『イノベーションへの解:利益ある成長に向けて』翔泳社