96. 子会社株式の追加取得

支配獲得後の子会社株式の追加取得

  • 支配獲得後に子会社の株式を追加取得した場合の処理は、株式の段階的取得による支配獲得の場合の処理と同様、「部分時価評価法」と「全面時価評価法」のいずれを適用しているかによって異なる
  • 部分時価評価法を適用しているときに、支配獲得後、子会社の株式を追加取得した場合
    • 追加取得した株式に対応する持ち分だけ、少数株主持分を相殺消去する
    • 子会社の資産・負債の時価評価によって計上された評価差額も相殺消去する
  • 全面時価評価法を適用しているときに、支配獲得後、子会社の株式を追加取得した場合
    • 支配獲得時に、資産・負債の全面的な時価評価と評価差額の相殺消去がすでに行われているため、評価差額に関わる仕訳は行わない
    • 追加取得した株式に対応する持ち分だけ、少数株主持分を相殺消去する
  • いずれの場合も、追加取得した株式に対応する持ち分と追加投資額の間に差額が生じた場合は、「のれん(または負ののれん)」として処理する

投資と資本の相殺消去の具体例

例題3

  • X3年3月31日に、P杜はS社株式の10%を220で取得した
  • 同日、S社の純資産の部には資本金1,000、資本剰余金400、利益剰余金400が計上されていた
  • 前期の純損益は0であって、利益配当は行われなかった
  • S社の資産・負債を時価評価したところ、取得原価100の土地の時価が300であった

部分時価評価法の場合

  1. 追加取得時の資産・負債の時価評価
    評価差額 = (時価 - 取得原価) × 親会社の持ち分比率 = 200 × 0.1

    借方 貸方
    土地 20 評価差額 20
  2. 投資と資本との相殺消去
    少数株主持分 = (資本金 + 資本剰余金 + 利益剰余金) × 少数株主の持ち分比率 = 1,800 × 0.1

    借方 貸方
    少数株主持分 180 S社株式 220
    評価差額 20
    のれん 20

全面時価評価法の場合

  1. 追加取得時の資産・負債の時価評価
    借方 貸方
    仕訳なし
  2. 投資と資本との相殺消去
    少数株主持分 = 追加取得以前の少数株主持分 × (追加取得した持ち分比率 ÷ 追加取得以前の少数株主の持ち分比率) = 190 × (0.1 ÷ 0.1)

    借方 貸方
    少数株主持分 190 S社株式 220
    のれん 30